本日九月十八日は、七十二候の一つ、「玄鳥去(げんちょうさる)」です。ツバメが南方へ去っていく時期
つい先日、夏らしいお献立、鮎の塩焼きをいただいたばかり。そこには、ツバメ生姜が添えられていました。
今年の夏の暑さは厳しく、いつ終わるのだろうかと思っていたけれども、早いもので今度の週末は秋分です。
九月に入ってから開催されていた町のお祭りでも、多くの若いお嬢さんたちが浴衣を着ていたけれども、やはり夜にもなってくると、どこか素材感が「涼しげ」ではなく「肌寒そう」といった様子でした。その楽しみは、また来年ですね。
和装、九月は単衣だけれども、月初はまだ暑くって、暑くって、ご勘弁いただきたく、薄物でお許しいただきたいなと思っちゃってもいい時代。
でも、たった一月の秋の単衣期間だから、上手に工夫しながら出かけたいもの。
ということで、九月一週目のまだ気温の高い日が続く中ではあったけれども、週末はちょうど曇り空だったため、エイッと仕立てあげたばかりの単衣を着て、美術館へ出かけました。
薄物にするか、単衣にするか、私の中での基準は白い日傘が表で適しているか否かも考えます
おもしろいもので、やはり九月に入ると、暑いとはいえども、どこか白い日傘が浮くんですよね・・・・・。
洋装時の白いバッグや、サンダルがちょっと浮いてくるのと一緒。少し早いかなと思いながらも、ショートブーツの方がなんとなく恰好がついたりしてくる時期ですね。
むかった先は、ギリギリセーフの最終日、サントリー美術館にて開催されていた『琉球 美の宝庫』展。
最終日ともあって、なかなかの賑わいでした。チラシの中心に掲載されている国宝の『王冠』が、最後約10日間の展示でしたから、それ見たさにいらした人も、最後に集中したかと思います。
素晴らしかった・・・・・・。
私の若い頃のことで、若さ未熟さ故後悔していることの一つは、年に何度も沖縄を訪れていながら、博物館へ立ち寄らなかったこと。
どちらかというと、ひめゆりや、平和祈念公園や資料館へ出向くことが多かったのですが、やはりそれ以前のこと、琉球についても絶対的に触れて知っておくべきことだったなと。その手がかりとなる良い場所は、やはり博物館。
今回、改めて戦時中に失われたものの多さ、そのため過去の資料から復元されたものも多いことも知り、考えさせられるものがありました。
特に染色家、沖縄文化研究者であった鎌倉芳太郎氏が撮影された過去の首里城の写真などは非常に貴重で、現代の観光化されたものとは異なる本来(現実)の様子が、ある意味とても新鮮でした。
美術館では、お着物率も大変高くって、皆さんやはり意識されて紅型や琉球絣など上手に取り入れていらっしゃって、さすがです。
まだ沖縄への渡航にパスポートが必要だった時代、紅型を学びに芹沢先生の工房へ叔母が通っていたのですが、その時に作った紅型の帯を長いこと借りていて、先日メンテナンスに入れた後、返却したばかり・・・・・・。
うーーーーん、こういう時、活用したいものですね。
あとは、先日買い求めたばかりの薩摩上布だって、その背景を考えれば、このような時に着て出かけたいもの。
そしてサントリーで琉球に親しんだ後は、そのまま美術館のはしご、出光美術館へ。
琉球から江戸。
『江戸名画図屏風と都市の華やぎ』展
こちらもまたすごい! マニアック!!!
なんていう表現では申し訳ない重文です。
過去にも何度か観ているのですが、まぁ~一体どれくらい時間をかけて描いたのだろうか。
範囲としては品川から日本橋、一人ひとりの表情から動作に至るまで緻密。所謂当時の江戸の人々の暮らしぶりや勤労、歓楽などがよくわかる画。
展覧会でなければ、多分一日中眺めていられるほど、描きこまれている一つひとつが非常に興味深く、そして面白い。
個人的に、パズルがあったら欲しいくらい、全ての部分が楽しい。
なにがいいって、江戸が人々で賑わっていて、活気にあふれていること!
本日、東京駅、日本橋方面に出かけたのですが、活発に働いている人達だけでなく、観光客が大勢、様々な場所で楽しんでいて、「現代も昔も江戸が賑わっているのは、変わらないのだなー」と思いました。
装い、町並み、環境は異なれど、現代の江戸も、人の賑わい方、働きぶり、活気は、この屏風絵に描かれた様子と同じです。現代版の屏風絵図があったら面白そう。 フフフフフ。