楽な修行はないが、楽しくやれる修行はある(新しい仲間が加わりました) | 身体からの悟りを目指して ~ 少林寺拳法

身体からの悟りを目指して ~ 少林寺拳法

我孫子道院 道院長のブログ

今年は寒さがゆるまず、まだ梅の花も咲きませんが、それでも3月になりました

そして、この3月から我孫子道院はまた新しい仲間を迎えることができました


このたび入門してくださったのは、30代半ばの社会人 Mさん


Mさんは、心の強さを求めて、武道の修行を志し、

なんとこのブログをご覧になったことがきっかけで、

「自分の信念・考え方を確立したい」と考え入門を決断されたとのこと


少林寺拳法の技法の魅力もさることながら、考え方に共感して入門してくださるというのはなんともうれしい限りです


これからみんなの中で、みんなとともに修行を重ね

自己確立と自他共楽を目指して精進していきましょう


ところで、その自己確立と自他共楽ですが、その意味もきちんと理解できているでしょうか?

読本には、「肉体も精神も健全でたよりになる自己をつくる」=「自己確立」、「自分と同じように他人の幸せも考えて行動する」=「自他共楽」とありますが、もうちょっと掘り下げて、自分の言葉で説明できるようにしておきましょう


道場では、今日の学科の際お話ししましたが、

少林寺拳法の考える本当の強さとは、「自惚れではない自信を持ったよりどころとなる自分を持つこと」、そして生きる力、生き抜く力のことです


つまり、「自己確立」とは危機的状況に陥った時、何とか自力で切り抜け、生き抜く力を持つことです


ところが、いささか矛盾する話ですが、そもそも危機的状況とは、自力で何とかならない状況のことを指すわけです


そうなったとき、モノを言うのは調和力です


ひとりで何とかならない危機は、みんなで力を合わせて乗り切るしかない

そのとき、優先的に生き残れるのは、「お互いに助け合いたい」と思われる人ということになってきます


そういえば、2月28日の朝日新聞の朝刊に、次のような記事が出ておりました


◆「勝ち組」はルール守らず自己中心的?◆

「お金持ちで高学歴、社会的地位も高い「勝ち組」ほど、ルールを守らず反倫理的な振る舞いをする――。米国とカナダの研究チームが、延べ約1千人を対象にした7種類の実験と調査から、こう結論づけた。28日の米科学アカデミー紀要に発表する。

 実験は心理学などの専門家らが行った。まず「ゲーム」と偽って、サイコロの目に応じて賞金を出す心理学的な実験をした。この結果、社会的な階層が高い人ほど、自分に有利になるよう実際より高い点数を申告する割合が多かった。

 ほかに、企業の採用面接官の役割を演じてもらう実験で、企業側に不利な条件を隠し通せる人の割合も、社会的階層が高い人ほど統計的に有意に多かった。別の実験では、休憩時に「子供用に用意された」キャンディーをたくさんポケットに入れる人の割合も同じ結果が出た


http://www.asahi.com/science/update/0228/TKY201202270655.html


身近なところでも、週末の朝の高速道路で、渋滞区間の路肩を我が物顔で走っていくのは、ゴルフ場に向かうと思われる、ベンツなどの高級セダンと相場は決まっている……


要は、ずるくても、汚くても、卑怯でも、勝てばいいと思っている輩の仕業


こういう連中を、「勝ち組」などといって持ち上げるからいかんのです

少なくとも我が国では、ましてや武道家にとって、精神性が低い人は、どんなにお金持ちであっても、下の下であり、下等な人物と位置付けなければなりません


先の朝日新聞の記事を取りまとめた研究チームは、

「(お金や地位など)社会生活のための資源が増え、他人に頼らないで済むようになるほど、自己中心的な社会観が形作られる可能性がある」と指摘して、この実験結果を総括している

誠に嘆かわしい限りです


そういう自己中心的に振る舞える人間は、

他人に頼らないで済む生活など、人生のごく一時であり、例外的な期間であるということを、度忘れしているとしか思えない


人間、誰もが老いるし、弱る

また一年前のあの大震災を思い出せばわかるように、ひとたび危機的状況が訪れれば、「勝ち組」の皆さんのよりどころ、「お金」がいくらあったとしても、食べ物も買えなきゃ、水も買えない。ガソリンもなければ、トイレットペーパーも、寝るところもないという状況にさらされるわけです


というわけで、「本当の強さ」を手に入れるには、頼れる自己を確立するとともに、他人と助け合える調和力を鍛えることは欠かせないのです


自他共楽の「楽」は、「楽ちん」の「楽」ではありません

「共に楽しむ」という意味です


ホンダの創業者、本田宗一郎さんが、

「楽にやれる仕事はないが、楽しくやれる仕事はある」という言葉を残されていますが、少林寺拳法の修行にも同じことが言えると思います


つまり「楽にやれる修行はないが、楽しくやれる修行はある」


新入門のMさんをはじめ、他の社会人拳士や、学生拳士も、仕事や学業、プライベートや部活と、少林寺拳法の修行を両立、鼎立させていくのは決して楽なことではないでしょうが、仲間がいれば楽しくやれます


少林寺拳法の修行は楽しいものです

もっともっと仲間を増やして、自他共楽の輪を広げ、生きる力をパワーアップしていきましょう


そのためにも、Mさんに続く、新しい仲間を引き続き大募集いたします

この春から、一緒に少林寺拳法をはじめてみませんか?


身体からの悟りを目指して ~ 少林寺拳法

(開祖 宗道臣先生の色紙)

本日の「身体の知能指数」 (PQ=physical quotient) 『106』