※こちらのお話しは個人的な妄想を題材にした、妄想恋愛小説です。ご理解頂ける方のみお進み下さい。
「…で、『姫君』は今度のパーティーに出るの…?」
「だからそれ、……はぁ………もういいや、そっちは?」
「そりゃ勿論!と言いたいけどさ…どうするか悩み中なんだよねぇ。顔を出してもいいけど…そろそろヤバいよね?いろいろと」
「…ん?……ああ、それね」
中学、高校と適当な理由を付けて極力避けていたパーティーも、今回ばかりは逃れられないようだ
父親から連絡が有ったのは数日前のこと、『出席で返事は出してある』と言われ、昨日は場所と時間だけを告げられ電話は切れた、敵にぬかりなし
十八歳は成人ですと言われる世の中で、当人は大人のような子供のような中途半端な年齢だと思っている
ただ先を見据えた一つの節目として、今回のパーティーに出席するのは丁度良い年齢なのであった
名ばかりの旧家とは言え社交界デビューとくれば、滅多に現れない自分が注目を浴びるのを分かっていて行くことが厄介だし、面倒くさいと思っている
「…翔さんも来るのかなあ、それにあの人たちも」
「来るんじゃない?3人揃って」
大野に相葉、それから翔
向こうはれっきとした二十歳を超えた三人で、周りの皆さんはお近づきになりたいと虎視眈々と狙っている、そんな存在なのだ
「姫としては気になる…?」
「…何をだよ、」
「いろいろとさ…貴方たちは昔から複雑だからね」
「は?…全然、何処がだよ」
…俺のお嫁さんになれ。
その事を言っているのは分かっている、だが、俺が男の子たと知ってショックを受けてたくせにとも思う
あの日から何度か言われた言葉も今は聞くことも無いと言うのに…
「潤くんは系列の大学じゃなくて別の大学だよね?翔さんと同じ…」
「それは、…目指す学部が無かったんだよ、たまたま同じ大学になっただけだし…」
そうは言いつつも、同じ大学に進むことに安堵を感じているのは確かなようで
皆と離れ何かと心細いこれから先の大学生活、知り合いがいると言うことは確かに心強い例えそれが翔であったとしてもだ
「不器用だよね?二人とも。何がそうさせてるのか俺には分からないけどさ」
「何がって…別に何もないよ」
男としてのプライド…それが正しい答えなのか自分に問いただしてみても漠然としている
そんなあやふやな胸の内を口に出した事は無い
ただ一つ言えることは、素直になれない…いや、翔に対しては素直になれないと言う、自分でも良く分からない感情なのだった
あれは何時からだったのかと、幼い頃からの記憶に思いを馳せていた