8月25~26日にお台場の東京ビッグサイトで開催された

「アグリフードEXPO2009in東京」で「豊前棚田ゆずペースト」

の展示・試食PRを行いました。

福岡県東部の豊前市でスタートした柚子の取り組みに

関わって5年目になります。
私たちが手がけた小さな産地発の「ゆずペースト」が全国に

流通されて、国外にもファンをもつ商材として展開していく

第一歩になるのかもしれません。


道の駅「豊前おこしかけ」の白石道雄駅長を中心に

「棚田ゆず振興協議会」が5年前にスタートした当時、

「なんで今更ゆずなのか?」という思いが少しだけ私の

心の中にありました。


四国や九州内にはゆず加工の先進地が多かったので、

新たに取り組むテーマとしては「後追いだ」なんて生意気な

思いが当時の自分にはあったのかもしれません。



豊前市山間部に栽培されるゆずは、いわば限界集落の


地作物でもあります。
中でも轟(とどろ)地区は汚染源のない

清水、寒暖が大きいものの日当たりが良い気象条件など

好条件のため、薫り高いゆずが産出されます。
ここでは夏場の米つくり、秋から収穫されるゆず、いちじくが

地域農業の根幹を為しており、特にこの地区の米の美味しさ

は素晴らしい。


この小さな轟地区の米を買い取って、どこよりも良い値段で

販売し地区の経済を支えているのが白石駅長であり、

道の駅「豊前おこしかけ」でもあります。


白石さんは棚田ゆずの取り組みを、私が考えていたような

他産地との競争による勝ち負けだとか早いとか遅いとか

いった小さなモノサシでとらえておらず、美味しい米と一緒

に集落の経済活動を維持し暮らしを守る基本的な存在に

高めたいと最初から思っておられたようです。


従来はJAを通して大分県の加工メーカーにかなり安い値

で買い取られていたゆずを、道の駅が買い付けし、地元の

農産加工グループで加工してもらい、道の駅が唯一の

販売窓口として存在感を発揮し、地元の加工事業者の方々

に使ってもらう、そういう流れがこの23年はっきりと出来

てきました。


昨年11月に生放送されたNHKの朝のニュースで取り上げ

られたことも後押しになって、現在、「棚田ゆず」に関連する

製品は「ゆずペースト」だけでなく様々なものが好調に販売

されています。

今回の「アグリフードEXPO」ではそうしたいきさつの話まで

説明できないとしても、常温保存できて菓子にも料理にも

ドリンクにも使える商材として「ゆずペースト」をPRしたいと

思って臨みました。

結果は思っていた以上に上出来でした。

主催者発表では今回の催しで2日間で1.2万人の来訪者が

あったビッグサイト西1ホール。



私たちのブースでは地元協議会からの応援と、市まちづくり課

の清田大介さん、私の後輩で東京在住のMIHOちゃんが

強力な若手の助っ人となって盛んにPRしてくれる。


これに大御所の白石駅長が落ち着いたしゃべりで産地の想い

来訪者にお伝えして感動させる。

私は裏方でフル回転し試食の準備やお客さんの反応など

モニター調査し製品の可能性について観察することにしました。


「職彩工房たくみ」の       加工室から


結局この2日間で合計2500人分もの試食を配ることができ、

用意した資料を配付し、商品説明、商品への質問や取引条件

相談なども行い、いくつか実りあるお話、新たな用途など

出会うことにもなりました。


単純計算で全来訪者の5人に1人は私たちのブースに寄って


下さったことになり、延べ400近い
出展ブースの中には

強豪産地も多くいましたが、初出場の割には私たちは結構

頑張ってPR出来たのではないかと思います。

会場に数多くみられた柑橘の加工品の中でも、ジャムでも

ジュースでもなく、常温で保存できる中間素材の商品性が注目

されたのかもしれません。

そして、今回事前申し込みしていたJETROの海外バイヤーの

方々との相談会では、思った以上に「ゆずペースト」の商材の

評価をいただき、いくつかはシンボル的な出荷先として


ヨーロッパ、アジア方面での有望なお取引に結びつくのでは

と思っています。

「職彩工房たくみ」の       加工室から

このお菓子はインドの商社のバイヤーさんがくれたもの。

インドではライムの酸味を利かせたものが人気だとか。

そして、もう一つ実行したかったこと。

白石駅長と相談して、北国の特産品などとのコラボを求めて、

他の出展者への陣中見舞いを行いました。

九州にはない素材との組み合わせ、北国では得難い柚子の

風味はいかがですか?と。

ものすごく良い視点を下さるところが結構あって、こういう展示会

ならではの産地間交流が楽しめました。




2日間のイベントの終了後は私たちのブースは皆ニコニコ。

これから先の販売ルート開拓に明るい展望を抱きました。


「職彩工房たくみ」の       加工室から