東広島市福富町の福富町商工会青年部では、
地域コミュニティづくりをリードする青年部事業の一環として、
町内幹線道路沿いの“ゴミの回収活動”を積極的に行っています。
道路環境の美化と地域景観の向上に役立てようと、
青年部のメンバーが自主的に取り組んでいる事業で、
地域住民が自ら誇りをもって暮らせる町づくりを行うことが必要と平成5年から始まりました。
毎月1回、幹線道路沿いでゴミ拾いをしている
この活動は、広島県の推奨する道路里親制度“マイロードシステム”により、
“道の里親”としても認定されています。
マイロードシステムは、地域住民や企業などが道の里親となって道路の管理、
美化活動に取り組むという試みで、県が平成11年に策定した制度。
青年部の活動は主に、道の里親として国道375号沿いを中心に、
道路に投棄されているゴミ、空き缶などを一つひとつ拾い集めて回収すること。
毎月第1水曜日、各自が仕事を終えた午後6時から約1時間、集中的に活動に取り組んでいます。
地域住民の理解と協力を得ながら、青年部のメンバーが活動にあたってきましたが、
その間、道路などへのゴミの不法投棄はいっこうに減ることがありませんでした。
そんな状況に頭を抱えていた折、メンバーの1人がユニークな案を思いつきました。
ゴミ投棄の解決策として“ごみ大明神”を設置することです。
「罰が当たる」という日本人の心理を突いた
「鳥居を連想する物のそばにはゴミを捨てにくいだろう」という発想が設置のきっかけ。
事業開始後しばらくして、ゴミの投棄が絶えない国道や県道沿い10か所にごみ大明神を設置しました。
設置当初はワンカップなどのお供え物があったりしたそうですが、
「日本人は信心深く、罰当たりなことが嫌い」という人間の心理をうまく突いたこの発想は、
みごとにゴミ投棄の量を大幅に減らすことにつながりました。
県道33号沿い。志和との町境からほど近い、福富の西の玄関口となる場所に建つ古い大明神
今月26日に新しいごみ大明神が福富ダム展望台に設置されたのを含めて、
現在、計5基のごみ大明神が町内各所で物言わず、静かに活躍を続けています。
先日、5基目が福富ダム展望台に設置された
困ったときの神頼みばかりでなく、青年部のメンバーたちは自分自身も努力し、
地域貢献に寄与しようと本来の活動を今も地道に続けています。
活動時間が夕方からと遅いため、メンバーは事故防止の意味を含めてピンクのジャンパーを着用し、
ゴミの回収に汗を流しています。
活動は地味でも装いは派手な、軍手に火バサミをもった青年部員たちが
国道375号沿いでゴミを探し歩いているのをもし見かけたら、
励ましの意味を込めてクラクションの一つでも鳴らしてみてください。