新規創業や新分野進出に意欲的に取り組もうとする人を支援する
「創業セミナー」が11日、廿日市市宮島口の宮島コーラルホテルで行われました。
創業などに役立つ情報を提供し、夢に向けてチャレンジする人を後押ししようと開かれたもので、
広島県商工会連合会地域力連携拠点事業支援センターと
会場となった宮島口にある宮島コーラルホテル
廿日市市内の商工会地区などから約20人が参加しました。
セミナーでは、有限会社ウェーブの藤田悠久雄氏が、
“~ピンチはチャンス!~不況に成功する創業のポイント”をテーマに、
不況をチャンスに変えるための知恵や工夫、
不況期の創業計画づくりなどについて2時間たっぷり講演しました。
本支援センターの正月谷センター長が開会挨拶
藤田氏は最初に、自身の経歴を紹介。
実家の家業承継に失敗し、多額の借金を背負った過去をありのまま伝え、
「自分は本来、創業を語れる人間ではない」とセミナーの敷居の低さをアピールして、
参加者の緊張をほぐすことから始めました。
藤田氏は失敗の原因を、「考え方が自己中心的で、家業が好きになれず、
父親との間に軋轢があったから」と分析。
「父親に対する内観、内省を機に人生が一気に変わった」という経験をもとに、
これから創業を考えるなら、「お客を幸せにすることを第一に考え、仕事を愛し、
人を変えようと思うならまず自分が変わることが先決だ」と核心を突いた提言をしました。
創業を前に自分を変えることから始めるよう力説
藤田氏は本題に入る前に、言葉が行動を決定づける重要な要素であると語り、
日頃の口癖を変えるよう参加者に強く指示。
藤田氏曰く、「言葉がその人の考え方や思考習慣を作るために口癖は重要」で、
肯定的な言葉は成功する考えや行動を導き、
やがて成功へと結びつくというのが藤田氏の持論。
いわゆる“因果関係の法則”という考え方で、
「不景気だ」「売れない」などの“失敗する言葉”に代えて、
「ありがとう」「おかげさまで」などの“成功する言葉”を意識的にたくさん使うよう求めました。
さらに、人生の目的は「幸せな一生を送ること」と語り、
幸せを成り立たせるには“経済”“健康”“愛情”“精神”の4つの調和が不可欠で、
「事業が失敗すれば幸せのバランスが損なわれる。だから創業を成功させなければいけない」
と参加者のやる気を奮い立たせて本題へと入っていきました。
「創業は甘くない」と藤田氏は繰り返し発言。
創業失敗の原因には、“事業内容そのものに問題がある”場合と、
“創業者に問題がある”場合の二通りがあり、後者が圧倒的と解説。
自身の分析を踏まえ、“身内の理解が得られない人”
“マイナス思考が強く、性格が暗い人”“人を大切にせず、ネットワークを持たない人”
“今いる会社を裏切って創業する人”“自分の夢を語れない人”は、
「創業してはいけない人だ」と断言しました。
自分を客観的に見極めることの大切さを説いた
創業を成功させたいなら今の考え方を変える必要があると主張し、
“成果=考え方×意欲2×能力”という独自の方程式を公開。
「高い意欲と優れた能力があっても考えが違えば元も子もない」。
成功する事業が存在しているのではなく、成功する人が存在していると述べて、
物の見方・考え方を変え、目標を設定して行動計画に沿って行動し、
行動の継続で正しい習慣を定着させるよう訴えました。
そのためには、自分に起こることはいかなることでも自分のプラスになると考え、
いかなることでも自分のせいにすることが方程式の正しい答え、
成果を導くための法則だと語りました。
身に起こることは自分に解決できること、と説明
創業の基礎知識のサポートを行った後、藤田氏の話は具体的な創業計画づくりに。
藤田氏が語る企業経営とは、
“関わるすべての人の成功を支援する仕組み”を運営しながら利益を確保することで、
“人の成功の支援”こそが成功の大きなポイントになると明言。
その企業経営や経営戦略を考える前に大切なことが“経営理念の明確化”で、
まずは経営理念を明らかにすることから企業経営について考えるよう伝え、
「その理念に基づいて行動するように」とアドバイスしました。
創業計画づくりについては、
「今の自己中心的なアイデアを、顧客志向のアイデアに変えるように」と指示。
藤田氏によると「事業の答えを持っているのは顧客」で、
商品やサービスの内容、提供方法は顧客の求めに応えることができなければ意味はなく、
そのために誰が顧客なのかを明確にし、そのニーズを分析することが重要だと語りました。
顧客志向の重要性を何度も繰り返して説明した
これから新規創業となれば競合企業や競合商品がある場合が一般的で、
先行するライバルに打ち勝ち差別化を図るには、
「ライバルができていない“顧客の不満”を見つけて解決すること」。
不況期の今、どんな事業が成功につながるかについては、“痛みを取り除く事業”と強調。
バブル期のような好況期には“快楽を与えるビジネス”が流行すると説明して、
「今はその時代ではなく、痛みを取り除く=一種の癒しに視点を置いて
事業計画を考え直してみるように」とアドバイス。
さらに“経済性”をキーワードに挙げて、“感性志向”ではなく“機能志向”に目を向けるべきと助言。
今は付加価値をつけて高値で物を売る時代ではなく、
余分な機能を省いて低価格を実現した方がベターなどと述べました。
顧客の“不”の解消がチャンスの糸口だと強調
藤田氏は最後のまとめとして、
「新しい時代のニーズに合った事業開発を行い、既にある事業の中から顧客の不満を見つけ出し、
それを解決できれば差別化が図れて、事業に新規性と成長性が生まれる」と語り
参加者の背中を力強く後押ししました。
セミナー最後に「不況をプラスにして」と訴えた
なお、今セミナーを受講した人については、
希望に応じて商工会が以後、個別で創業支援を行っていくことにしています。
●お問い合わせ/広島県商工会連合会地域力連携拠点事業支援センター TEL(082)247-0221
●お問い合わせ/佐伯商工会 TEL(0829)72-0690
●お問い合わせ/大野町商工会 TEL(0829)55-3111
●お問い合わせ/宮島町商工会 TEL(0829)44-2828
本県連地域力連携拠点事業支援センターと廿日市市3商工会主催の「創業セミナー」については、
広島県商工会連合会公式ホームページ
でさらに詳しく紹介しています。