「ママ友って難しい。」


「つかず離れずの距離感が1番だよ。」


特に先輩ママからそんな話をよく聞いて、寂しいなと思っていた。


多くのママが結婚してから地元から離れてママになっているように、私も地元からは大分離れていて、人と話すことに飢えていたからそう思っていたんだと思う。


今は、小学校1年生になり身体が見違えるくらい強くなった娘だけれど、2歳の時に発症した病気のせいでビックリするくらい免疫が弱く、幼稚園入園前は、いつも月の半分は熱を出して布団で寝伏しているような子だった。それが1年中。


支援センターに行ったり、幼稚園見学に行ったり、子育てサークルに行くだけで毎回、風邪をもらって39度の熱、鼻水、咳。


子どもなんだから、咳をしてても口をおさえないのは仕方ないのに、娘にうつされるのがこわくて、そういう子を平気で支援センターとかに連れてくる親の気が知れないと思っていた。


そんなだから、月3回の習い事も1回は熱のため必ず休み。そして、支援センターからも足が遠のいて、せっかく子育てサークルでできた友達と遊ぶ約束をしても娘が熱を出して会えなくて、なかなか友達も作れず、私は焦っていた。


そんな時、声を掛けてくれたのがママ友A美だった。

A美は娘と同い年の女の子と3つ下の妹の姉妹のママで、子育てサークルの仲間の1人だった。A美はいつもハッキリしていて、時に人を傷つけるのではないかというようなズバッとした物言いをする人だ。


それでも彼女には嘘がなくていいなと当時の私は思ったし、同じ子育てをする仲間として一緒にいてくれることが心強かった。そして、何より娘に一緒に遊ぶ友達ができたことが嬉しかった。


私達はよく遊んだ。

お互いの子どもの誕生日会、ハロウィーンパーティー、クリスマス会、動物園、習い事、幼稚園も一緒。


自分のこと、家のこと、何でも話していた。

話しすぎてしまっていた。

勝手に「ここだけの話」と私が思っていたし、私達はただのママ友じゃなくて友達だと思っていたからだ。


でも、幼稚園に通い始めて半年経ったある日、子ども同士のささいな出来事をきっかけに、距離をおきたいと強く思った。


ある日、いつもと同じように子どもを迎えに行くと先生から「今日、娘ちゃんがBちゃんに遊ぼうって声を掛けたんですけど、今日は別の子と遊ぶから遊ばないって言われて、娘ちゃんが泣きました」という報告があった。


まあ、そんなこともあるし、幼稚園は人との関わりを学ぶ場だからと思っていたら、後ろで先生の報告を少し離れたところで聞いていたA美が「ねぇねぇ!!何があったの?!後で聞かせてね!!」と。


用事もあったのでその日は帰ったのだが、習い事の帰りに「ねぇ!この前、先生から言われた話聞かせてよ!何があったの?!」と再度聞いてきたのだ。


この時点でかなり面倒くさいと思ってしまったが、話さないということは許されない気がして話してしまったのだ。


すると、「それ、うちの子も言われたことある!それでうちの娘はすごい悲しい思いをしたんだよ!あの子、そういうところあるんだよね!もう二度とうちの娘に悲しい思いをさせたくないの!ていうか、ゆいごろうちゃんは、娘ちゃんにしっかり言わなきゃダメだよ!!うちの娘は、一緒に遊びたくないって言われたら引けるけど、ゆいごろうちゃんの娘ちゃんは引けないもんね。うちの娘にBちゃんと遊んじゃダメって言わせようか?!」と。


冗談言ってるのかと思った。

でも、彼女は真剣で、なんなら目に涙を溜めていた。


彼女は、また同じことが自分の娘の身に起きることを心配していた。


私は、娘達が遊びたい子と遊ぶように、Bちゃんも手を繋ぎたい相手がその時によって違うし、選びたいんじゃないかなということを娘に伝えてはいたけれど、親が必要以上に子ども達に干渉するのは違うと思っているから、同調できなかった。


翌日、A美がBちゃんのママに「ちょっと、ゆいごろうちゃんから聞いたよ~!また、同じことが起こったんだって!?」と話しかけていた。


私の話は筒抜けだったんだ。


このことだけじゃない。


年齢、夫の職業、流産を繰り返していたこと、不妊治療専門のクリニックに通っていること、クリニックには夫も行って検査するのか、とにかくこと細かく色々聞かれ、でも彼女ならいいと思って話していた自分がバカだった。筒抜けだったんだ。


彼女が私を好きだったのは、私が自分の思い通りになるから。


待ち合わせしても30分遅れは当たり前。

平気で2時間待たせられていたのに、何で気づかなかったんだろう。


幼稚園の送り迎えで毎日顔を合わせていたし、離れるのはいろんな意味で大変だったけれど、特に流産して、不妊治療専門クリニックに通っていた頃は、根掘り葉掘り聞かれることもしんどくて、離れる決意をした。


しばらくして、コロナが出始めたことをきっかけに、家遊びは断る理由ができ、離れる良いきっかけになった。


場面や関係性にもよるけれど、一緒にいる人がいると楽しいし、心強い。


でも、気を付けないといけないと思うようになった。


そう思いながら人と付き合うのは苦しいけれど、そうしていく中でも仲良くできる人が見つかればそれが幸せだと思う。