JA熊本宇城は熊本県の中南部の広大なエリアを所轄とする農協です。

ここは山間部の地区から、天草諸島への往き道にあたる宇土半島なども含むため、生育・収穫される産品も様々。


九州自動車道の松橋ICの近くに今年春オープンしたのが農産物直売所「サンサンうきっこ宇城彩館」。

オープン以来集客は堅調で生鮮青果の他、畜産品、加工品も多く販売されています。


ここのマネージャーを務めておられるのが、以前、八代振興局にお勤めされていた当時、晩白柚(ばんぺいゆ)の加工品開発の際にいろいろお世話になった江口啓子さん。

高級大型柑橘である晩白柚の中でも、価格の出にくい青果素材を加工原料として生かし、地域の農産加工活動と連動させていく取り組みを進めてきたのでした。


今回は「生姜」がテーマ。

宇城地域は日本有数の生姜産地といっても良いほどの収量があり、直売所には夏過ぎて出回る新生姜、その後のひね生姜、さらに年明けて春先の芽生姜と、活用できるシーズンが長い。


生姜の他にも、デコポン、晩柑(河内晩柑)、葡萄、桃、梨、早生ミカンなど様々な素材が続きます。


宇城彩館に並ぶ加工品の中でも、地元の加工事業者の皆さんに地域素材で出来た商品を今後大事にしたい。そのための開発を進める研究会組織の発足と運営を私どもでお手伝いすることになりました。


スタートは今年の7月。


集まって頂いたのは、現在、宇城彩館に商品を出品なさっている加工事業者さんや農産加工を行う女性達で、生姜をテーマにしたいという気持ちは研究会の発足前から持っておられたようです。


研究会の運営にあたって、江口さんと協議して以下のことを決めました。


①一次加工、二次加工という段階をおいた加工を進めていくことで、通年の商品化を可能にする。


②研究会メンバーには商品発表の場を用意し、開発後に売れる商品はどんどん店でも扱う。


③一次加工の担い手が不在な部分を我が社(職彩工房たくみ)でもカバーし当面は凌ぐ。


④③と同時に一次加工の担い手の育成を進めて、地域内で自前で加工できるようにする。


このため、③の担当作業として、今年の夏は我が社の加工室は沢山の生姜があふれました。


「職彩工房たくみ」の加工室から
「職彩工房たくみ」の加工室から

加工素材として加熱処理を行い常温で保存できる商材にしていくのは、柑橘では慣れていますが、それ以外の素材は保存性が保てるかが大きなポイントと思われました。


また、生姜の性質として、収穫して時間が経つとどんどん繊維質が増しますので、生姜の風味と繊維質の状況を勘案した加工を行うことにしました。


生姜とデコポンと晩柑のピューレが完成。


「職彩工房たくみ」の加工室から

これを使って様々な二次加工品のサンプルも着手しました。


研究会では一次加工、二次加工の成果物と加工イメージを説明し、思いの外、生姜のパンチの効いた風味、デコポンの味の濃厚さが出席者にウケて、二次加工への意欲を示してくださる事業者が数多く出てきてくださいました。


そして、二次加工品の内輪での試食会を経て、いよいよ店頭でのモニター試食販売を実施することに。

9月22日の朝、「宇城彩館」の入り口正面に特設会場が誕生し、出品者の新しいモニター商品が並びました。


「職彩工房たくみ」の加工室から

11時の開始と同時にお客さんは用意された試食コーナーに沢山来てくださいました。

試食の結果は上々で、その場で購入用の商品もカゴに入れていく人も。


何人かのお客さんからは「地元の農産品を使ったお菓子は都会の子どもにも送ってあげたい」「地元の農産品を使ったここだけのオリジナルの商品だし、思ったより味がいい」というお言葉を頂きました。


「職彩工房たくみ」の加工室から

「職彩工房たくみ」の加工室から

総じて用意された菓子やドレッシングなどは多く売れたようで、江口さんも私も少しホッとしました。


「職彩工房たくみ」の加工室から

「職彩工房たくみ」の加工室から

「職彩工房たくみ」の加工室から

「職彩工房たくみ」の加工室から

今後は試食時にとったアンケート調査の結果を踏まえながら、商品の品質と精度を高めていく取り組みを進めていきたいと思います。


そして、今月後半に地元での生姜のピューレ加工にチャレンジしたいという有志を集めた試験加工を行うことになりました。