今年の初めに、
『和食、無形文化遺産登録顛末記 / NHKBS「アナーザーストーリーズ 」より』
を投稿してきました。
「アナーザーストーリーズ “世界が絶賛! 和食~無形文化遺産登録~”」に沿って、
登録にいたるまで経緯を紹介したのですが、番組には続きがあります。
無形文化遺産登録によって、
翻弄された料理人たちの姿があったのです。
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ミシュランガイドが日本で出版されることが決まったのは、
2008年のことでした。
出版は、日本の料理人たちに、大きな影響を与えました。
星を獲得すると、周囲の人たちの見る目が変わるからです。
和食が無形文化遺産に登録される5年前、
ミシュランガイドに、二つ星に格付けされたある天ぷら店がありました。
2011年には、天ぷら店として、初めて三ツ星に選ばれました。
そのお店が、和食が無形文化遺産に登録されたあと、
ガイドに掲載しないでくれと、申し入れたのです。
担当者は、さぞや面食らったことでしょう。
ミシュランに三つ星で名前が載れば、
そこの料理は一流中の一流とのお墨付きがもらえたようなものなのに、
店名の掲載を拒んだというのです。
担当者にとっては、
前代未聞のことだったに違いありません。
上司に相談する、
と答えが返ってきたそうです。
しかし、
掲載するかしないかは、掲載する側の恣意にゆだねられています。
いくら頼んでも、選者の評価が得られなけれは、載りません。
無理筋で権力者に頼んでも、
信用を落とすようなことは、出版社からは断られるはずです。
まさに、恣意性と評価の信頼性が、
このガイド本の、レーゾンデートルだからです。
しかし、
選ばれた側が辞退するというなら、
その意志は優先されるべきです。
出してほしくないという店主の思いに、
出版社側の恣意が入り込む余地はないと思われます。
勲章だって、上からやるぞといったって、
もらう方がいらないよといえば、それまでです。
申し出の翌年から、
ミシュランに、三つ星天ぷら店の名前は、ありませんでした。