※こちらのお話しは個人的な妄想を題材にした妄想恋愛小説です。ご理解頂ける方はお進み下さい。





本当に良い子なのに…


お日様の下で見る『J』は、何処にでもいるごくごく普通の青年だ、しかもかなりのイケメン
今だってカフェで座っているだけなのに、横を通り過ぎる女性たちがチラチラ見てる


「…なに?」

「いや、羨ましいくらい…イケメンだなって」

「ふふっ、変な『雅』…自分だって、」


ほら、そうやって笑っていればモテるのに…
だけど本人は知らん顔、ま、それもそうか、興味が無いんだもんね
あるのはずっと待ち焦がれる運命の人…か、羨ましい


 …日差しが眩しいなあ…。

俺の仕事は基本的に夕方から夜遅くまで、『J』と会うためにちょっと気合いを入れて早起きをした
こんなに眩しい爽やかな空間にいると、二人の出会いが夜の、しかもかなりDEEPな場所での出会いだなんて誰も思わないよね


あれから何度か会っているけど、あの夜以来そんな雰囲気はまるでない
どちらかと言うと、俺は『J』を弟のような感情で見守る感覚でいて、彼も俺を慕ってくれているようだ


こうして昼間からランチを楽しんで、珈琲を飲んでゆったり過ごす事は、俺にとっても新鮮なんだ


「ご馳走様でした…」

「ふふっ、いい挨拶だね」

「な///、うるさい!」


随分と感情を素直に出せるようになってきたね
 他人、特に自分に近づく人に対して敵意すら感じていた視線も、いつの間にか柔らかくなってきてる
…もう、いいかも


「『J』あのね、俺の名前は…雅紀」

「……マサ…キ」

「そう、……こう書くんだ。『J』の名前は?教えてくれないかな?」

「俺は……潤、…潤うと書いて、潤」

「潤か、…いい名前だね、なんかぴったりだ…改めて宜しくね、…潤ちゃん!」

「あ、…バカにしてるだろう、年下だからって」

「そんな事ないよ、本当に潤ちゃんは可愛いよ」


本当だよ、君の事が好きだよ
君が探している『運命の人』にはなれないけど、弟のように可愛いのは間違いないからね


「雅紀…あのさ、俺と…最近わりと一緒にいるけど、その…恋人さんとは平気…なの?」

「大丈夫、あの人とは時間帯が違うから…。それに、俺にべた惚れだからさ…ヤキモチ 妬かせるくらいがちょうどいいの!」


へえ…そうなんだ。そう言って微笑んだあと視線が窓の外に向く、遠くを見つめるその横顔に少し心が痛い


「さてと、次は買い物だっけ…潤ちゃんのセンスは独特だから、俺にとっては刺的だけど」


またバカにした!頬を膨らませてムッとする顔は、年相応の可愛いさだけ
頭に手を置いてポンポンとして席を立った
俺にとって穏やかな時間が、潤ちゃんにとっても癒される時間であって欲しい















…そして、気付かないで欲しい


別れ際の抱擁での移り香を俺は利用している
君の香りを色濃く付けて翔ちゃんに逢うと、必ず俺を求めてくれる
それがプライドなのか、嫉妬なのか…そんな事はどうでもいいんだ


 …ただ、翔ちゃんが好きなんだ