既にご存知の方も多いかもしれませんが、
まず総合商社のビジネスモデルから簡単にご説明します。
商社のビジネスモデルは2つに大分されます。
① トレーディング(貿易)
② 事業投資
1つ目のトレーディングは、皆さんが想像する"the 商社"らしい、
昔ながらの、いわゆる貿易のお仕事ですね。
「あれが欲しい!」というお客さんと、「これを売りたい!」という
売主さんを繋げて、その間のマージンを抜いて稼ぐモデルです。
商社は、需要と供給を繋ぐ役割です。
商材は多岐に渡ります。
石炭、鉄鉱石、化学品、金属、自動車、機械、食料品、繊維原料…
各商社とも、商品ごとに部門/部署が分かれており、
基本的にその商品だけを扱うことになります。
だから、あなたが、化学品の部署に配属されたら、
これまで化学品などまっっったく興味なくても、
嫌でも化学品のことばかり考える(考えなければならない)日々になるわけです。
2つ目の事業投資は、昨今トレーディングに代わり収益の主流と
なりつつあります。
簡単に言えば、「これはイケルんじゃないの?」と考える商売を、
会社を作って経営してしまおう!ということです。
商社は、「この国で、これ売ったらイケるんじゃないの?」という
アイデア出しはしますが、自分達だけでモノを製造できるわけではないので、
基本的にどこかパートナー企業(たとえばメーカー)との合弁会社になります。
例えば、
日本で有名な食品メーカーがありますよね。
日本では市場シェアNo.1で安泰。でも、今後人口減少が約束されている日本市場に
留まっていては未来がない。海外進出したい。
でもどうやったらいいかわからない。
どういうものが売れるかわからない。
その国特有の規制があるかもしれない。
原料どうやって輸入したらいいかわからない。
販売ルートどう開拓したらいいかわからない。
工場の設備投資したはいいけど全く売れないかもしれない。
リスク高すぎて不安。
そこで「じゃあリスク取りますから、一緒に海外進出しましょうよ!」と提案して、
カネとヒトまで出しちゃうのが総合商社。
一緒にヒトとカネを出し合って、会社を作って経営していく。
モノをつくるプロであるメーカーはモノづくりに集中してもらって、
モノをつくれない商社は、資金と経営人材を送り込んで、事業経営に注力する。
お互いの強みと弱みを補い合いながら、Win-winな関係を築いているわけです。
その事業会社に送り込まれるヒトは「出向者」といって、本社を離れ、
毎日その事業会社に出勤し、その会社の業績向上に努めます。
この事業会社(子会社/持分会社)が稼いだ利益のうち、
商社の持分(事業会社の純利益×出資持分)が本社の決算に組み込まれるため、
かなり責任重大です。
連結子会社の数は、
2016年12月7日付の東洋経済によれば、
(多い順に)三菱商事 815社、住友商事 577社、伊藤忠商事 571社、丸紅 299社、三井物産 275社。
これは連結子会社だけですから、持分法適用会社も合わせればもっともっと多くなります。
「最新!連結子会社数が多い500社ランキング」
http://toyokeizai.net/articles/-/148380?page=2
これらの事業会社は世界中に広がっていて、それぞれに出向者を出すわけですから、
必然的に海外駐在者も多くなるわけですね。
そして、事業投資は、長期的には投資しっぱなし、ではなく、Exit(株式売却)も見据えます。
自社が保有する株式を売却し、その売却で得た資金を、また次の投資に回します。
先ほどは食品メーカーの例を出しましたが、
油田開発プロジェクトや鉱山開発プロジェクトなども事業投資に該当します。
トレーディングと事業投資、なんとなく伝わったでしょうか…?
更に、イメージしやすいように質問形式にしてみます。笑
個人的見解が入っているので、ご参考までに。。
Q. どちらがスケール大きいの?
もちろん案件によりますが、これは事業投資の方ではないでしょうか。
トレーディングは日々の細かい取引の積み上げですので、数百万、数千万単位の利益しか
稼げない取引も多々あります。
一方、事業投資は、基本的に最低でも億単位、大きいものは数千億円規模の投資になります。
Q. どちらが若手の裁量大きいの?
これはトレーディングの方ではないでしょうか。
事業投資は、投資規模が大きい分、1つの投資先を複数の担当者で担当することになります。
そのため、一人ひとりの裁量は必然的に小さくなっていきます。
入社2年目ぐらいの頃は、海外出張行ったり成約をとったりするトレーディング担当の同期を見て、
羨ましく思っていました。笑
Q. どっちが激務なの?
これは偏りがあって何とも言いがたいです。
トレーディング業務のほうは、基本的に海外とのやり取りが多いため、
時差に苦しめられているイメージです。
アメリカなんかは正反対ですから、帰宅後に電話会議をすることも…。
一方、事業投資は、投資実行や株式売却などの一連のプロジェクトは非常に忙しくなります。
私も、本当に忙しい時期は、徹夜や土日出勤もありました。
(基本的には超絶ホワイトなので、土日出勤はありません!)