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今日は先日の法話の内容を、少し再整理して残しておこうと筆を取りました。


心理学だったか経済学だったか忘れましたが『アンダーマイニング効果』というものが世の中にはございます。


アンダーマイニング効果とは

Wikipediaによると『金銭や賞品などの外発的誘因が、タスクを実行する人の内発的動機付けを期待に反して低下させるものである』と説明されていますが、元々あったモチベーションが、報酬を貰えることによって失われていく効果のことを指します。


高い志をもってやっていたものでも、報酬が絡むと段々と「報酬をもらうための手段に過ぎない」という意識になってしまう、というものです。





何の本だか忘れましたが、この効果の『逆用』を説明している本があり、なるほどなと思ったことを覚えています。


こんな話でした。


アンダーマイニング効果の逆用例

昭和な街並みを想像しながら読んでいただくと分かりやすいと思います。


自宅の塀に毎日毎日近所の悪ガキたちが落書きをする。注意しても当然改善されない。そんなとき、、、


落書きをしてくれたお礼にお小遣いをあげるようにしました。毎日毎日、書いてくれた子に「いつも素敵な絵を描いてくれてありがとう」と言ってお小遣いをあげます。


それを繰り返す。


ある時、機が熟したところでお小遣いをあげるのを辞めます。


悪ガキたちは当然つまらないと感じるでしょう。そして「お小遣いをくれないなら、もう描いてあげない」と言って書くのを辞めたそうな。。。



こんなお話です。


話の構造としては「落書きをしたい」という内発的動機付け(モチベーション)を、お小遣い(報酬)を与えることで、単なる手段に形骸化させたと言うわけですね。単なる事例ではありますが、なんというか非常に上手い方法だなと感心した記憶が強く残っています。


道院長と報酬

少林寺拳法のお話になりますが、「金剛禅総本山少林寺規則施行細則」の12条によると、少林寺拳法の道院長は『無給の世話役』となっています。指導者ですらないんですね笑


道院長は少林寺拳法の指導で生計を立てることを禁じられていることは当然、お小遣い程度の報酬を受けることも禁じられています。


八正道の「正命」の金剛禅的解釈であると理解していますが、やはり指導にお金が絡むと、本来の内的動機が歪みかねないのです。


そういう意味で、無給というルールはやはり大切にすべきと思います。


動機を損なうもの

しかしながら報酬は何もお金に限定されるものではありません。


いろんな報酬があります。いくつか並べますと「名声・名誉」「地位」「感謝」「仲間」あたりでしょうか。


道院長として、もしくはもっと上の『地位』やそれにまつわる『名誉』などに内的動機が奪われることもあるでしょう。これはお金に準じてあまり褒められたものではない気がします。


人から『感謝』してもらうのが気持ちいい、という歪み方もあるでしょう。これはどうでしょうか?お金や名誉に比べたらとても健全ですよね。でも「感謝してもらえなくなったら辞めるのか?」と考えると、両手放しで褒められる態度ではないこともわかります。


「良い『仲間』ができるから(道院長をやっているのだ)」というのはどうでしょうか。外的誘引が段々と本来の目的と近づいてくるにつれて判断は難しいですが、「一人でもやるのだ!という気概が必要なのである」と言われたらそんな気もします。難しいですね本当に。


ここでお話したいのは道院長である私の持戒行として、自分の動機がブレないように、お金の面だけでなくさまざまな面から気を付けておきたいというものです。


そして、少林寺拳法はそういう人間たちが集まって「人づくりによる国づくり」という目標に向けて頑張っている組織であるということです。




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