日本人最多の理由 「実力十分」「薬物に潔白」・・・
日本のプロ野球から約半月遅れで米大リーグのキャンプが始まった。福留孝介外野手(中日-カブス)や黒田博樹投手(広島-ドジャース)ら昨年を5人上回る過去最多の21人の日本人選手が参加するが、メジャー移籍が増えた背景には、日本人選手の実力が広く認知された一方で、薬物に潔白な点が歓迎されたとの指摘もある。(田中充、佐藤正弘)■定着 今オフ、メジャー入りした5人のフリーエージェント(FA)選手は、昨季年俸を大きく上回った。かつては新庄剛志外野手(元日本ハム)らが年俸2000万円程度(当時)のメジャー最低保障で移籍したものだが、日本人選手の高い評価が定着するにつれ、入団前から米国選手などと同じ尺度で査定されるようになった。
福留、黒田が結んだ国内とはケタ違いの大型契約について、ブレーブスの大屋博行スカウトは「ローテーションの何番手ならいくら、外野のレギュラーならいくらという相場が決まっていて、福留や黒田もそのポジションにあった金額を受け取っただけ。日本時代の年俸は関係ない」と解説する。
在米のFA選手を獲得するとドラフト指名権を譲渡する必要があるが、日本のFA選手なら不必要のメリットも大きい。
■白旗 1993年に日本でFA制が導入されて以来、FA選手の獲得総数は、昨オフまで巨人、米大リーグ球団とも12選手。だが、今オフにFA選手獲得のなかった巨人に対し、メジャー球団は5選手を獲得して、ついに巨人を抜き去った。国内では圧倒的な資金力を誇る巨人も、メジャーには白旗を揚げるしかなく、福留争奪戦からも撤退した。
国内には敗北感が漂う。小林雅英、薮田安彦両投手をFAで失ったロッテの瀬戸山隆三球団社長は「選手とすれば寿命が短いわけだから、短期間でお金を稼ぐしかない。(選手を国内に引き留める方法は)具体的にないが、考えないといけない」と嘆く。
彼我の経済格差に、日本プロ野球選手会からは「メジャーに対抗するためには外資系企業を入れて、球団の資金力を強化するしかないのではないか。サッカーのプレミア・リーグ(英国)もそうして繁栄した」との声もあがる。
■汚染 米球界での日本人選手の人気について、前出の大屋スカウトは薬物問題との関係も指摘する。「近年のメジャーは薬物規制が強化され、パワーが減退した選手が多い。昔はスターが引退しても若い選手が出てきたが、今は若い選手も薬物に汚染され、後継が育ってこない。崩れた需給バランスを埋めるため、薬物汚染とは無関係の日本選手に白羽の矢が立った。メジャー全体がクリーンになるまで、日本選手に対する需要は引き続き高まっていくだろう」
■格差 選手がより高いレベルでの戦いや待遇を求めるのは当然で、FAという制度がある以上、選手の移籍は止めようがない。人工芝球場が主流の日本に対して、メジャーでは天然芝球場が主流。プレー環境の格差もあって、選手の海外流失は、今後も増加の一途をたどると予想される。根来泰周コミッショナー代行は「(国境による)人、物、資金の移動障壁はなくなっている。選手の移籍も止められないが、本気で対策を考えるなら、球団だけでなく、外部の専門家を入れて策を模索するしかない」と話す。
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■大リーグのキャンプ 日本のように2月1日に12球団一斉スタートではなく、球団ごとにフロリダ州、アリゾナ州の各地で2月中旬から下旬にかけてスタート。同じ球団でもバッテリー組、野手組は分かれて行われる。午前中のみの3~4時間程度の短時間で終わることが多く、トレーニング期間は1週間程度。その後は1カ月以上に及ぶオープン戦での実戦でふるい分けられる。大リーグ契約の選手以外でも、マイナー契約の桑田真澄投手、野茂英雄投手らのように「招待選手」になれば、特別参加できる。
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■今オフにFAで米大リーグ球団に移籍した選手
氏 名【位置】移籍先 旧所属
(契約内容) (今季年俸)
福留孝介【外】 カブス 中 日
((4)約54億7200万円) (3億8500万円)
黒田博樹【投】 ドジャース 広 島
((3)約39億8000万円) (2億5000万円)
小林雅英【投】 インディアンス ロッテ
((2) 約6億9000万円) (2億5000万円)
薮田安彦【投】 ロイヤルズ ロッテ
((2) 約6億6000万円) (1億1300万円)
福盛和男【投】 レンジャーズ 楽 天
((2) 約3億3900万円) ( 8300万円)
(注)契約内容は総額。丸数字は契約年数。金額は推定。
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