私は、物心がついた頃には、もう既に目が悪かった。
極度の弱視で、眼鏡は俗に言われる【牛乳瓶の瓶底】のような厚みがあり、元から小さい目は、さらに小さく見えることがコンプレックスであった。
中学3年生の頃に、親に懇願してコンタクトレンズを付けさせてもらい、31歳までコンタクトレンズを装着していた。
(コンタクトレンズの度数はマイナス10。)
だが、コンタクトを装着された方はお分かりかと思うが、コンタクトレンズを目に入れた時の異物感、ゴロツキが嫌で、
中年に差し掛かり、見た目にはそこまで気にしなくなってしまったのも要因だと思うが、瓶底眼鏡に戻ってしまった。
色んな眼鏡屋さんで、毎回追加料金を払い、一番薄型のレンズにしてもらうが、誰が見ても分厚いレンズ。
目が【余計に】小さく見える。。
子供が生まれ、子供に眼鏡を捕まれ放り投げられ、破壊される。。
眼鏡を外すと、家にも帰ることができないほどの目の悪さであるため、常に鞄には予備の眼鏡を持ち歩いている。
最短〇〇分で眼鏡が完成するというような眼鏡屋さんでも、レンズは取り寄せないとないため、2週間ほどはかかってしまう。
そのため、修理ができる場合は修理をしてもらいながらも、新しい眼鏡を購⼊している内に、自宅にはいつの間にか10ほどの眼鏡のストックがある。
私の周りの友人や知人でレーシックをされた方が増え始め、レーシックに興味を抱き始めた。
ただ、レーシック難民というワードが頭から離れず、
目が乾く
光が眩しい
思ったほどの視力が出ない
失敗してもやり直しがきかない
などのマイナスイメージにより、レーシック手術をする勇気を持つことができなかった。
そんな中で、レーシックよりも最新の、低リスクの手術があると耳にした。
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【ICL】(有水晶体眼内レンズ)の手術だった。
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調べてみると、
目の中にコンタクトレンズを埋め込むため、違和感もなく、快適な日常生活を過ごすことができる。
合併症などのリスクはあるらしいが、失明の可能性はほぼない。
仮に、失敗しても取り外すことができる。
など、メリットがつらつらと書かれているばかり。
デメリットとしては、レーシックとも共通するが、
眩しい。
ご高齢の方で、アルツハイマーを患っている方などは、目を擦って合併症を引き起こす可能性がある。
ハロー・グレア現象を引き起こすことがある。
など、そうデメリットととも思えない内容しか見当たらなかった。
ところで、ハロー・グレア現象って何?
と、さらに深堀してみると、明るいライトを見ると、光の輪っかが見える現象だそうだ。
青春映画で、遠くを見ると、光がキラキラ差し込んでくるようなヤツらしいが、それぐらい全くもって問題ない!
むしろ、青春を思い出したいぐらいだ。
そう思い始めてから1年間、ICLの手術について、インターネットで検索して調べるようになった。
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そして、ちょうど1年が経過して、ようやくICLの手術をする決断をして、近隣の眼科の先生に見てもらいにいくことにした。
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そこで言われたのは、
手術はできるが、すぐに老眼がくる可能性がある。
45歳が、ICLの手術をする限界の年。
もうその時の私の年齢は40歳を過ぎていたため、医師の先生からは、
【もう少し早ければお勧めするが、今の年齢だと何とも言えないため、少し考えられては?】
との助言をいただき、一先ずは自宅へ戻って考えることにした。
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物欲は、欲しいと思えば思うほど、余計に欲しくなるものだが、
私もICLの手術を考え出すと、仮に、術後に老眼がすぐにきたとしても、瓶底のような分厚いレンズの眼鏡から開放されるのであれば、
老眼鏡なんて可愛いものだと考え始め、
ICLの手術をしたい。。
ICLの手術をしたい。。
と、そこから1ヶ月そのことばかりが頭をよぎり、ついに、ICLの手術を決断することにした。
そして、近所の眼科の診療所で、ICLの手術をしている病院を紹介していただくことに決めた。
これが悪夢の始まりであることは、この時には気付くはずもない。。
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