本当にいろいろあった三日間は、自分にとって決して悪くはない、それどころかとても意味のある三日間だった気がする



「では戻ります、警視殿もお忙しいようですし」

「本当に珍しい…」

「あのな、…ツラそうなのは俺が、原因でもあるわけだし…だからあんまり無理すんなよ。それに…」

「それに……?」

「…いや、では失礼します、…警視殿♡」

「…!……はい///」


軽くウィンクをして背中を向けた人でも、う~ん…。
あまり優しくされると、それはそれで物足りなさと寂びさを感じてしまう俺ってどうなんだろう
チラッと視界に入った書類の山と、ドアに向かう後ろ姿に何とも言えない離れがたい微妙な乙女心


「櫻井刑事、ちょっと…」


『何だよ』と文句を言いつつも、また戻ってきたその腕を捕まえて


「…仕事が頑張れるように、…キス…して貰えませんか///」

「…なっ///......。」


その一言にがっくり無い肩をさらに落として、盛大にため息をつく櫻井刑事に、そんなに嫌だったのかと不安になる


「……どうか…しましたか?」

「…これだから天然無自覚は。あのな、はぁ…色気ダダ漏れでこれ以上はヤバい…そう思ったから何もせずに帰ろうとしたのに、お前は…ったく」

「そんな事を言われても、私には分かりません…いけませんか///」

「知らねえぞ?どんな事になっても…」

「……はい///♡」


そっと上を向かされじっと瞳を見つめた、ふわっと微笑むと眉を下げて苦笑いをする
でも直ぐに射貫かれるような眼差しに捕らわれて、目が離せない


口元に指を立て、その指がそのままドアを指差した
意図することに頷いて、見つめ合うこと十数秒
そして再びカウントダウンが始まる


 …今日こそは、今度こそは…


ゆっくり近づく貴方の顔に目を閉じた…




ーバァーン!


「なん…で…」
「二宮…さん///…」

「お待たせしました翔さん、現場に行きますよ」

「俺は、待ってねえ!」

「ああ、ごめんなさい、待ってたのは俺たちでした、ね?」


と、振り向いた二宮さんの視線の先には、頷く大野さんの姿があった


「部屋から…出て行きましたよね…?」

「二人きりにしたら何するか分かんねえだろ?…実際に『ちゅう』しようとしてたし、だから俺たちが部屋の前で見張ってたんだよ、な?」

「ち、ちゅう……見張って…た///」

「そうですよ、室長。いつ誰が来るとも限らないこの部屋で、ふしだらな行為の最中を誰かに見られたら…そう思うと心配で、だから私たちが警備してたんです。感謝して下さいね♡」

「……はい///」

「お前なに納得してんだ、どうせ部屋の前で待ち構えてたんだろ?大野さん、二宮、今日は宣言する、キスするまで、」

「はいそこまで、行きますよ?事件は待ってはくれません、ほら早く」

「離せ!いつもいつもお前らは、俺は潤に…」

「室長?事件を追い掛ける格好いい櫻井刑事はお好きですか?」

「そ///、そんなの…わざわざ聞かないで下さい///……」

「ですって、愛しい人のために頑張りましょうね、では。はい行きますよ~」

「…警視…殿…」

「…櫻井刑事、」


事件という名のもとに引き裂かれる二人
俺たちは刑事、皆の平和と幸せを守るためならば、この身を削ることは仕方がないのか……?


両手を広げた優しい笑顔が視界に入る

「潤…ちゅうす、」

「しません!するのは櫻井刑事だけです!……あ///」

「あははははっ…ああおもしれえ、ククク」


大爆笑のする大野さんの声を背に受けて、窓の外を見上げ盛大にため息をついた
白いもくもくと湧く雲は夏の名残、その先に見えた青い空が昨日よりも透き通って見えるのは、秋の訪れが近いのだろう


ポケットの中、指先が触れた冷たい感触に俺は、青い空に向けて誓った


 …今日こそは、定時で帰ってやる!


手のひらの熱さと、その手に伝わる冷たさに


 …頑張りますか。


手にした一枚の報告書、その名前に微笑んだ


【Love to be Tried~ふたつの唇 おわり…?】















「ねえねえ、翔さん」
「なんだよ」
「次はどんな事件でしょうね ((o(^-^)o))」
「あほか…何ワクワクしてんだ」
「だって、…スリルがあって、楽しいじゃないですか?」
「お前、また事件に首を突っ込むようなら、今度は三日じゃなくて一ヶ月、この部屋から出さねえぞ、分かってんのか」
「えっ!?……一ヶ月……監禁……そんな///…きゃは♡」
「…💧…なに喜んでんだ、一ヶ月だぞ?一ヶ月!」
「…はい///、一ヶ月も、ですよ?楽しみ~♡」
「…俺の話を聞いてんのか?……ん?…一ヶ月…も、なのか。そうか、そうか…はははは…ふふふ…ニヤニヤ」
「イヤらしい💢」



【おわり】









こんばんは。
最後までお付き合いくださり、ありがとうございました。無事に最後を迎える事が出来ました。
正直なところ書けない日もありまして、焦って捻り出すそんな事も多々ありました。
それでもここまで来れたのは、皆さんの支えがあったからこそです、感謝しております。


最後まで書いて思ったことは、二人を想像して?妄想して?話を書くことがやっぱり好きだということでした。


ゆっくり、じっくり、焦らずに、自分が楽しんで、その楽しさが皆さんに伝わるように、細々とでもいいのでこれからも書いていけたらなと思っています。


ここまでお付き合いくださり、ありがとうございました。

これからも、このブログにお付き合い頂けたら嬉しいです。どうぞ宜しくお願い致します♡


ありがとうございました。


KAKO