去年の年末、実家に帰省したときのことだ。

久しぶりに使う古い書斎のデスク。引き出しを開けたら、昔プリントアウトしたゲームの攻略メモが出てきた。その中に、手書きのティアリストがあった。マス目を引いて、S・A・B・C・Dって書いて、キャラクターの名前を鉛筆で書き込んだやつ。

見た瞬間、少し恥ずかしくなった。

なんでかというと、そのリストの「S」に入れていたキャラクターを、いまの自分なら絶対「B」に入れるから。でも当時の自分は、たぶん確信を持ってそこに書いたはずだ。

それで思った。いまオンラインで公開してるティアリストも、2年後に見たら同じ気持ちになるんじゃないか、と。

 


「予算ゼロ・時間もない」でティアリストを量産した1年間

去年、ちょっとした事情があって、コンテンツの更新頻度を上げないといけない時期があった。週2〜3本のペースで、ゲームや創作ツールのティアリストを作って投稿する、という無茶なスケジュールだ。

ツールにお金をかける余裕はなかった。時間もなかった。とにかく「動くもの」を使って、なんとか形にするしかなかった。

最初はスプレッドシートで作っていた。セルに色をつけて、テキストを入れて、スクリーンショットを撮って投稿する。1本あたり40〜50分かかっていた。見た目も悪かった。でも「とりあえず出す」を優先していたので、気にしないようにしていた。

3週間ほど続けたところで、フォロワーの一人から「読みにくい」とコメントが来た。

正直、ちょっとムカついた。でも見返してみたら、確かに読みにくかった。(自分でも気づいていたくせに、見ないふりをしていた。)

 


1年前の自分へ:ツールを変えるだけで、こんなに違うのか

あのとき、もし誰かが教えてくれていたら。

専用の Tier List Maker を使え。 それだけでよかった。

半年後、Tier List Maker を試したとき、最初に思ったのは「なんでもっと早く使わなかったんだろう」だった。スプレッドシートで格闘していた時間が、ただの無駄だったとわかった瞬間だ。

インターフェースがこのタスクのために設計されている、というのは、使ってみるまで意味がよくわからなかった。でも実際に触ると、すぐわかる。ドラッグ&ドロップがストレスなく動く。見た目が整っている。共有しやすい。それだけのことなんだけど、それだけのことが、作業の質を変える。

1本あたりの制作時間が40分から15分になった。見た目が改善されたことで、コメント数も増えた。「読みにくい」とは言われなくなった。

ツールを変えただけで、こんなに違うのか、と思った。

 


でも、ツールが変わっても変わらなかったこと

ここで終わりにすると、ただの「ツール紹介記事」になってしまう。

正直に書く。

ツールが良くなっても、ランキングの質は自動的には上がらなかった。

相変わらず、後半に配置したアイテムは雑だった。疲れてくると「とりあえずB」に入れる癖が直らなかった。基準を言語化せずに作ったリストは、コメントで「なんでこれがAなの?」と聞かれても、うまく答えられなかった。

ツールは摩擦を減らしてくれる。でも考える部分は、自分でやるしかない。

当たり前のことなんだけど、ツールを変えた直後は、なぜかそれを忘れがちになる。「良いツールを使っているから、良いものが作れる」という錯覚に、しばらく気づかなかった。

 


制約があったからこそ気づいたこと

予算も時間もない状態で量産していた時期に、一つだけ良いことがあった。

「このアイテム、本当にランク付けする必要があるか?」を考えるようになったことだ。

時間がないから、リストに入れるアイテムを絞らざるを得なかった。絞ると、残ったアイテムについて、より真剣に考えるようになった。20アイテムのリストより、10アイテムのリストのほうが、議論が深くなった。

余裕ができてからも、その習慣だけは続けている。

「全部入れる」より「何を入れないか」を先に決める。ティアリストは、選択の記録だ。何を選ばなかったか、も含めて。

 


あの手書きリストのこと

実家の引き出しで見つけた手書きのリスト。捨てずに持って帰ってきた。

いまのデスクの引き出しに入っている。たまに見返す。

当時の自分がなぜそのキャラクターをSに入れたのか、もうわからない。でも、確信を持って書いたことだけはわかる。その確信が、いまの自分には少し眩しく見える。

いまの自分は、ランク付けするたびに「これで本当にいいのか」と考えすぎるようになった。それが成長なのか、それとも何かを失ったのか。

まだ、答えが出ていない。