※こちらのお話しは個人的な妄想を題材にした妄想恋愛小説です。ご理解頂ける方はお進み下さい。





大都会、東京。
特別な夜の煌めきが終わりを迎え
夜の帳が降り辺りが闇夜に覆われた頃に
名も無き一枚の扉が開く


扉の向こうには何があるのか
街ゆく人が知ることはない…









ーキィ……。


「今晩は、ようこそいらっしゃいました『AHINA様』。今宵もここ『SAKURA』で心ゆくまで聖なる夜をお楽しみ下さい♡」

『………ジュン///』

「お席にご案内致します、どうぞこちらへ」



フロントを仕切るように人工的な川が流れ、そこに架かる小さな橋を渡った先にフロアがある
照明は最小限に抑えられ、点在するテーブルにはダウンライトが灯り、螢のように煌めいている

毛足の長い絨毯が敷かれたフロアに足を踏み出せば、感知式のフットライトが光の道を造り
点在するテーブルと黒い革張りのソファには、この店の格式に負けぬように、着飾り取り澄ました女性たちが座っている

その頬を薄紅色と藤色の淡い照明が時おり照らす
薄紅色の灯りは一点に集まり櫻の花になり、同じように藤色の灯りは藤の花になる
日本庭園を歩いているような店内では、赤と紫の照明の下繰り広げられる男と女の駆け引きを、妖しさと華やかさで演出している






 
…って、いつも思うけど
凄く綺麗て贅沢なのに誰も見てやしない
推ししか目に入らない彼女たちには勿体ないわ





ここは一見さんお断りの会員制超高級倶楽部
紹介状無しで入ることは許されず、紹介状があったとしても徹底的な身元確認の後に、最終的にオーナーが承認するシステムになっいるの

私がここに通うようになったのは何年前かしら?
その頃は一回数千円も出せば飲める普通のお店だったのに、それが今じゃ入会待ち数年の高級倶楽部へ変貌を遂げた、ジュンがお店に入ってから劇的に変わったのよ

嫉妬深さは世界一、独占欲最強のオーナーがここまでお店の地位を高めたのだけど
その辺りはもう直ぐ分かると思うから割愛してと…


「AHINAちゃん、何飲む?」

『ジュンが作ってくれる物なら何でもいい♡』

「ふふっ、そう?」


私がここ『SAKURA』に通う理由は、この天使ジュンに会いに来るため、初めてジュンを見たときには心臓を撃ち抜かれたわ
キラキラ輝く瞳、白く透き通るような肌、何よりも笑った顔がマジで可愛い天使

その頃の私はスランプ気味でって、一応説明しておくと私は物書きなんだけどね
堕ちに堕ちて荒んだ生活をしていた私を、心配した友だちが気晴らしのつもりで連れて来てくれたのがこの店『SAKURA』で、ここで私は天使ジュンと出逢ってしまったの

それからはジュンの為に足繁く通い、ファンクラブを設立して、生写真やグッズの販売と彼のために時間もお金も惜しまず頑張ったわ

元々持っていたアイドル並みの天性と、一つのことを突き詰める誰にも負けない努力で、めきめき頭角を現し見事この店のNo.1になったのよ

そうそう一言付け加えると、店内のセット?とでも言うのかしら、調度品、衣装から照明までの全てをジュンがプロデュースしたのよ、凄いでしよ?

潤がトップへの階段を駆け上がるのと同様に、何故か私の仕事も順調に進むようになり、今じゃ売れっ子小説家の仲間入りとか言われるけど、やっとそこそこの生活が出来るまでなったの


…全てはジュンと出逢ってから。


だからジュンは私の特別な天使なの♡

「ええー、AHINAちゃんこそ俺にとって特別な人だよ?今の俺があるのはAHINAちゃんのお陰なんだから☆彡…はい、どうぞ♡」

『あーもうっ、可愛い!ジュンの為ならお金も努力も惜しまないわ、…だから、いつものお・ね・が・い♡』

「うん、分かった…はいどうぞ♡」



ーむぎゅっ、


ああ…しあわせ♡
本当にしあわせ過ぎて天まで上りそう…


「コホン、……こんばんはAHINA様、ジュンから離れて下さい、もう彼はキャストではありません、ここの支配人です。何度も申し上げましたが、他のキャストにも示しがつきませんので」


…ほら、来た。

本当に分かり易い人、 だからこの二人は面白い














飛んで火に入る夏の虫。
いいえ、飛んで火に入る冬のショウ
私がここに通うもう一つの理由が、ネギを背負ってやって来た(*'▽'*)