9名の販促のプロが集まって販促の視点100を書き上げました。
いろいろな環境や異なる実績の著者が集まったので、調整などなかなか大変でした。それで1年間かかりました。
それでも、やっと出版に至ります。


7月初旬に商業界さんから「お店の売上を倍増したいならお金をかけずにアイデアで勝負する! 販促ウエポン100」が発売されます。


小売業、飲食店、理美容サロン店など、複数の業種を想定して書かれています。

実は、この本読む本ではなく、使う本です。
これを使ってアイデア会議をスタッフみんなで検討できる環境を創り出すことを助ける仕組みを盛り込んでいます。・・・是非、ご活用ください。



あなたのお店では、お客様が多くて非常に混雑する時間があるかと思えば、逆にガラガラの時間もあって、お客様の来店にムラがあったりしませんか。集客に大きなムラがあると来店客数が読めなくて、お店の売上計画やアルバイトやパートの人員体制、在庫管理などが立て難くて困りますよね。条件付き特典は、そんな方に役立つ販促ウエポンです。あなたがすることは、悩みに合わせて条件を設定して、その条件に合うお客様が得をする特典を提供するだけで良いのです。

例えば、ガソリンスタントのレディースデーで女性ドライバー限定のティッシュBOXプレゼントや、居酒屋で早い時間のお客様を対象に最初の一杯無料サービス、携帯電話をファミリーでまとめて契約する条件で家族割が適用されるなどが、具体的な導入例です。

■条件付き特典は「条件の設定」がミソ!

条件付き特典を導入するには、まず、あなたを悩ませている集客のムラがどういったものなのかを明確にする必要があります。ムラにはいくつかのパターンに分かれていますので、①時間的なムラ、②お客様のプロフィールのムラ、③店舗環境によるムラの3つの視点で確認してください。

時間的なムラとは、1日の中での混雑する時間帯や閑散とする時間帯の違いだけでなく、曜日や日付の違い、年間で見る月別・季節別の違いについてもチェックしてください。お客様のプロフィールのムラでは、性別や年齢別、職業などをみてください。

店舗環境によるムラとしては、天気や気温の変化、地域の違い、繁華街・駅前・住宅地・郊外の違いに注意してみてください。

例えば、あるレストランでは住宅地にあるので、どうしても休日の夕方は子供連れの30代のファミリー層が多く、平日の利用客が少ない傾向があります。これが、このお店での条件付き特典の条件を考えるベースとなります。

一般的には、お店の集客が足りない部分を埋める方向で解決していくので、お店にどのタイミングで誰を呼び寄せたいかを考えて、条件を設定していきます。

先のレストランの例では、平日のランチに主婦同士のグループを呼びたいと考える場合は「平日ランチの女性限定」という条件を、あるいは、平日の夜に家族連れの30代ファミリー層を呼び込みたいと考えた場合は「平日ディナーのファミリー限定」という条件を、それぞれ設定していくことになります。

但し、条件があまり複雑すぎると、お客様に浸透し難くなるのはもとより、運営するスタッフでも実施の際に困惑する場合があります。そのため設定する条件は、できるだけ単純なものにする方が適しています。

また、全体的に客数が少ない店舗では、全体の売上を作っているお客様を底上げしていくために、条件付き特典を導入する場合もあります。その場合は、来店客の多い状況をそのまま条件に設定してください。

■条件に合うお客様のニーズを特典化。

条件が設定できたならば、次は、条件と合致するお客様に対して、どのような特典を提供するかを考えましょう。条件に合うお客様を集客したいのですから、そのお客様が「それなら得だな」「来て良かった」と思わせる特典を用意する必要があります。

この特典として特別に限定プレゼントを用意しても良いですし、お店で提供しているサービスを無料で提供したり、サービスをアップグレードしたりする形式もよろこばれます。たまたま来店したお客様だけでなく、お客様にその条件付き特典が浸透し、口コミや紹介で新規顧客が来店してもらうためには、ある程度の期間で継続する必要があります。だから、無理しない範囲で特典を設定しておくことがポイントです。

告知は、店内ポスターやレジでのチラシ配布だけでなく、できれば街頭配布や地元フリーペーパーやウェブサイトを活用すると、早く効果が出てきます。

飲食店では、主婦のグループ向けに「ウエルカムドリンクサービス」や「デザートビッフェの実施」、「女性グループ割引」など、ファミリー向けに「お子様はデザート無料」や「オモチャプレゼント」、「ファミリー限定メニューの提供」などを、それぞれ特典の候補例としてあげることができます。

また、雑貨店では、女性限定の特典として「限定プレゼントの進呈」や「特別割引」など、あるいは男性限定で「ラッピング無料」、「メッセージカード進呈」なども考えられます。美容サロン店では、あるタイミングでご利用いただくと、オプション・メニューにある「パックやマッサージなどの無料体験」や「ヘアパック新商品のサンプル進呈」といった特典などが、お客様に喜ばれるかもしれません。

条件付き特典は、あなたのお店の集客の悩みを解決するのに効果的な販促ウエポンです。できるだけ大きな効果を発揮させるために、今一度、お客様の来店状況などをいろいろな視点からチェックしてみてください。その来店パターンに合わせて、上手に条件や特典が設定することができれば、その悩みはやがて解決され想い描いた通りの集客が期待できるはずです。

懸賞キャンペーンというと、なんだか難しいような感じがしますが、いわゆるキャンペーンと呼ばれる代表的なプロモーションのことです。スーパーで告知されている「〇〇を買うと抽選でプレゼント」や、パン屋さんで「応募券を10枚集めると必ずもらえるプレゼント」などがその展開例で、商店街で年末に行われている福引きも、その一種です。この販促ウエポンは非常に身近でいろんなところで使われていますが、それは集客や購入を促して直接売上を上げることができるからです。


■懸賞キャンペーンは最適な方法を選択しよう!


懸賞キャンペーンは、大きく分けて「オープン懸賞」と「クローズド懸賞」の2種類があります。「オープン懸賞」は何も買う必要がなく誰でも応募できる形式で、テレビや雑誌などのマスメディア、ウェブサイトなど、何らかの形で告知して広く応募者を募り、商品名の1文字を穴埋めする問題などの簡単なクイズに正解した応募者の中から、抽選で賞金や賞品が当たるというキャンペーンです。店舗の愛称を募集するのもこの形式で行いますが、お店や商品・サービスの名前や内容を印象付けて、お店のあることを広め、お客様の興味や関心を高めて、来店につなげるために有効な手法です。「クローズド懸賞」では、応募の条件として、商品やサービスの購入や入会などが必要となります。その中でも、一般懸賞、共同懸賞、総付(ベタ付け)の3つに分類されています。一般懸賞は、商品の内に当たり券が入っていてプレゼントがもらえたり、応募はがきに商品に貼付された点数シールを集めて応募したり、購入レシートを貼ってメーカーやお店に応募したり、あるいはメルマガ会員に登録したりして、抽選で賞金や賞品が提供される方式です。共同懸賞とは、商店街にある全ての店舗で例えば500円の買い物で一枚福引券を配り、10枚で1回福引きを行う方式で、複数の店舗で同じ時期に同じ条件で同じキャンペーンを実施するものです。また、総付とは商品やサービスを購入するともれなく景品が付いてくる形式で、ドリンクなどの商品に小さなおまけが付いているケースと、商品を何個か買って点数シールを集めるとプレゼントがもらえるケースがあります。これらのクローズド懸賞は全て、商品やサービスの購入や入会などの何らかのアクションをお客様が行うことが前提となるので、直接的に売上につなげることができます。懸賞キャンペーンを販促ウエポンとして活用するには、どの方法を使うと良いのかを選択する必要があります。


■懸賞キャンペーンには実施のルールがある。


懸賞キャンペーンは展開アイデアが出しやすく、売上につながるお客様の行動を後押しすることもできます。この特徴をうまく活用したいからといって、プレゼントが高額であればあるほど良いという訳ではありません。もちろん予算の問題もありますが、景品に使える最高金額や合計金額には、景品表示法などで細かく定められていいます。オープン懸賞の景品金額の上限は無くなりましたから、予算が許せばいくらでもプレゼントすることはできます。クローズド懸賞の一般懸賞では、商品価格が5,000円未満の場合はその価格の20倍まで、商品が5,000円以上なら10万円までのプレゼントをあげることができます。共同懸賞は、購入金額に関係なく最高30万円まで可能です。それぞれ景品総額にもルールがあり、一般懸賞は売上想定金額の2%まで、共同懸賞では3%までとなります。総付の景品は、商品価格の2割までなら付けることができます。但し、商品価格が1,000円未満の場合は200円までが景品上限となります。来店プレゼントも200円までとなります。また、キャンペーン応募で集められる情報は見込客のリストになりますが、個人情報にあたりますので、その取り扱いには十分に注意が必要です。例えば、飲食店のオープン記念キャンペーンとして、来店ごとに1枚応募券を進呈して、必要事項を記入してレジで応募を受け付けて抽選結果を店内ポスターで貼り出す展開ができます。この時、料理の最低料金が500円なら、景品は10,000円まで抽選であげることができます。また、美容サロン店をオープンする際には、施術の最低料金が3,000円なら来店記念として来店したお客様に600円までの景品を渡すことができます。雑貨店のある商店街全体でキャンペーンを行うなら、仮に500円で1枚抽選券を配布して、10枚集めて抽選する場合、最高30万円までの景品を特賞にすることも可能です。


先に示したルールを守れば、プレゼントは何を選ぶことはできます。

お客様がもらいたいと思える景品で、お店の商品やサービスをイメージできるプレゼントを設定していけば、来店と購入を促すだけでなく、お店のブランドのイメージを膨らませることもできます。直接的な効果が期待できる販促ウエポンのため、細かいルールがありますが、ルールを守って成果を上げる展開を行ってください。

あなたのお客様は、お店の中で買い物を楽しんでいますか。

今はモノに溢れており、ただ商品を並べさえすれば売れる時代は、もう遠い昔のこと。商品がどのように自分のライフスタイルに役立つのか、どれだけ自分らしい暮らしを実現させてくれるのか、これまでより多様な視点で購入するかどうかを判断するようになってきました。

この状況の中、楽しい買い物を提供して、お客様の大きな関心を引き、来店や購入を促すことに成功している店舗もあります。その工夫の1つに、売り方のエンターテイメント化を上手く販促ウエポンとして活用できているかどうかがあります。


■エンターテインメント化は大きな来店理由になる

では、店舗にエンターテインメントという視点が導入されるとどうなるのか、具体例を挙げていきましょう。

最近、休日の朝、家族全員で車に乗って郊外のショッピングモールに出かけ、家族めいめい行きたいお店を見て回り、食事の時間に約束の場所に集まって食事するというスタイルを良く見かけます。これは、ショッピングモールの持つ色々な種類の専門店が並んでいる特性が、1日中、家族が別々に楽しめるエンターテインメントとして浸透したための行動だといえます。

現在のお客様は商品を買うにしても、コンビニ・スーパー・百貨店・専門店といった様々なお店から選択ができますし、購入手段も自宅パソコンで、電車に乗っている時ケータイで、通勤時に駅ナカの店で、オフィスでカタログを見てなど、様々な方法があるので時間や場所も選択できるようになってきました。そのため、多くの選択肢の中からまず自分のお店を選択してもらうことが必要となってきます。この時、売り方をエンターテイメント化することで、来店した時の驚きや楽しく買い物できたことを思い出させて、再来店につなげていくことができるのです。

他にも、エンターテイメント化が来店理由になっている店舗があります。

北欧生まれのインテリア店では、お客様は始めに部屋ごとのレイアウトのショールームを見て回り、気に入った家具を下の倉庫でピックアップしてレジに進む形式を提案して、今までにない買い物のスタイルとしてファミリーを中心に人気を博しています。今では口コミが広がり、来店したことがないお客様も「行ってみたい」と思う店舗となっています。

また、北海道のバーガーショップでは、店舗ごとの商圏に合わせテーマを設定して、店舗の外装や内装、アトラクションなどに違いを出しているので、来店客は席が空くまで飽きることなく待っていることができます。さらに、他の店舗が気になり行ってみたくなるため、周辺の店舗を回って楽しんでいるお客様も実際にいるそうです。再来店だけでなく、店舗間の回遊にも成功している事例です。


■サプライズやワクワクがエンターテインメント

しかし、売り方のエンターテインメント化は、なにも設備を大幅に改装しないと実現できない訳ではありません。売り方を工夫するだけで、エンターテイメント性を打ち出すことができます。

あるスーパーでは、ただ安売りをするのではなく、ビニール袋に野菜や果物などを入るだけ入れて買う「詰め放題」スタイルを導入しています。これは一種の特売ですが、袋に詰めるゲーム性で老若男女問わず楽しめる買い物となっているのです。また、ニューヨークにあるスーパーの青果売場では、色々なカット野菜が並ぶサラダバー形式で、好きな種類を欲しい分だけ、野菜を量り売りしていました。その売り方が売場として目立ち、楽しくて便利な売場であると話題になったのです。

以前、何かの記念日で予約していったレストランで、メイン料理の最後の仕上げの調理を席でしてくれたことがありました。その時のサプライズもエンターテインメント化の一つで、想い出創りに一役買うことで、お店は忘れられない思い出の店に変えています。

ある寿司屋では、時間を決めてマグロ解体ショーを開催し、そこで解体したマグロの切り身のパックや赤身やトロのお寿司をその場で販売しています。ただお寿司を売るだけでなく、ワクワク感や新鮮感のあるエンターテインメントで販売しています。

他にも、美容室のヘアセットでいつもと違う自分の姿を見せてくれたり、雑貨店のショーウィンドウのディスプレイで物語を作ったりするアイデアもあるでしょう。

要は、売場にサプライズがあり、お客様がウキウキ、ワクワクしながらハッピーに買い物ができるように工夫すれば良いのです。


今はいつでもどこでも欲しい商品を手に入れることができます。ただ商品が安いとか買いやすいだけでは満足できず、ショッピングそのものを楽しむ空間であることを求めるお客様も増えてきています。売場にエンターテイメント性も問われる時代になってきたのです。あなたのお店でも販促ウエポンとして、売り方のエンターテイメント化を導入して、お客様に驚きやワクワクを提供してみませんか。




皆さんの財布の中にメンバーズカードなどお店からもらったカードが何枚か入っていませんか。あるいは、誕生日の前にお店からメッセージカードが来たりしませんか。「メンバーシップ制度」とは、そういったツールを使って、お客様との関係を深くしていく仕組みで、「会員プログラム」とも言われています。飛行機のマイレージサービスも、商店街のスタンプカードも、ドラッグストアのポイントカードも全て、メンバーシップ制度の一種です。それだけ私たちの生活の中で非常に身近に、いろいろな形で使われている仕組みです。

■メンバーシップ制度は既存客の売上を伸ばす。

どうしてメンバーシップ制度は、いろいろな会社やお店で使われているのでしょう。

理由は2つあります。1つは新規のお客様を獲得するために必要なコストに比べて、既存客の売上を活性化するためのコストの方が低いこと。どこにいるか、どういう人なのかわからない新規客を獲得するために、高いお金を使って広いエリアに投網をするような広告活動するより、どんな人なのか、どういう買い物をするのか知っている既存客に、選んでDMなどを使ってアプローチする方が効率的ということで、イメージしやすいと思います。

2つめは、マーケティングの「パレート法則」として有名ですが、2割の優良顧客が売上全体の8割を占めていること。最近は、3割から4割の優良顧客が売上8割を構成しているケースもあるようです。いずれにしても、常連客が売上の多くを占めているのには違いないので、既存客を大切にすることが必要なのです。

このことから、既存のお客様の来店や利用頻度を上げて売上を上げていったり、まさに顧客育成プラグラムとして、リピート客を常連客にしたり、休眠客へのアプローチを図ったりするなど、より強い顧客のピラミッドを創り上げていくために、メンバーシップ制度が導入されています。

■メンバーシップ制度はお客様との関係を築くことが大切。

では、どうやってメンバーシップ制度を導入すれば良いのでしょう。

ある美容室では、新たに来店したお客様にはお客様情報を収集して、メンバーズカードを配布しています。そのカードと連動したカルテを作成して、次回来店した時に情報を共有して、安定したサービスを提供できる体制になっています。また、メンバーズカードはWhite」「Bronze」「Silver」「Gold」の4種類に分かれています。例えば、「White」会員では、初回来店したお客様に、あらかじめ1個スタンプを押したメンバーズカードを渡し、あと2回来店すると2,000円相当のプレゼントがもらえ、次の「Bronze」会員にランクアップできます。徐々にハードルは上がっていきますが、その分、良い特典が提供されます。最終的な「Gold」会員には、技術料金が永久に10%OFFとする特典が付与されます。

このメンバーシップ制度には、顧客心理を考慮した工夫がされています。初期段階のお客様は再来店率が低いので、早めに特典を与えてリピート率を高めています。また、上位のランクでは、次のランクへ上がるのに多少時間がかかる設計ですが、ランクが上がれば特典もその分ランクアップしていきます。お客様に一定の段階ごとに達成感を与えることと、ランクが上がる楽しみを与えています。さらに各カードはランクごとに色分けされていて、来店した時に店員だけでなく、他のお客様にも一目でわかるデザインであることも、自尊心をくすぐりお客様の意欲を高める工夫といえます。

このようにメンバーシップ制度で重要なことは、お客様をどう囲い込むか、お客様をどのようにランク付けていくかです。そのためにお客様とつながるカードを作って、ランクに合わせて特典を提供することが重要な要素となります。

飲食店では、来店ごとにスタンプを押して、一定数貯まると料理を1品プレゼントしたり、お客様の誕生日には乾杯ドリンクを進呈したりする展開が考えられます。ある居酒屋では、メンバーズカードが名刺になっていて、利用頻度に応じて肩書きが昇格していく、面白い仕組みを取り入れています。

また雑貨店なら、来店回数や購入金額に合わせて、割引率を段階的に上げていくことが、お客様にとって最もメリットのあるサービスとなるでしょう。また、利用実績に応じてプレゼントを進呈するのも、お店のファン創りに役立ちます。

他にも、商店街の参加店舗全店でメンバーシップ制度を導入して、どのお店に行ってもお客様のランクに合わせたサービスを提供するようにして、商店街全体の来店頻度を高める努力をすることもできます。

メンバーシップ制度は、進め方のコツさえわかれば、導入は意外と身近で簡単な販促ウエポンです。但し、一度初めてしまうとすぐには止めることはできませんので、その点は注意しましょう。あとは、お店のお客様の特性に合わせて、ランクとサービス特典を工夫してください。実施しながら修正していけば、あなたのお客様をファンにすることができ、大きな売上を産み出す体制が築けます。