https://natalie.mu/eiga/film/138903


3/30はスタッフの送別会だったので、わりと夜中に帰って参りまして…そこから風呂入ったり色々やってたらWOWOWプラスで五社英雄特集?みたいな感じで一挙放送してたんですよねぇ。

(なんでだろ?吉原大火の日が近かったからかな?→明治44年の4月9日)


『鬼龍院花子の生涯』は途中から観たけど、あの名場面は観たよ。


夏目雅子…好きですなぁ。


本当に綺麗だったなぁ。

しかし、あの『なめたらいかんぜよ』って言ったあの時のご年齢、まだ25歳だったとは。


すごい。

今の女優さんでこの色気と凄みのある演技できる人いるかしら…。まぁそもそもコンプライアンス的にこの手の映画自体あまりウケないかもだけど。


あ、なんか最近の若い人って「炎上」って聞くとネット上でコメントが荒れることだと思ってるみたいですね…(笑)

この場合はそのまんま火事のことですのよ。


この映画、観たことのない方におすすめしていきたいのですが…


あらすじを書いてみましょう。


ネタバレ注意⚠️


予備知識なしで見たい人は読まないように。


主人公は名取裕子演じる久乃、遊女としての名前は若汐→紫。

父親の海難事故のために家や財産を売った上、賠償金を支払うために借金するしかなかったようです。久乃が吉原に売られてきたところから始まります。

そこから花魁としてのいろはを叩き込まれ、徐々に遊女として花開いていくわけですね。

あくまでも久乃が主人公なんですが、これは春夏秋冬で章が分かれていてそれぞれに主人公がいる。

春は若汐の姉女郎で御職(自分の部屋があるような上位の遊女、と思ってもらえれば良いみたい)九重が中心。売れっ子の遊女だけどそろそろ「薹が立ちすぎている」「年増女郎」。若い常連客に夢中になっているけど、九重だってその男が年季の明けた自分をもらってくれるとは正直思っていない。でもその男は「大学を出たら結婚してもいいと思ってる」と口先三寸…。それに失望し、借金の清算が済んだ九重はひっそりと店を去る。

夏は2人目の売れっ子、吉里が中心のお話。惚れ込んだ客に裏切られて、自暴自棄になったところに常連客に心中を持ちかけてそれも裏切られ、誤って人を切ってしまい、追い詰められて自殺する。

秋は3人目の売れっ子、小花。弟が帝大に入るための金のために花魁になったらしい。

無茶が祟ったのか、身体を壊して働けなくなった(喀血?吐血?している)。

弟が大学を出たら一緒に暮らせる、と言っていたが結局それは嘘というのも分かってしまう。

結局半狂乱で喀血しながら死んでしまう。

冬は先輩遊女の菊川が中心のお話。周りとぶつかりがちだが面倒見が良い、というかお人よしの感さえある。

中盤では旦那さんができたようだが他の女に寝取られ、結局遊女に逆戻りして最下層の羅生門河岸の女郎になっていた。

それでも人の良さは変わらず、病気だという元旦那と寝とった女のために金を工面してやったり、同じ店の若い子を守ろうしたりする。

吉原が火に包まれた時には川に飛び込み、どうやら生き延びたようだった。

久乃は同郷の裕福な男に身請けされたその日に吉原が火に包まれるのをなんとも言えない表情で見つめていた。



ここからは自分の感想とか考えたことが入り混じりますが…。


まず、この中梅楼という遊郭はかなり高級店みたいですね。遊郭ってグレードがあるらしくて、大門の近くは高くていい店。もちろんめちゃくちゃ綺麗な所謂花魁がいるわけです。太夫ってのはほとんど居なかったみたいですが。張見世ってあの格子になってる、……なんですか、現代の風俗で言ったら写真とプロフィール見て「この子にしよーかな」みたいなやつですよね。ショーウィンドウみたいになってるんですが、あれどうやら店のグレードによって格子の細かさが変わるらしいです。見えにくいほど高級。そして、高級店だと遊女のグレードもやっぱり上、らしいです。

下級になるにつれ、まぁ誤解を恐れずに言うならばあんまりいい女はいないみたいですね。

羅生門河岸って方になると女も店の環境もまーよろしくない。

加えて、この辺の店は…病気で他の店に出れなくなった人とか、歳がいきすぎて客がつかない人とか…難がある遊女が働くという場所。

なので…あくまでも久乃の遊女としての環境は悪くないんだろうな、と思います。ご飯食べられるし。


しかし、この映画はエロティシズム、というのはもちろんありますが生々しくもはやグロテスクなまでに性事情が描かれてますかね。

鬼滅の刃でも遊郭編ってあるらしいですが(ごめんなさい未見なのでどんな内容かは分からない)、流石にこういったリアルな内容は描かれてないですよね?主旨ずれるだろうし(笑)


売られてきて、いきなり医者で股開かされて診察するシーンがあってまあまあ嫌なリアルさがあるのよね。

19歳でとんでもない借金を背負わされて逃げることもできずに春を売る女性たち。


わたしはこの映画を小学生の頃に初めて見たんだと思うんですが、正直半分くらいしか意味が分かってなかったんですよね。

大人になってから改めて観るとそれぞれの女性たちの心情がすごく胸に刺さりますね。

年季があけて、九重は店を去ったあとどんな人生を辿ったんでしょう。マトモに結婚するという風景が思い浮かばないな…。

自死を選んだ吉里、客に惚れたところで幸せにはなれず…いつ終わるとも知れない苦界にいたら死にたくもなるよ。

病で壮絶な死を遂げた小花。正直一番リアルなのはこの遊女かもしれない…?


吉原で流行る病気といえば梅毒。


当時は抗生物質なんてないからかかったら悪くなるだけで酷い最期が待ってます。

加えて栄養状態も衛生状況も良くないでしょうからそりゃ死ぬ人も多かったろうな、と。


壮絶で悲しい話ばかりですが、五社英雄監督の映画は映像としてはとても美しい。


遊女たちは美しい着物を纏って、緋色の布団の上で艶かしく映る。

そして女性を美しく撮ることに長けていたのですよね。


なんとなく漫画とかで吉原と出てくるのは華やかな世界だけピックアップされがちですが、この映画で是非闇の部分まで感じ取ってみるのも良いのではないかと思います。

そして、なんだかんだで現代は女性にとってはいい時代になったなと思ったり。


取り留めもない日記になってしまったけど是非五社英雄の映画を観てみてほしいな〜と思います。


今じゃ撮れない迫力があります。