『幸村くん、わかんないところがあるから教えてほしいんだけど?』


彼女とのきっかけは他愛もないこのセリフからだった






同じクラスで席も隣

ずば抜けて奇麗とは言わないけれど明るくて誰にでも優しいからクラスの皆からは好印象を持たれていた




そう



俺も・・・・






「わかった、それじゃ練習の後でもいいかな?」

『ありがとう、待ってるね』






練習が終わり、早々に着替え彼女の待つ教室へと向かう

「待たせたね」

『ううん、大丈夫。少し一人でやってみたんだけどやっぱりわからなくて…』


「どこ?」

『ここ』



机を挟んで正面からノートを覗き込み問題の説明をする

『あ、そっか…勘違いしてた』

「その定義で次のもできるはずだよ」


静かな教室に響くのはシャーペンの走る音

時々質問をしてくるけど俺の話をちゃんと聞いて勉強に集中してる彼女


『できたぁ』

「どれ?…ん、できてるよ」


『やったあ』

「お疲れ様」



気が付くと外は日も暮れ暗くなりはじめていた


『ごめんね?こんな遅くまで付き合わせちゃって』

「いいんだよ、君と一緒にいたかったんだから」



『え?』



気が付けば彼女を抱きしめていた

『幸村…くん?』

「ずっと好きだった」


真っ直ぐ見つめると彼女の目から涙がこぼれ落ちた

「すまない、迷惑だったね」


慌てて離れようとしたとき

『違うの』

俯きシャツの裾を掴み小さな声で呟いた


「何が違うんだい?」

『私も…幸村くんが…好き』


震えるような声で俺に答えてくれた



「大好きだよ」

頬を押さえ上げそっと口づけをする


唇を離し見つめれば真っ赤に染まる彼女の顔がとても愛おしくて抱きしめさらに深くキスをする






『外、すっかり日が暮れちゃったね』

「俺が送っていくから心配ないよ」


『うん』



手を繋ぎ教室を後にする