呉市川尻町JR呉線安芸川尻駅から西に伸びる商店街の一角。
シャッターを下ろした店も多いなか、
昔と変わらぬたたずまいで営業を続け
川尻を訪れる人たちから長年愛され続けているお店があります
和洋菓子を製造販売する“モナミカワジリヤ”


創業当時の面影を残しているそのお店は
昔と変わらぬ雰囲気と味で人々を迎え、
どこか素朴な商店街のムードとあいまって、
訪れる人を懐かしい気持ちへと誘ってくれます。

昔から変わらぬたたずまいの店構えと装い


同店は、今年83歳になる沖田彬助社長
3代目にあたる息子の康孝さんと二人三脚で営む
手づくり和洋菓子の製造販売店


沖田社長の父親が戦時中、疎開地の沖縄で開いた
和菓子の製造販売店が遠い前身で、
太平洋戦争という過酷な時代を乗り越え復員してきた沖田社長が、
沖縄で父親が家族を養うのに懸命だった“和菓子”をヒントにした
事業計画をもとに
昭和40年に開店させました

親子二人で仲良くお菓子づくりに励んでいる


沖田社長は最初に、和洋菓子の仕入れ販売事業を開始
やがて同業者のアドバイスをもとに、和洋菓子の製造へも進出
沖田社長はビジネスの才覚を発揮し、
青果の仕入れ販売にも乗り出すなど業務は拡大


ですが、昭和60年代に入って川尻に大型店舗が相次いで誕生し、
次第に商店街から人が遠ざかるように。
沖田社長はこれまでの事業の一本化を図ろうと、
平成元年に再び和洋菓子製造販売に特化して
事業の再出発を目指しました


“手づくり”“素朴”“シンプル”“懐かしい”
同店の味を言い表すなら、
およそこの4つのキーワードがあれば十分かもしれません。
昔ながらの手づくりにこだわり素朴で懐かしい味を今に伝える
それが同店がラインナップする商品の最たる特徴であり魅力


代表的銘菓といえば、“野呂山最中”“野呂高原まんじゅう”
同店がふるさとの名峰“野呂山”の麓にあることから、
その名前に地元愛を誇りを刻み込んだ渾身の和菓子です。
野呂山最中は大納言小豆を贅沢に使い
小豆とともに刻み栗の豊かな風味が味わえる一品
野呂高原まんじゅうは北海道小豆をたっぷり使った
しっとりこし餡のの風味と舌触りがたまらない一品

懐かしい味を伝える看板商品。素朴な味わい


さらに、昭和61年の「第4回全国菓子工芸大品評会」において
『全日本銘菓大賞』を受賞した逸品で、
風味の良い大粒の柔らか栗を一粒丸ごと包み込んだ
“野呂の栗”も、野呂山最中、野呂高原まんじゅうとともに、
「一度食べたら忘れられない」と多くの人を虜にしている人気商品。

栄えある銘菓大賞を受賞した際贈られた賞状


さらに、同店ならではの味として根強いファンを持つのが、
“アイスモナカ”八角形をしたパリパリの香ばしい最中の皮に
シャーベット感覚を含んだバニラアイスクリームを
挟んだだけの実にシンプルな商品


昭和43年頃から続く伝統の味で、
今風の洗練されたアイスクリームやジェラートとは一線を画した、
遠い昔に駄菓子屋さんで食べたような記憶を思い起こさせる
この暑い時期にぴったりのお菓子です。

バニラアイスクリームを皮に詰める沖田社長

その素材と製法は、「一切企業秘密」と最後まで口の堅い2人。
作り置きせず、その日仕入れた材料分だけをその日売って終了。
店内奥に縁日の出店を思わせる対面コーナーを設け
一つひとつを昔ながらの手売りで販売しています。

店内にある対面コーナー。懐かしさぷんぷん


その味わいや売り方に至るすべてが郷愁を誘うようで、
幼い頃に店に通っていた人たちが今度は子どもや孫の手を引き、
繰り返し店を訪れることも少なくないようです。
子どもの夏休みやお盆の帰省時に必ず立ち寄る人も多いとか。
「昔懐かしい味を感じてもらいたい思いで作っている」。
沖田社長と康孝さんはそう口をそろえます。


ちなみに、沖田社長と康孝さん2人の共通する趣味が、手品。
古典的な手品から最新のトリックまでそのレパートリーは豊富で、
リクエストすれば、サービス精神旺盛な2人が
楽しい時間を提供してくれるかもしれません。


砂糖漬けにした青梅を一粒丸ごと包み込んだ“野呂のうめ”
蜂蜜をたっぷり入れた“野呂高原ハチミツかすてーら”など、
たくさんの和洋菓子がそろっています。

お菓子のレパートリーは多く、贈答用も豊富


安芸川尻駅そばの同店で、
ノスタルジックな雰囲気と味を楽しんでみませんか。


モナミカワジリヤ
呉市川尻町西2丁目16-9(JR呉線安芸川尻駅から徒歩すぐ)
営業時間/午前8時から午後6時30分
定休日/水曜日(不定休有り)


問/モナミカワジリヤ TEL(0823)87-2165
問/呉広域商工会 TEL(0823)70-5660


“モナミカワジリヤ”については、
広島県商工会連合会公式ホームページ で詳しく紹介しています。