「う~んと……差出人は……

えっ……あさひ!!?」

予想外の展開に吃驚。
でも、何であさひがあたしに……?
ゆうきにならわかるんだけど……
と、疑問に思うあたし。

「え~と、ゆうきと喧嘩しちゃった?

……え、いつものことじゃないの?」

何で?
だからあたしなの?
よく分からないけど続き見てみよう。

「ゆうきったら朝会った瞬間にグーで殴ったんだよ!

酷くない!!? ……どっちもどっちじゃないの?」

あさひはゆうきに必要以上にベタベタしてるし……
けど、ゆうきもいきなりそれはどうかと思うし……
なんでもいいけど、何故あたしなんだ。

「だから、ちょっと来て欲しい……え?」

何かいろいろ順番飛んだと思うのはあたしだけかな?
何でその話でいきなり来いになるのよ?

そんなことを思っていると、
不意にチャイムが鳴った。
戻らなきゃ……

「よし、これはまた後で、だね!」

あたしはあさひからの手紙をポケットにしまい、
駆け足で教室に戻った。

「次は魔法じゃ。

今回はテルミーラブの魔法じゃ」

テルミーラブ?
え~と、分けるとtell me love……かな?
よく分からないけどさぁ。

「この魔法は相手の好きな人が分かる魔法なのじゃ」

何ぃっ!!?
先生、そういうことはやめてください!
あたしの日常が壊されます、絶対!
あ、でも……
折角だから、ゆうきの好きな人見るってのも……
悪く、ないかも?

ふと、ゆうきの方を見てみると……
無駄に真面目にノートをとっているゆうきがいた。
あいつ……絶対習得する気だっ!

「では、これで授業は終わりじゃ」

すろと、教室にチャイムの音が響きわたった。
そして瞬間移動をしたかのような速さで
あたしの目の前にやってくるゆうき。
こ、これはヤバイ!

「な、何? ゆうき。

目が本気で怖いんだけど~?」

「ふふふふふ……さっきの刑は取消よ。

あの魔法やってあげるわ!」

「そっちのほうが何か精神的にイヤだっ!」

「んじゃ、さっきのでもいいけど~?」

「ゆうき、本気か!!?」

「何、てんま?

別に関係ないでしょ~?」

わざとらしく言うゆうき。
まぁ、関係ないのは事実だけども。

「な、何よ!

あさひと喧嘩したくせに~っ!」

「な、何で知ってんの!!?

て、ていうか、別にあたしどうでもいいし! あんなヤツ!」

「ふぅん、じゃさっきの魔法で聞いていい?」

「な、何でそうなるのよっ!」

「ま、いいや」

「もうっ、何なのよ!」

つか、自分が逆の立場になったら怒るって……
どんだけ子供なんだよ、ゆうきは。

「次はおまじない、だね」

「メンドくさいな」

「うん……っていうか、実を言うと使ったことないんだよね……」

「どうせ使う気なんかないんだろ?」

「う~ん、使えるものがないし~

使えるものがあったらそのうち使うかも」

「でもお前魔法ばっか使ってるじゃん」

「せ、正当防衛だから!

ゆうきが悪いのっ!」

ゆうきが魔法使って悪いことばっかするから!
最終的にはオリジナルの魔法やるし!
どんだけ魔法に関する知能高いの!!?

「ふ~ん、大変そうだな」

「大変というレベルはとっくにこえたわよ……」

あれはちょっと……ね。

「てんまはあんまり何もしないよね。

あっ、できないのか!」

「できないわけじゃない!

っていうか、お前が魔法使いすぎてるだけだろ!?」

「ま、まぁ人より使ってるけど……

じゃあ何で使わないの?」

「別に、理由がないから」

「ふぅん……」

てんまなら誰にでも悪戯しそうに見えたけど……
案外、根は優しいのかなぁ?
あれ、でもあたしには厳しいよね!!?
でもあたしはてんまにも色々やってるし……
ま、嫌われてて当然かぁ。
そろそろ時間だ、準備しないと。

なんてことを思っているうちに5度目のチャイムが
教室に鳴り響いた――――……