上の子の通う塾でゴールデンウィーク中に志望校の見学に行った方がいいとアドバイスされ、子どもの日に家族でその高望みの志望校に見学に行ってきた。
息子もいるし車で行ったのだが、実際の通学で使う駅の近くの駐車場に車を停め、そこからおそらく毎日上の子が通うであろう道を家族で辿った。
坂道がすごいということは聞いていたが、実際に歩くと民家の裏を通るような道で細く急な坂が続き、とても景色を愛でながら毎日通えるような道ではない。
ようやくたどり着いた校舎も裏門に着いてしまったせいか、最初それに気づかず、えっここ?
ここが全国に名高い進学校なのかという、印象ののっさりとした建物だった。
そこで写真を撮って、ようやくこれが裏門だと気づき正門まで回った。
途中聞こえてくる、ゴールデンウィークの祝日というのに響く剣道部の掛け声。
合唱部の歌っている様子。
コートで球を打っている、中学生とは違う大人のような身体つきのテニス部の練習風景。
テニス部の高校生は話している内容まで分かり、その内容は進学校の生徒の話す内容と私が思うよりも、はるかに普通の子どもたちのたわいもない会話だった。
勉強ができるからと言って、
宇宙人の訳もない。
彼らも普通の子どもに過ぎない。
その思いを新たにした。
しかし道が険し過ぎて、この道を毎日登下校するのかと思うと気持ちが萎え、めんどくさいが口癖の上の子に別の志望校を目指してもいいかもしれないねと声をかけた。
だけど上の子は、この悪路でさえ楽しそうだと、趣があっていいと通いたいと言う。
正門の周りに張り巡らされたなんとかオリンピック優勝という氏名つきの垂幕。
その複数に目を輝かせて、自分はここに名前が載ることはないだろうけど素敵だねと笑う。
正門の前で、普段無愛想な上の子がおどけてポーズを撮り、それを携帯のカメラにおさめた。
ここら辺の子どもなら一度は進学することを夢見る学校だと思う。
上の子は勉強がそんなに好きではなく、親や塾の先生が〇〇、〇〇と叫び、上の子にその夢を与えてしまった。
その小さな夢に火が灯り、親や先生が言っていたその憧れが子ども自身の憧れになるところ。
私はそれを見た。
火がついた夢が、これからどう燃え広がるのか。
上の子を悲しみで焼き尽くす炎になるのではないか。
親が安易に、ここの高校への憧れに燃料を投じてしまって、このことが1年半後、子どもを叩きのめしてしまうのではないか。
夢を与えてしまったら親にも責任があり、
上の子が夢を刈り取るときのとがは、親にある。
どのような未来が待っているのか。
子の輝いている顔が明るければ明るいほど、
未来を信じていれば信じているほど。
世の中そんなに甘くはない。
そのことを知っている大人だからこそ、親が灯してしまった小さな夢を悲しい気持ちで振り返る結果にはしたくない。
3年生の3月。
ただ笑顔で迎えさせてやりたい。