第91回アカデミー賞受賞予想(考察あり) | owl's view

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<作品賞>

ROMA ローマ BFCA

or

グリーンブック PGA

or

ボヘミアン・ラプソディ GGA

or

ブラックパンサー SAG

 

第91回アカデミー賞は歴史的快挙の年になっている。アメコミ映画「ブラックパンサー」、Netflix映画「ROMA ローマ」の候補入り。どちらも評価が高く、前者は興行的成功も相まって作品賞にノミネートされた。他の6作品も興行的成功、もしくは高評価、その両方を兼ね揃えており、甲乙つけがたい作品ばかりである。そして今年こそ「大混戦」という言葉が合う年でもある。

 

作品賞受賞に於いて、監督賞、編集賞、脚本(脚色)賞の3つを押さえるのは最重要であり、ほとんどの場合この3つ全てにノミネートされている作品が受賞を果たす事が多い。今回それを満たした作品は「ブラック・クランズマン」「女王陛下のお気に入り」「バイス」の3作品、とは言え今回この3つの中から作品賞が選ばれるかと問われると疑問が残る。「女王陛下のお気に入り」は女性主役の作品に加えランティモス監督の独特の演出かつイングランド舞台とオスカーに相応しいか、「バイス」は実話物でオスカーの好みではあるが賛否両論、「ブラック・クランズマン」も同様実話物かつ評価は高く他2つよりは受賞の可能性は高いがリー監督に加えオスカーと相性の悪いカンヌ映画祭作品、とどれもマイナスポイントがある。あえて選ぶなら「女王陛下のお気に入り」だが…。

監督賞を逃している「グリーンブック」、編集賞を逃している「ROMA」の方がより作品賞に相応しいかもしれない。「グリーンブック」は監督によるスキャンダルや作品のバックラッシュが強いがフィールグッドムービーかつトロント映画祭観客賞受賞である、「ROMA」はNetflix作品や外国語映画であるが圧倒的高評価・演出に加え前哨戦圧勝が強み、とプラスになる所が多い。

脚色賞のみの「アリー スター誕生」、編集賞のみの「ボヘミアン・ラプソディ」、3つ全て逃している「ブラックパンサー」に受賞可能性がないかと問われると強ちそうではない。「スター誕生」はやはり高評価と大ヒットに加えクーパー監督落選の煽りを受けて、「ボヘミアン・ラプソディ」は批評が低いものの世界的大ヒットを味方に付けている、「ブラックパンサー」は脚色賞を逃した反動に加え黒人ヒーローや女性活躍など昨今騒がれている問題を扱っておりドラマ性も持つ作品、と大逆転受賞の可能性はある。

 

予想に於いて重要視するのはやはり組合賞であり、SAGアンサンブル賞にノミネートされているかどうかも指標の一つである。例外はあるものの大抵SAGアンサンブル賞にノミネートされた作品が作品賞に一番近くなるが、それを満たすのは「ブラックパンサー」「ブラック・クランズマン」「アリー スター誕生」の3作品。前段の重要3賞などを全て満たすのは「ブラック・クランズマン」であり、白紙の状態で機械的に見るのであれば今作がトップに上がるのだがそこまでの勢いは感じない、それ以前に今作が作品賞を受賞するとは考えにくい。前哨戦未勝利なのも足かせとなっている。

 

どの作品が受賞してもマイナスポイントが浮き彫りになるのだがとりあえず消去法で。まず「バイス」の受賞はないと思われる。重要3部門を押さえていても賛否両論の上政治色強い作品である「バイス」がトップは違和感が残る。賞レース前は大本命であった「アリー スター誕生」は勢いがなくなったように思う。監督賞・編集賞落選などで票が作品賞に流れる事も予想されるがあくまでリメイク映画、主題歌賞は確実の為こちらも受賞はないと思う。PGAやトロント映画祭観客賞受賞により本命に踊り出ている「グリーンブック」だが、やはりバックラッシュの多さや作品内容などを考えると受賞は難しいように感じる。「女王陛下のお気に入り」は重要3部門も押さえ、受賞ポテンシャルは十分だがコスチューム劇を作品賞にするのは少し違和感が残る。

そんなわけで受賞に最も近いと思われるのは「ROMA ローマ」「ブラックパンサー」「ボヘミアン・ラプソディ」「ブラック・クランズマン」の4作品。前哨戦圧勝の「ROMA」が普通に受賞するだろうと思われるし、世間的には「ボヘミアン・ラプソディ」の受賞が盛り上がると思われるし、批評の良い「ブラック・クランズマン」の受賞が一番妥当ではあるし、「ブラックパンサーが受賞したらいよいよ盛り上がる事間違いないのだが…。考えても分からない事が多い今回、「ブラックパンサー」受賞でサプライズ過ぎるサプライズを期待したい。「ROMA ローマ」の方がより可能性は高いのだがどうしても受賞は引っかかるところがあり…。

 

※1 「ボヘミアン・ラプソディ」の監督のスキャンダルが発覚。作品賞に影響があるのは必至でいよいよ分からなくなった感。

※2 SAGアンサンプル賞を「ブラックパンサー」が受賞する大番狂わせ。「アリー スター誕生」と思われたが…。本当に発表される瞬間まで全く分からなくなってきた。もしかしたらもしかするか…?

※3 DGAは予想通りキュアロン。「ROMA ローマ」旋風も捨てきれない。

 

 

予想 ブラックパンサー

(普通に考えるのであればROMA ローマ or グリーンブック

 

 

 

<監督賞>

アルフォンソ・キュアロン DGA、GGA、BFCA

 

ブラッドリー・クーパーの落選はやはり衝撃が強かった。前哨戦のノミネート結果を考えても落選の可能性は低かったが仕方がない。彼の代わり、と言ってしまうのはあれだがパヴェウ・パヴリコフスキの候補入りは快挙である。とは言え候補入りこそが勝利であり受賞はない。この部門はキュアロンの勝利が確定的、優位は変わらない。前哨戦の圧勝、作品評価の高さ、編集賞落選の余波など受賞ポテンシャルは高い。唯一の不安材料は2度目の受賞と言う点。それを避けるのであればスパイク・リーの可能性もある。「ブラック・クランズマン」は監督・編集・脚色と作品賞受賞に於いて重要な3つを押さえており、とすると監督賞も大逆転で受賞という可能性も捨てきれない。今までの功績などを加味すれば…。もしくはアダム・マッケイの線もある。「バイス」も同様重要3つを押さえており、予想以上にノミネートされている所から業界内では人気がありそうでもある。2度目の候補入り、順当に行けば…。あるいはヨルゴス・ランティモスの線も0ではなく、作品が予想以上に強かったらその流れに乗って受賞もあるか。

と並べてみるが、キュアロンの圧倒的優位は揺るぐ事はない。キュアロン2度目の受賞は目前だろう。

 

※1 DGAは順当にキュアロンへ。受賞はほぼ確定的。

 

 

予想 アルフォンソ・キュアロン(ROMA ローマ)

 

 

 

<主演男優賞>

ラミ・マレック SAG、GGA

or

クリスチャン・ベール GGA、BFCA

 

SAGにもノミネートされたウィレム・デフォーが候補入り、前哨戦では目立たなかったもののやはりSAGの影響力は強いらしい。しかしデフォーの受賞は今回もないだろう。前哨戦圧勝のイーサン・ホークがいない今回、マレックとベールの一騎打ちの構図で受賞もどちらかになるのが支配的である。両者とも実在の人物を演じており、双方ともに作品は賛否両論と似たような立場でもある。勢いはマレックにあり、SAG受賞によりオスカーに一番近いと思われる。もちろんベールにチャンスがないとは言えないが、仮に受賞した場合2度目になるわけで躊躇される可能性はある。ブラッドリー・クーパー、ウィレム・デフォー、ヴィゴ・モーテンセンにもチャンスはあるはず。クーパーとデフォーは4度目、モーテンセンは3度目の候補となりいつ受賞してもおかしくない状況だ。デフォーは作品の勢いがなく受賞もないだろうが、クーパーとモーテンセンは作品評価や興行成功などもあり受賞の可能性はありそう。特にクーパーは監督賞落選もあり票が集まりやすいと見る。

とは言え受賞はマレックに分があると予想する。世間の勢い、SAG受賞…。さすがにベール2度目の受賞は難しい。

 

予想 ラミ・マレック(ボヘミアン・ラプソディ)

 

 

 

主演女優賞

オリヴィア・コールマン GGA、

or

グレン・クローズ SAG、GGA、BFCA

or

レディー・ガガ BFCA

 

ヤリーツァ・アパリシオのサプライズ候補入り、エミリー・ブラントの落選などがあったが、賞レースは3人に絞られていた。レース前半はコールマンとガガが賞を分け合っていたように感じる。批評家としてはコールマンの方が分があったが、ガガのパフォーマンスも素晴らしい物でありどちらに転んでもおかしくない空気があった。しかし重要3賞発表になるとクローズが浮上、コンプリート受賞を果たした。そもそも今年度はクローズが受賞するだろうという声が支配的だったが、作品パワーの弱さかあまり目立っていなかった。とは言えここまで来ると功労票も含めて受賞に限りなく近くなっていると思われる。次点コールマンの受賞も有り得そうだが、もしかしたら助演で…という節もあるかもしれない事を考えるとやや不利か。ガガは候補入りこそ勝利と言う声もある可能性もある。アパリシオ、メリッサ・マッカーシーは受賞の可能性は薄いと見る。

そんなわけでクローズの受賞を予想する。

 

予想 グレン・クローズ(天才作家の妻 40年目の真実)

 

 

 

 

助演男優賞

マハーシャラ・アリ SAG、GGA、BFCA

or

リチャード・E・グラント

 

サム・ロックウェルがサプライズで候補入り、去年の余韻も残ってる為とも言えるが受賞はまずない。アダム・ドライヴァー、サム・エリオットの線もないと思われる。エリオットは作品の勢いがあれば受賞も有り得たかもしれないが、作品の勢いはほぼ無風に近い。この部門で前哨戦を分け合ってたのはアリとグラント。重要3賞発表まではどちらも拮抗しており受賞経験のないグラントの線も考えていたが、重要3賞全てをアリが受賞し勢いはアリだと思われる。ただ数年前に助演男優賞を受賞しているのを加味すると…、と考えるがクリストフ・ヴァルツの例もあり、アリの受賞が堅いと見る。

 

予想 マハーシャラ・アリ(グリーンブック)

 

 

 

助演女優賞

レジーナ・キング GGA、BFCA

or

エイミー・アダムス

 

前哨戦を圧勝したキングの受賞で決定。そう考えていたのだがSAG受賞者が波乱を呼ぶ事になった。SAGにキングは候補入りしておらず、必然的に功労票などが見込めるエイミー・アダムスの受賞が堅いと思われていた。しかしSAGを受賞したのはアダムスではなく、オスカーでは候補入りしていないエミリー・ブラント(クワイエット・プレイス)だった。こうなってくるとオスカーも誰が受賞してもおかしくない状況にはなる。しかしながら現状はキングとアダムスの一騎打ち。6度目の候補で受賞時期を模索気味のアダムスにオスカーを、という心情も分かるのだが露骨に功労票と言うのがマイナスすぎる。この部門はキング受賞で堅いはず。

 

予想 レジーナ・キング(ビール・ストリートの恋人たち)

 

 

 

脚本賞

女王陛下のお気に入り 

「魂のゆくえ」との一騎打ち。作品の勢いは「女王陛下~」

 

 

脚色賞

ブラック・クランズマン

「ビール・ストリートの恋人たち」との一騎打ち。

 

 

撮影賞

ROMA ローマ

全部門中一番簡単であるはず。「COLD WAR/あの歌、2つの心」が予想以上に勢いが出たら受賞もありだがさすがにその線はないはず。

※撮影組合賞を受賞したのは「COLD WAR」もしかしたら大波乱もあり?

 

 

編集賞

ブラック・クランズマン

実は一番予想が読みづらい部門。「ROMA」や「ファースト・マン」が候補入りしていればそちらに票が流れるのだが…。作品賞受賞ポテンシャルのある妥当な線で…。

 

 

美術賞

ブラックパンサー

「ブラックパンサー」旋風を信じる。「女王陛下のお気に入り」との争い。

 

 

衣装デザイン賞

ブラックパンサー

「女王陛下のお気に入り」が妥当だが…。

 

 

メイキャップ&ヘアスタイリング賞

バイス

ほぼ確定

 

 

視覚効果賞

アベンジャーズ インフィニティー・ウォー

「ファースト・マン」の線もあり。

 

 

録音賞

ボヘミアン・ラプソディ

「アリー スター誕生」とどちらかになるはず。

 

 

音響効果賞

ボヘミアン・ラプソディ

「クワイエット・プレイス」の線もあり。

 

 

作曲賞

ビール・ストリートの恋人たち

前哨戦圧勝。「ブラックパンサー」が受賞したら面白いが…。

 

 

主題歌賞

Shallow(アリー スター誕生)

前哨戦圧勝。ここを逃すと受賞ゼロの可能性も否めない為。

 

 

外国語映画賞

ROMA ローマ

前哨戦圧勝。作品賞に票が流れた場合「万引き家族」「COLD WAR/あの歌、2つの心」の線もあるが相手が強すぎる。

 

 

アニメーション映画賞

スパイダーマン:スパイダーバース

前哨戦から考えて本作。

 

 

 

ブラックパンサー 作品、美術、衣装デザイン

ROMA ローマ 監督、撮影、外国語映画

ボヘミアン・ラプソディ 主演男優、録音、音響効果

ビール・ストリートの恋人たち 助演女優、作曲

ブラック・クランズマン 編集、脚色

天才作家の妻 主演女優

グリーンブック 助演男優

女王陛下のお気に入り 脚本

バイス メイキャップ&ヘアスタイリング

アヴェンジャーズインフィニティ・ウォー 視覚効果

アリー スター誕生 主題歌

スパイダーマン:スパイダーバース アニメーション映画