※こちらのお話しは個人的な妄想を題材にした妄想恋愛小説です。ご理解頂ける方はお進み下さい。





初めはこれでも頑張っていたんだ
可愛い彼女と楽しい時間を過ごす、そうしていれば忘れる時が来る、きっと時が忘れさせてくれる…




…でも無駄だった。

時が経てば経つほどもう一つの心が躰が渇いて、誰かを求めて彷徨いその渇きが潤う事は無い

誰でもいい、初めはそんな事を思っていた、だけどそれじゃ駄目なんだと気付いてしまう
皆俺の顔とこの躰が手に入ればいい、一時の夢さえ叶えられれば、そんな人たちばかり

自分の存在そのものが、分からなくなってしまいそうで怖い、だから遊び慣れた男を装う
誰にも隙を見せず誘いにも答えず、あのBARでその時を待っていた


触れただけで全身が痺れるような口づけで、俺の心の奥まで鷲掴みにして、暗闇の世界から浚って欲しい
愛というカタチのない糸で縛られて、俺だけを見て、俺だけを愛して欲しい


 …そんな運命の人を。





ふぅ、現実はそんなに甘くない

…雅。

俺が求める運命の人ではなかったけど、俺の話しを泣きそうな顔で聞いてくれた
あの人からは傷ついた心を癒してくれるような、お日様みたいな温かさを感じる
…友だち、…お兄ちゃんに近い感覚なのかも知れない



 ……今じゃない。

そんな事を言われたのも初めてだった
何かあったら必ず連絡するんだよと、半ば強引に連絡先を交換させられたけど悪くない
何かが変わるかもしれない、少しの希望と期待に足取りも軽かった





ーピンポン


『……はい』

「俺だけど…」

『……………。』

「いいかな?……カズ」

『どうぞ…開けます』

「ありがとう…」


何かある度に、こうして幼馴染みのカズの所に来てしまう、俺の行動を快く思っていないのは分かっているけど、心を許せる友だちはカズしかいないんだ


 …ごめんな。