※こちらのお話しは個人的な妄想を題材にした妄想恋愛小説です。ご理解頂ける方のみお進み下さい。





「一緒に遊ぼ?」

「…えっ……と…」


直ぐには答えられなくて母親を見る小さな男の子
遊ぶのは嫌じゃない、だけど初めて会ったお兄ちゃんと二人になるのが少しだけ怖い

小さな男の子には二人の姉がいた、そのためか少しおっとりした性格だった
幼稚園での友だちはいつも遊んでくれるカズくんだけ、だからお話ししたこともないお兄ちゃんにモジモジしてしまう


「いいわよ、遊んで来て。お兄ちゃんの言うことを良く聞いてね」

「…うん…で、」

…でもどうしよう…。


「よし、行こう!」


モジモジしていたら突然ぎゅっと手を握られ、引きずられるように動き出した


「え、…あ」

「翔、仲良くするんだぞ。それからあまり遠くに、」

「大丈夫!控え室で遊んでる!」





ホテルで開かれるパーティーに参加するような格式高い家柄の方々は、会場となるホテルの一室を控え室として抑えている事が多い



ーピッ、


 …すごっ…い


お部屋を開ける事が出来るのはパパかママだけ、それをこのお兄ちゃんは一人で出来ちゃった
モジモジしていた男の子はキラキラした瞳でお兄ちゃんを見つめた、少しだけ二人の距離が縮まった瞬間でもあった


「…何して遊ぶか…えっと、…じゅんだっけ?」

「…うん、……と……」

「俺は、翔だよ」

「しょ…お?…」

「しょう、だよ」

「しょお…くん…?」

「もういいよそれで、お前は可愛いから許す」

「……?」


言われた意味は分からないけど『しょおくん』でいいと言う事は分かった
ただ遊ぶと言ってもお家とは違っておもちゃがない、でもそこは所詮小さな子供が二人だけ…


「あははっ、楽しいな」

「うん!きゃははっ」


『してはいけません!』といつもなら叱られるはずの、ベッドをトランポリン代わりに跳ねたり


「ほら、あははっ」

「えい、…きゃははっ」


枕を投げ合ったり、大人が居ないこの空間を満喫していた二人、喉が渇けば冷蔵庫から飲み物を選んでお菓子も食べ放題だった
一頻り遊んでジュースを飲んでいたが、潤はママが居ないことに気づき少しだけ寂しくなる


「もう…かえる、…ママのところいきたい」

「ちょっと待てよ、もう少し遊ぼうぜ」


乗っていたベッドから降りてドアに向かうと、翔がドアの前に立った


「やだ、かえる…」

「何でだよ、楽しいだろ?」


楽しい…だけどまだまだ翔より幼い潤は、遊んだ疲れもあってママに会いたかった
目の前には唇を尖らせて怒っているような顔の翔がいて、急に悲しくなって…



 …ぽろッ。


どうしていいのか分からず、潤の大きな瞳からは一粒の涙が流れいた