※こちらのお話しは個人的な妄想を題材にした妄想恋愛小説です。ご理解頂ける方はお進み下さい。
テーブルを挟んで笑う『雅』から、ゆっくり視線を外して窓の外に目を向ける
昼間のカフェは眩しいくらいに明るくて、差し込む日差しが暑いくらいだった
『雅』と会うのも、今日で何度目だろう
出会ったのは、薄暗く欲望だけが蠢く一軒のBAR
あの時とは正反対の爽やかな場所に、こうして二人でいるなんて想像もつかなかった
自分でも分かっている、だんだん心を許せるようになってきてることを
幼馴染みで親友で、唯一の理解者カズとも違う『雅』の存在は、少しずつ自分に変化をもたらしていた
そう…カズとは違う
傷ついて泣いて疲れきって、力尽きた俺をどこまでも優しく抱き締めて、甘やかしてくれるのがカズ
哀しい思いをするくらいなら、俺がずっと側にいるから何も心配しなくていいと
それに比べて『雅』は欲しい物は自分の手で掴みなさい、たとえ傷ついてもいいからと
転んで傷ついても自分で立ち上がりなさい、次はきっと転ばなくなる笑えるよって、そして『強くていい子だ』そう褒めてくれる気がする
だから『雅』を好きになった
でもその気持ちはやはり、お兄ちゃんみたいな感覚で俺を満たしてはくれない
『雅』…雅紀には恋人がいる
どうして俺と?その疑問に雅紀は…
『好きの大きさや重さは人によって違うからさ、ズレたり噛み合わなくなったりする…それを直そうかなあ、なんて思ってあのBARに行ったんだ本当は。そうしたら…君と会った』
こんな俺だって思い悩むときがある、だから迷って悩むのは当たり前だし、それでいいんだよ…と
『俺の名前は雅紀、改めて宜しくね…潤ちゃん!』
眩しいくらいの笑顔に胸の奥が痛む
俺は雅紀もカズも、裏切ろうとしている
一度は消えたと思っていた心の渇きがまた、潤いを求めて動き始める
窓の外、昼間の喧騒、
日のひかりは俺には眩しすぎる
あのBARに行く日もそう遠くないかもしれない
そんな事を思っていた