※こちらのお話しは個人的な妄想を題材にした妄想恋愛小説です。ご理解頂ける方はお進み下さい。





「よし、…これでいいかな?ふふふっ♬♪」


窓から入るたっぷりの日差しを受けて、綺麗になった部屋を見渡した

白を基調とした家具が配置されているリビングに、使われた形跡がほぼほぼないキッチンと…寝室と///
…と、とにかく!全ての部屋を綺麗に磨き上げ、溜まった洗濯物も一気に干して終わったところなんだ

夕飯は俺の手料理が食べたいと言われて、食材も買い込んだし、帰るときには連絡をくれると言っていたからまだ大丈夫かな

え?俺は何をしているのかって?
ここは翔さんの家、どうして俺がここにいるのか
それはね…二週間くらい前の事




いつもの昼下がり、いつものようにカウンターの一番奥に座る彼に対して、これまたいつものカフェラテを提供したときに事件は起きた


「潤くん、…あのさ…25日は、…仕事…だよね…?」

「はい、そうです。何か?櫻井さんもですよね?」

「あ…いや…、実は俺の…誕生日?だからご飯、」

「ええっ!?聞いてませんよ!!」

「潤くん、声、」

「はっ!」

待って!た、誕生日?全然聞いてませんけど?
だって昨年はもう俺たち…あっ!思い出した💧
海外旅行に出掛けた先で、国内情勢が不安定で帰れなくなっていたんだこの人
その後も何だかんだで落ち着いたのは二月の初め、だから誕生日だなんて聞いてない
バレンタインは手作りチョコを贈ったけど…


「なんでもっと早くに教えてくれないんですか!」

「そうだよね…ごめん」

シュンとして普段から下がっている肩が、さらに下がって見えるのは彼なりに反省中らしい


 …ふふっ、可愛い♡


この人は俺のことになると、急に弱気になったり、揶揄ったりして俺はいつも振り回される
今回もどうせ仕事の事とか、曜日が、時間が…そんな事ばかりを先に考えて、俺に負担がかからないようにしてくれたのかな
まあね、その優しさがこの人良いところで、好きなところでもあるけど///


「大丈夫です。一日は無理かもしれないけど、半日の休みは死守します!」

「潤くん(〃ω〃)…ありがとう///」

こんな事ぐらいで照れる貴方も大好きですよ♡
昔はいろいろあったみたいだけど、本当は真面目でピュアで、恋に不器用なこの人が、俺を好きだと言ってくれた時のことは忘れない
俺はね、いつでも貴方の笑顔が見たいんだ



そして迎えた誕生日当日…


「いらっしゃいませ、お誕生日おめでとうございます♡

「…ふ、ありがとう♡楽しみにしてるね…いつもの、」

「…はい///」


電話では話したけど、顔を見て伝えないと♡
そして相変わらず今日も、厨房では三人が騒いでる


…あれ→どう思います?
…もうね、全身から好き好きオーラが出まくってる
…潤、とうとう嫁に…(TOT)
…アイツ、忘れたふりしてたんじゃない?
…まあでも、潤ちゃんが嬉しそうだからさ
…俺も一緒に祝うぞ?駄目か?じゅ~ん💦


本当にいつもいつも、本人を目の前にしてよく言うよね

「ごめんね、翔さん」

「大丈夫だよ、皆が君のことを大切なんだよ」

「……翔さん///」

「そうだ、これ…渡しておくね。なるべく早く帰るから、待ってて…今夜は帰さないよ、覚悟してね♡…ふふっ」

「えっ!?…あっ(〃'▽'〃)/////」


手には鍵が置かれ驚いて顔を見上げれば、唇に人差し指を当て綺麗なウィンクをした


 ……トクン、…………俺…生きてる?


これまでにもそのタイミングはあった…けど
あの三人の執念なのか、ことごとく成就しなかった
今日ついに俺は…


「…大丈夫…?」

「だ、だ、だ、大丈夫…です////」

「そう?ふふっ、じゃあまた後で♡」

「なっ///」


口の端をペロリと舐め微笑んだ後、悪魔的なエロさを微塵も感じさせない爽やかさで、颯爽と大学に帰って行った




 …はぁ...ヤバい///……。


数時間前の事なのに夢を見ているみたいだ
俺だって期待するよ、翔さんが望むのなら俺も翔さんと大人の時間を過ごしてみたいって
だ、だ、だからといって寝室を掃除したわけじゃないからね///
手近にあったクッションをぎゅっと抱き締めて、そのままソファに寝転んだ


ごろごろ…

.....ふふふっ。

むぎゅむぎゅ…

.....ふふふっ。

ごろごろ…

.....ふふふっ。

むぎゅむぎゅ…


ふふふっ。
貴方を想い待つこの時が、愛しくてしあわせです///



ーーーーーー


ハア……ハア……ハア……もう直ぐだ


卒業論文の添削に時間がかかってしまった
遅くなることも、これから帰ると連絡しても、メッセージを読んだ形跡はなく何も返事がない


…怒って帰ってしまったのだろうか、


胸のざわつきは大きくなるばかりで、とにかく少しでも早く君のもとへと駆け出していた






ーカチャ。


ドアの前で大きく深呼吸をして、そおっと足を踏み入れる


 …あれ?


玄関に靴はある、俺の靴も一緒に行儀良く並べられている、だけど廊下の先に続くリビングは暗いままだ
今度は不安が過る、もしかしたら急に具合が悪くなって倒れているのかも知れないと

リビングに入ると空調の音だけが微かに聞こえ、カーテンは開け放たれたままで、その先の窓の向こうには洗濯物が揺れている


「……うっ!…ぉ…?」


視界の端に捉えたソファの上に塊が…?
目を凝らしじっと見れば潤くんで、クッションを抱いて眠っている


 …風邪ひくぞ


何か掛ける物をと寝室に入り目を瞠った
朝の光景とは別世界のような部屋、脱ぎ散らかしていた洋服は全てクローゼットに収まり、ベッド周りも綺麗に整えられていて…その名残が洗濯物か

ブランケットを手にリビングを見渡して、ここも見える限り綺麗に整理整頓されていた
掃除をして洗濯をして疲れたのか、俺の帰りを待つ間に眠ってしまったのだろう


そっと近づき、起こさないようにブランケットを掛けてもう一度寝顔を見る
涙の跡がないことにほっとして、良く見ればしあわせそうに微笑んでいる


 …本当、…可愛いな


どんな夢を見てるのか、夢の中に俺は登場してる?
覚悟して…なんて揶揄うようなことを言うけれど
俺は君と歩む時間が大切で、愛おしいんだ


今までろくな付き合いなどしてこなかった
気に入って一夜を共にしたらそれで終わり、恋愛と呼ぶにはほど遠い物ばかりだった


でも、君と出逢って全てが変わった
君の笑顔が俺を笑顔にして、君の涙が俺を哀しませ
君の想いが俺の心を温かくする


 …君が俺に教えてくれたんだよ…潤


一つになる事は大切な事だと思う
だけど、今は二人の間に流れる優しい時間が好きで、もう少しこの時間を楽しみたいかな


…なんて、悠長なことを言っている場合ではない
まだまだ寝顔を見ていたいが、このままでは本当に体調を崩してしまう


 …どうすっかな...。






ブランケットに包んだままの体をそっと抱き上げて、起きないでと願いながら寝室のベッドに横たえる
このままもう少しだけ、腕の中に抱いたまま一緒に眠ろう、目覚めた君はどんな顔をするだろうか


腕の中にいる事に驚いて、眠ってしまったことにシュンとして、次はきっと真っ赤な顔をするだろう
好きな人と過ごす何気ない日常が、こんなにも楽しく愛おしいものだと知らなかった



…きみ、想ふ。

恋愛とは
恋をして、愛をしることなのか

それならばまだ道半ば
俺はまだ、君に恋してる

愛をしるまであと少し…


君を包む赤い糸に引かれ
腕の中の温もりを抱き寄せた…















 …ん…?温かくて、ふわふわで気持ちいい
 …翔…さん……しゅき……ぎゅっ。


「起きた…?…クスクス」
「うん、…おき…た……………?……はっ!?」
「寒くない…?…クスクス」
「だ///だ///大丈夫…です///」
「そう……ふふっ」
「あの、…俺///…」
「よく寝てたよ、部屋を掃除してくれてありがとう」
「いえ…あっ!!ごめんなさい、ご飯の支度を、」
「大丈夫、俺は食べたから…」
「へっ?」
「…君を♡」
「なっ///」
「…美味しかったよ、ご馳走様でした(*'▽'*)」
「(//∇//)💨...パタン」
「潤くん?しっかりして、潤くん!……潤くん、」

大丈夫、赤い糸も嬉しそうにしてる


…きみ、想ふ。
貴方が生まれた日に、貴方の腕の中にいられる
こんなにも、しあわせな事はないから…


…おめでとう、翔さん。




【きみ、想ふ HBD記念 おわり】







翔さん、誕生日おめでとうございます🌸
貴方が思い描く道を笑顔で進めますようにと、かげながら願っております。
そして出来るならば、5人揃った笑顔が見られますように♡




こんばんは、KAKOと申します。
ギリギリまで書いては消してを繰り返し、やっと完成致しました。
今回もこの二人に助けて貰いましたが、そろそろ前に進む時なのかなと思ってはいます。
ただ、今まで誰かと付き合う事が無かった翔さんは、潤くんとの時間が楽しくて仕方がないようです。
長いだけで纏まりのないお話しですが、お付き合い頂けたら嬉しいです。


お祝いのメッセージをすっかり忘れいて、何も思い浮かばず焦って書いたけど…翔さん、ごめんなさい(>_<)


今回の企画を立ち上げて下さった『瑞樹さん』に感謝しております。ありがとうございました♡



そういえば、大雪の被害は大丈夫でしょうか?
明日までは続くようです、お気をつけて下さい。
(エルサ…翔、恐るべし)





今宵は翔さんに想いを馳せて、眠りにつきたいと思います。最後までお付き合い下さりありがとうございました。<(_ _)>
それでは、またお話しで。



2024.1.25 KAKO🌸