早いもので十一月も下旬。前回の更新から日が空いてしまい、その間、暦の上では「冬(立冬)」を迎えました。


明日二十二日は、立冬に続き、二十四節気の「小雪」です。この一ヶ月ほど、雪輪の色無地の反物の購入を悩みに悩んで、「やっぱりいただきましょう!」とお店に問い合わせたら、タッチの差で他の方がお求めになっていました・・・・・・えーん


悩み始めた時期はまだ少し気温も暖かく、暦を確認して「雪」という文字が出てきて「やっぱり!」と思うのは、日本人の感覚として少し遅い。季節を少し早取りしていく感覚、それを上手にアウトプットしていく表現力をもっと鍛えていかなくては。


さて、こちらの画像は今年八月に譲っていただいた稲穂です。

今週二十三日は新嘗祭、勤労感謝の日です。


先日の土曜日、会食倶楽部 では『新嘗祭』をテーマに開催いたしました。平成最後の新嘗祭、来年は新たに即位された天皇陛下のもと、大嘗祭として催行されます。


普段、なかなか馴染みがない行事(祭祀)なだけに、会食倶楽部のメンバーの方々には改めて、このタイミングに学びを深めていただきました。



でも、今回の更新も前回に引き続き、九月に開催した『お月見月 満月についてで、すまんねあせる  


敢えて、会食倶楽部 の様子については、講義内容やクラス構成を昨今、余所で後追いという形で真似られる(悪く言うとぱくられる)傾向にあることを察知しているため、後にずらすかたちで、解説も抑えて更新することにしています。

 

「ぱくる人」というのは、イージーに影響を受けやすい傾向にもありますので、十分な注意と自覚がその人本人にも求められます。


「ぱくる=かすめとる」。「ぶんどる」にも至らないものだと私は思っています。


それは、その人の「分(分際)」自体がそもそも知れているものなので、それを超えた「分」を盗ることは、所詮できないのです。自分の器、技量を努力して上げるしか術はありません。誤魔化しが利かないため、まず身近な人に、人間性と共に見破られるものになります。


よって、受講料を頂戴できるに値する、十二分のインプットにまずは、また改めて励むことを期待したいと思います。私自身も長年、指導を仰いできた上でのアウトプット。恩師のお顔を潰さないよう、正しく伝えていくことに、「伝統」はあります。


真似るに至るものでもなく、「ぱくる」。これは本当に嫌なものですね・・・・・。自分で記していても気分の悪い言葉、卑しい精神性だなと感じます。


ぱくることに陥ってしまうのは、自分の持ち合わせが乏しいから。そこに気が付くこと、ぱくることではなく、引出を増やすことに努めれば、自信を持って、豊なものを、その人自身の付加価値をつけて、提供できるようになります。

 

多くの方にとって、お目汚しになる文章、失礼いたしました。たった一人、ぱくるが習慣のあなたへ。習慣が、その人の人格と品格を、良くも悪くも育みます。

 


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さて、気分を切り替えて! 前回に引き続き、お月見の回でご用意いただいたお料理をご案内いたします。


会食倶楽部は、食礼 咲のテーブルマナークラス(フレンチ、日本料理両方)を受講された方が、ご参加になれる、会員制のクラスです。毎度、大志満高輪店にて、日本料理をいただきながら、その時期のこと、年中行事などについて、学びを深めていただいています。



【お献立】
先付 秋刀魚と六条麩の白和えさんま

前菜 鶏の松風、菊菜のひたし、鮎煎餅と銀杏、雲丹の養老豆腐、烏賊の此の腸かけ

吸物 萩ふかし えのき

造り 盛り合わせ

煮物 治部椀

焼物 かますの朴葉焼き

お食事 炊き込みご飯、味噌椀、香の物

お食後 加賀梨梨




お造りの盛り合わせです。


九月は重陽の節供(菊節供)菊の時期でもあることから、華やかな菊の器に、「もってのほか」という品種の食用菊の花びらが散りばめられています。


菊の器は大変多いもので、私もこの時期の器遣いが本当に楽しみです。


また食器屋さんも積極的に赴き、アフタヌーンティークラスを開催している帝国ホテルへ出かけた際は、お時間が許される生徒さんたちを、アーケード内にあるお店へご案内したりもして、見識を高めていただいています。


お着物(反物)や食器って、分かる人と一緒に出掛けた時の収穫はとても大きなものです。私もそのようにして、若い頃導いてもらいました。



煮物は、毎度ご提供いただく「治部椀」、金沢の郷土料理です。


今回は器をご紹介いたしましょう。


秋の時期、器に多くみられる一つのモチーフは「武蔵野ススキです。こちらもその様子が描かれています。因みに、先日11月中旬に開催しました会食倶楽部時には、もう用いられません。暦の上では「冬」ですから。


丸い点々々は何を表しているものなのか。蛍ではありませんよほたる時期がまったく異なりますからね。


このようなことは、日本料理のテーブルマナークラスでもしっかりお伝えしておりますので、ぜひ学びにいらしてください。日本料理の食べ方、振る舞い方、所作などを身に着ける際、やはり日本料理の技術や意匠、そのようなことまでも学びを深めていただくと、一層日本料理の奥深さに感心し、学びに対する探求心が強まるかと思います。



この日、ちょっと目玉となるお料理を一品、お願いいたしました。

焼物は、かますの朴葉焼きです。


秋ならではの、一品。


九月頃から用いられるようになる食卓焜炉には、炭が入れられています炭。毎年これに手をかざして、昔の人が暖をとった際の温もりを実感、体感してみます。非常に柔らかい暖かさで、九月の時期は「ちょっと暑い・・・・・・汗」なんて思いましたが、先日のクラスの際にも出していただき、「まだ下げないでぇ~TE」と言いたくなるほど、いい温もりでした。




焼物の後には、これまた美しいお椀を用いたお食事(炊き込みご飯)をいただき、食後に加賀なし梨を頂戴しました。


「ナシ」、実りの季節だからこそ、他にどのように表現すると、一層ありがたく感じるものなのか。ぜひぜひ想像してみてくださいね。







ご参加くださったメンバーの方々に、お一人二つずつお分けして、お団子をお持ち帰りいただきました。


市販のものとは異なった、和菓子屋さんが作るお団子。


その大きさにも皆さん驚かれていましたが「こんなに美味しいお団子初めて!」、「夢中になっていただきました」、「いくらでも食べられます」と、喜ばれていました。良かった、良かった。重たかったけど、そのご感想で嬉しさ倍増。


私も、こちらのお団子、幾つでも食べられる・・・・・・あせる出来立てを手にしたときは、ほんのり温かい。九月、十月、今年は何度かお願いをして、お土産に利用させていただきました。



そのお土産先の一つ、ホテルオークラでお食事をした際にお渡ししたら、いつもご担当くださるTさんが、お手紙に「おっきいねェ びっくり」と。ふふふふ。


お腹を十分に満たす大きさだったようで、何より、何よりです。


さて、今週は三連休。先日の会食倶楽部が今月は一つ山場でもありましたので、落ち着いた今、長年読み続けている長編本の新刊を手に過ごしたいと思います。


週末、良い三連休をお過ごしください。