今日は二月十三日。ふんどしの日……あ、いや、バレンタインデーの前日である。
あたし、ショートは去年、一昨年のことをふまえて、無理やりなんかやらされる前に自分でやろうと思い、チョコを買いに来ている。

「ま、手作りチョコなんて言ったってどうせ元のチョコ溶かして固めるだけなんだけど……」

流石のあたしだってそれくらいはできる……はずだ。一昨年はゆうきに嫌がらせするためにあくまでもワザとおかしなチョコを作っただけだし……。去年はちゃんと作ったもん。
それに一年経ってるわけだしあたしだって成長してるはず……! うん、大丈夫!

「あれっ、ショート何やってんの?」
「ゆうき……見てわかんない? 明日のバレンタインのための準備ですよーだ」
「……はっ? あんたが? チョコ作るの? え? あっ……あたしはいらないからね?」
「どういう意味だぶっ飛ばすぞ」

前に千夏にお菓子もらったときも「万が一ショートがお菓子作ってもあたしにはくれなくていいからね」とか言うし……みんなあたしを何だと思ってるわけ!!??
第一ゆうきは一昨年あげた……けどそうだよ嫌がらせしたんだった……。

「ま、そんなことはおいといて……勿論てんまにはあげるのよね?」
「え? あぁ……うーん、そうだね。まぁあげてもいいかな」
「なんじゃそりゃ。一応好きな人とかにあげる日じゃないの?」
「いや別に誰にあげるとか決めてないし。テキトーに作って出会った順に配ろうかと」
「よーし明日はほしぞら魔法学校以外のところにいようかな!」

ホンットこいつはっ……! 今年もゆうき専用で嫌がらせチョコ作っていいかな……。
いや、今はアホゆうきの言ってることを気にしてる場合じゃない! とりあえずちゃっちゃとチョコ買って、学生寮戻ってチョコ作らなきゃ……!

 *

「ふぅ……結構買っちゃったなぁ。今月もう何も買えないかも……」

バレンタインってこんなに出費がかさむものなんだね……。本命だけ! とかだったらもうちょっと安く済むんだろうけど……そういうわけにもいかない。
あぁ……あたしに彼氏とかいればその人だけに渡せば済む話だった……かもしれないのに。あたしは彼氏どころかロクに人に好かれもしない哀しい女ですからね!

「いやいや! そんなことを言ってる場合ではない! テキトーに作って! さっさと終わらせよう!!」

もう早くバレンタイン去ってくれ!