神話の国、出雲の国でも最も訪れてみたかった場所、黄泉の国への入り口といわれる「黄泉比良坂」、、場所は東出雲町の揖屋(いや)町です。
山陰線の揖屋駅から歩いて向かいました
のどかな里山なのですが、「黄泉の国への入り口」へ向かっているという感覚から神秘的というか、切ないような胸が締め付けられる景色に感じてしまいます。
入口をくぐると石碑がありここには神話の伊邪那岐命(いざなぎのみこと)と伊邪那美命(いざなみのみこと)のくだりが書かれていました。
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ここで黄泉比良坂についての神話の世界をほんのちょっと・・・
日本列島を作ったという世界ではじめての夫婦神の伊邪那岐命(いざなぎのみこと)と伊邪那美命(いざなみのみこと)、火の神を生んだ伊邪那美命がその火によってやけどを負い命を落としてしまいます。
妻に会うために伊邪那岐命は地の底にある黄泉の国を訪れます。
黄泉の国の伊邪那美命は以前と変わらない姿でほほ笑み伊邪那岐命は一緒にこの世に戻ろうと告げました。
しかし伊邪那美命は黄泉の国の食べ物を食べてしまったので既に黄泉の国の住人となっていました。
伊邪那美命はこの世に還れるように黄泉の国の神様に頼んでみるのでその間絶対に姿を見たり扉を開かないようにと伊邪那岐命に告げます。
ところが待てども待てども姿を現さない伊邪那岐命にしびれを切らした伊邪那岐命は待ちきれなくなりとうとう扉を開いて中に入ってしまいました。
すると暗闇の奥に腐乱した伊邪那美命の姿があり恐れをなした伊邪那岐命は慌てて黄泉の国を逃げ出します。
約束を守らず扉を開いて中に入った伊邪那岐命に怒った伊邪那美命は夫を追いかけます。
追いつかれそうになった伊邪那岐命は巨石を投げて黄泉比良坂を塞いでしまいました。
この巨石が千引岩で、この岩を挟んで伊邪那岐命と伊邪那美命は有名な以下の会話をしました。
伊邪那美命「私と別れるならばこれから先、一日千人殺そう」
伊邪那岐命「ならば私は一日千五百人を生みだそう」
こうしてこののち日本の人口は増え続けたといわれています。
この後、伊邪那岐命は黄泉の国で身に付いてしまった穢れを洗うために禊払いをし、左の目を洗うと天照大御神(あまてらすおおみかみ)、右の目を洗うと月読命(つくよみのみこと)、鼻を洗うと須佐之男命(すさのをのみこと)の最も尊い神様・三貴子が生まれという事です。
注、三貴子の誕生については日本書紀とでは記述に相違があり上記は古事記のもの
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石碑の奥には伊邪那岐命が投げて塞いだという千引の大岩がありました。
走りやすそうなトレイル路という感じですが、もしかすると伊邪那岐命が黄泉の国の追っ手からこの道を逃げ帰ったのかもと思うと少し緊張してしまいました。
空気というかやはりどことなく神秘的な気配を感じます。
少し進むと下り坂、周辺には人が全くおらずこのまま黄泉の国へ迷い込むのも困るのでここで引き返しました。
ここからほど近い(北西方向)場所に伊邪那美命を祀った出雲地方最古の揖夜神社があるというので向かってみました。
実際は黄泉比良坂の伝承地に創建されたということなので偶然近くにあったというわけではないようです
途中、道標が全く無く少し不安になります。
駅や地名は「揖屋」で屋の字を使いますが神社が「揖夜」の夜の字なのは少し不思議です。
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ちなみにここから西へ10kmほどの八重垣神社の御祭神は三貴子の一柱、須佐之男命と稲田姫命です。
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今回は揖屋駅(いやえき)から黄泉比良坂~揖夜神社~揖屋駅へ戻るという道筋で1時間弱で歩いて廻れました。
山陰線が1時間に1本なので次の電車にすれすれ間に合います。
国道9号の黄泉比良坂入口にはバス停もありました。
日の丸バスの平賀という停留所です(写真は安来駅・米子駅方面時刻)
もし行かれる方がいましたら参考にしていただけると嬉しいです。