第十五回 古代茶 古代茶よみがえる | 現代に息づく「縄文」の食文化

第十五回 古代茶 古代茶よみがえる

1200年前、日本へ伝わってきた古代茶(醗酵茶)が、各地にごくわずか残っている。四国では、高知県大豊町の碁石茶、愛媛県では小松町石鎚地区の石鎚黒茶、徳島県では那賀川、勝浦川の中流より上流に阿波晩茶、香川県には今はなく、古代茶の痕跡は竜王山・大滝山の山地に残っているに過ぎない。


どの地区にも山の茅原から刈り取った草に、豚、牛の糞尿を加えて作った堆肥主体、昭和初期から一時、化学肥料主体だったが、今は少しずつ天然肥料に取りかえられ、いわゆる無農薬・堆厩肥(たいきゅうひ)栽培へ切り換えられつつある。


40年前、四国中央市新宮町の大西敬四郎さんは農業高校卒業後、静岡県茶業農家に6年間住み込み、これからの茶作りは茅・ススキに家畜の糞尿・微生物の働きを利用したぼかし堆肥の時代と自覚して、これに挑まれ、数年間、大変な苦労をしたと、同氏の母堂から直接お聞きした。


これより少し遅れて、同村内脇製茶園主、脇博義さんもこれに共鳴して、普及に努力し、今や全村にひろがっている。


私は数十年間、村の取り組みの様子を時々訪ねては、茶作りの変貌を見つめてきたが、茶に対して賢明な村役場の首脳部が理解と協力をしたことは幸せであった。それに比べて村農業協同組合は勉強不足、新しい時代への対応がどうも遅かった。


数年前、脇社長が来訪されて、新宮茶の拡販のためアイコープ全店に販売できないだろうかと相談にみえられた。早速、アイコープ理事長に会い、話を纏めた。


理事長から、
「県内のアイコープ、愛媛生協にも出せるか」
と言われて、


脇社長は、
「年中、切らさないように努力する」

と確約。この時、アイコープと県生協と合併する下話が出来ていたらしい。まもなく合併して今日に至っているが、健康と食との関係に敏感な若い主婦にも受けて順調に販売が伸びていると聞く。


消費者は着色料や保存料などの食品添加物の恩恵を受けているが、果たしてこれで良いのだろうか?


私たちはもう一度、鮮やかな黄色系化学色素で染まった大根漬けより、古風かも知れぬが朝鮮クチナシの実を砕いて加える天然黄色色素によるオレンジ色のタクワン漬けに戻るべきだと思う。


古代茶の味も梅酒、レモンを少々加えるとか、若い女性方はなかなか元気に工夫される。近年は黒米同様アレルギーに効くとか、若い方はいろいろな試みに挑戦して、私自身教えられることが多い。


私の知人が「健康のために良いから、地下水を毎日4リットル飲む」とか言ってるが、私もできるだけ飲茶の形ででも水分を体内に取り込むように努力している。


古代茶は道の駅、産直市でも販売が始まり、かつての失敗品「ウマグン茶」と言われる不良品は出なくなった。