某カップヤキソバに虫が混入していた件に関して、某食品工場で、品質管理とクレーム対応と防虫防鼠を担当していた僕が裏話を…。その3です(^^)
さて最後は、工場の防虫管理について。
②でも書きましたように、虫が食品に混入した場合は除去が困難なため、そもそも虫を発生させない環境作りが大切です。
…なのですが、一部の食品工場では「食品を扱っている以上、虫の発生はしかたがない」「予算がないから後回し」「クレームが出たら謝罪すればよい」という発想になってしまっています。
※もちろん、そうでない食品工場も多々あります。
例えば、僕が担当者だった時の実例なのですが
【休日前の清掃作業でゴキブリの死骸を発見】
その日の製品の製造が終わった夜の9時ごろ、清掃作業中にゴキブリの死骸が発見されました。
その時間帯の品質管理責任者だった僕が現場を確認し、
「発生源と思われる場所の徹底清掃」
「周辺に殺虫剤の散布」
「ゴキブリホイホイの設置による経過確認」
を提案したところ
「徹底清掃,に回せる人員がいない」
「ゴキブリホイホイの在庫が無い」
という話になり、結局は殺虫剤散布のみしか行えませんでした。
ゴキブリの生命力と繁殖力は強く、もし殺虫剤で全滅させられなければ工場内で大量に発生し、製品に混入する可能性があったにも関わらず。
「休み明けの会議で相談し、対応を考える」という結論になってしまいました。
※現場の判断では動けず、上司の承認を得られなければ、この程度の対応すら許されない場合もあるのです。
この件については最終的に、帰宅している上司に電話で承認を求めたのですが、先延ばしにされました。
これが例えば「機械に異音がする」や「部品が足りない」などのトラブルですと、問題が解決されるまで帰れません。
製品に不具合が出る可能性や異物混入に繋がるからです。
虫の場合も、異物混入のリスクはあるのですが、「食べても危害は少ない」という事からか、軽視される傾向にあります。
※これはあくまでも僕の体験した一例であり、今回のカップヤキソバの工場がこのような管理をしているとは限りませんのでご理解ください。
某カップヤキソバに虫が混入していた件に関して、某食品工場で、品質管理とクレーム対応と防虫防鼠を担当していた僕が裏話を…。その2です(^^)
さて、混入経路がだいたい特定できたところで、次は混入したものを発見,除去できるか、という話。
まず異物除去装置による発見,除去については、難しいです。
例えば金属やガラスならば、金属検出器,X線検出器で発見,除去することが可能です、ですが虫の場合、これらには反応しません。
ではどうやって機械的に虫を検出するか、例えば色で発見する方法があります。
虫や製造過程で発生するコゲなどが食品の表面に付着している場合その色(黒)を異物として検出し除去できる装置はあります。
しかし、元々が黒っぽい食品や、今回の麺のように表面が凸凹に入り組んでいて「影」が発生するような食品の場合、誤検出が多発するため、使用できません。
ではどうやって発見するか、それは人の目に頼るしかありません。
しかし、この人の目に頼った作業は、作業者の集中力で感度が左右されるため、品質保証能力は低く、またこの作業は賃金の安い派遣社員が任されることが多いです。
派遣社員が悪いという訳ではありませんが
「しっかりと作業の大切さを認識,教育されずに作業している」「正社員ではないので、責任感が薄い」という傾向は正社員よりも強く、またそのような理由から作業への集中力も弱い、ということがあります。
上記の理由から、虫が食品に混入された場合、発見することは困難、と思って頂いた方がいいと思います。
では、どうするべきか、「混入したものを発見する」ではなく「そもそも虫を混入させない」という管理が必要なのです。
…というお話は。また。
つづく。
さて、混入経路がだいたい特定できたところで、次は混入したものを発見,除去できるか、という話。
まず異物除去装置による発見,除去については、難しいです。
例えば金属やガラスならば、金属検出器,X線検出器で発見,除去することが可能です、ですが虫の場合、これらには反応しません。
ではどうやって機械的に虫を検出するか、例えば色で発見する方法があります。
虫や製造過程で発生するコゲなどが食品の表面に付着している場合その色(黒)を異物として検出し除去できる装置はあります。
しかし、元々が黒っぽい食品や、今回の麺のように表面が凸凹に入り組んでいて「影」が発生するような食品の場合、誤検出が多発するため、使用できません。
ではどうやって発見するか、それは人の目に頼るしかありません。
しかし、この人の目に頼った作業は、作業者の集中力で感度が左右されるため、品質保証能力は低く、またこの作業は賃金の安い派遣社員が任されることが多いです。
派遣社員が悪いという訳ではありませんが
「しっかりと作業の大切さを認識,教育されずに作業している」「正社員ではないので、責任感が薄い」という傾向は正社員よりも強く、またそのような理由から作業への集中力も弱い、ということがあります。
上記の理由から、虫が食品に混入された場合、発見することは困難、と思って頂いた方がいいと思います。
では、どうするべきか、「混入したものを発見する」ではなく「そもそも虫を混入させない」という管理が必要なのです。
…というお話は。また。
つづく。
【ちょっと裏話①】
某カップヤキソバに虫が混入していた写真がツイッターに掲載されて大騒ぎになっているけど。
これ、どこの食品工場でも起こりうる話なんですよ。
と、某食品工場で、品質管理とクレーム対応と防虫防鼠を担当していた僕が語りますよ。
カップヤキソバのようなフライ麺は
①生地を練る
②生地を伸ばす(シート状にする)
③カットして麺状にする。
④麺を蒸す。
⑤麺を1人前分にカットする。
⑥麺を油で揚げる。
⑦揚げた麺を冷ます。
⑧パッケージに入れる
といった流れで製造されるのですが、今回は③~④もしくは④~⑤のタイミングでの混入。
おそらく④~⑤です。
と、言いますのも、ゴキブリは暗くてジメジメした所が好きです。
麺の蒸し器の工程、ここは高温多湿になりやすく、また濡れてベタベタした麺カスがエサになるので、ここで繁殖地になりやすいのです。
あと①~③での混入ですと、このサイズの虫は原型をとどめないほど粉々になり、⑤でカットしてコンベアに載った後は、虫が麺の下敷きにはならず、また油で揚げた後は麺のなかにめり込むことはありません。
つづく…。
某カップヤキソバに虫が混入していた写真がツイッターに掲載されて大騒ぎになっているけど。
これ、どこの食品工場でも起こりうる話なんですよ。
と、某食品工場で、品質管理とクレーム対応と防虫防鼠を担当していた僕が語りますよ。
カップヤキソバのようなフライ麺は
①生地を練る
②生地を伸ばす(シート状にする)
③カットして麺状にする。
④麺を蒸す。
⑤麺を1人前分にカットする。
⑥麺を油で揚げる。
⑦揚げた麺を冷ます。
⑧パッケージに入れる
といった流れで製造されるのですが、今回は③~④もしくは④~⑤のタイミングでの混入。
おそらく④~⑤です。
と、言いますのも、ゴキブリは暗くてジメジメした所が好きです。
麺の蒸し器の工程、ここは高温多湿になりやすく、また濡れてベタベタした麺カスがエサになるので、ここで繁殖地になりやすいのです。
あと①~③での混入ですと、このサイズの虫は原型をとどめないほど粉々になり、⑤でカットしてコンベアに載った後は、虫が麺の下敷きにはならず、また油で揚げた後は麺のなかにめり込むことはありません。
つづく…。