さて、ようやくわたしは絵の世界に戻ってきました。

何をどんな風に描くのか。どうしたら人に支持されるのか。
以前であれば、描き始める前にそうした課題にぶち当たり、なかなか前に進めませんでした。

そういう計算の上で作品を制作するスタイルもあると思います。例えば村上隆さんだったり、また絵の世界に限らず、どんな分野であれ、第一線で活躍しているような人達は、おそらく例外なく皆、計算をしつくした上で作品を制作しています。

自分のスキルを世界に認めさせるというのは、そこに、「楽しい」とか「やりがい」だとかいう私情をはさむ余地がないくらい、シビアなんだろうなーと想像します。

そういう世界で戦っているような人達と、わたしのような「楽しい」とか「楽しくない」とか言ってる人種とは、フィールドがまるで違うのだろうと思います笑

伊藤洋志さんの「ナリワイをつくる」という本に書いてありましたが…
「グローバル社会で全世界を相手にした殴り合いの競争をして健康が実現できるのは、かなりのバトルタイプ(戦闘型)だけだ。」とあります。

それでいけば、わたしは間違いなく非バトルタイプなのですが、どちらがどうということではありません。
バトルタイプも非バトルタイプも、それぞれ「自分」からにじみ出たやり方を実践しているだけなのだと思います。

では、「自分からにじみ出たやり方」とはなんなのか。
それは、今から探すものではく、既に持っているものを提供するということです。

世の中には、水彩画、油絵、写真、CGなど、様々な技法や表現方法があり、素敵な作品が溢れています。「こんな作品がつくれたらなー」と憧れたりもしますが、それを真似たところで、それは、「自分」からにじみ出たものではありません。その人だからこそ、生み出すことができるのです。

今、正に自分のスタイルを模索している若い人達は、どんどん「いいな」と思うものを真似してみたり、参考にしていっていいと思います。

でも、わたしくらいの年齢になると、すでに必要なものは持っているはずなんです笑

例えると、冷蔵庫のようなものかもしれません。人の冷蔵庫にあるものを羨ましがっても、しょうがありません。ないものはないんだから。
でも、よくよく見てみれば、自分の冷蔵庫にも、たくさん食材が入っています。

持っているものを、工夫して美味しく料理すればいいのです。そして、さらに沢山の経験を重ねることで、自然と食材が増えていきます。

わたしは、自分の冷蔵庫のなかにあるものに気付かずに、人のものを見て「あれがない」「これが欲しい」と、ジタバタしてたのかもしれません(;^ω^)

わたしが、既に持っていながらも、ずっと気付かずにいたもの。
無理をしなくても、わたしから自然ににじみ出てくるもの。

それは、子どもの頃から慣れ親しんだ、ペンとインクで絵を描くというスタイルでした。

10数年ぶりに、ペンにインクを付けて紙に走らせました。
ペンを走らせる感触、白黒だけの美の世界。
長いブランクを経てもなお、そのどれもが心地よく、かつて身体に染み付いた感覚はすぐに蘇りました。

ペンとインクで絵を描く人は沢山居ます。
なかには、恐ろしいほど精密な描写をする人、独特なファンタジーの世界を生み出す人など、まるでレベルの違う人達がわんさと居ます。

でも、比べる必要も落ち込む必要もありません。わたしが描くわたしの世界は、わたしだけのものだから。
どんなに技術の高い人だって、センスのいい人だって、決して真似できないのだから。

そうして、わたしは「そのままのわたし」で、再び絵を描きはじめたのです。


最近描いた、末娘をモチーフにした絵です。
題名は「little adventures」
雨や泥なんか、気にしない!…みたいな。
…今のわたしの心境です(*^-^)