子供の頃から、アイドルが好きだった。
SPEEDやMAX、モーニング娘。に、今で言う推しメンを見つけて、
テレビ画面を通して目線を送っていた。
ただ、成人を迎えてからはその熱も冷め、
当時流行していたAKB48には興味が湧かなかった。
それが一転したのは、
あるお笑い芸人が、アイドルに混ざってライブで踊る映像を見た時からだ。
スラリとした体型のアイドルに混ざって、
縦にも横にも大きなお笑い芸人が、キレキレのダンスを踊るシュールな光景と、
それ以上に彼の両サイドにいる、アイドルの容姿の綺麗さにビックリした。
そういえば、AKB48の公式ライバルって、いたな。
数年前、会社の同期が「まだ有名じゃないが、全員の容姿が整っている」と熱弁していたのを思い出した。
そこから彼女たちのグループをネットで調べ始めた。
そこから、その妹グループ、更にそのアンダーグループにまでどハマりするのに時間はかからなかった。
こうして高校の時以来の推しアイドルを見つけた私だが、
現場に行こうとはなかなか思わなかった。
当時はコスプレ撮影に夢中で時間がなかったからだ。
それが、
深くハマるにつれて、
どうしても現場に行ってみたい欲求が高まり、
ある日衝動的に握手券を買ってしまった。
どんな現場なんだろう。自分の様な年齢で浮かないだろうか。
若干の不安を抱えながら、
その日を迎えるのを心待ちにしていた。
新型感染症の流行が訪れたのは、そのすぐ後のことだった。