1984.7 GBの付録より。
アルバムの印象って最初の曲、そうA面の1曲目でかなり左右されるものなんですね。 沢田聖子の通算6枚目のオリジナル・アルバム『風の予感』を聞いて、これは思ったこと。
というのも、レコード会社を移籍して、サウンドが『ターニング・ポイント』、ニュー・シングル「都会人」と経るにしたがって、“今”を意識したものになってきているから、当然のこととして、冒頭の「夏頃咲き頃Lady」を受けとめてしまって、単純に、アルバム全体の印象を決めてしまったから。 雷の音、雨の音のSEに始まって、アップ・テンポのリズムが強調された「夏頃咲き頃Lady」。 2曲目の「YOKOSUKA RAIN」も同タイプ。 冒頭での2曲のインパクトに、“こりゃスゴイや”となった次第。
そして、A面ラストにシングル曲「都会人」。 やっぱりこの3曲が、一度さらりと聞いたとき、全体の印象として残った。 これもA面1曲目の残像のせいだと思う。
ところが、このアルバム、2度、3度じっくり聞きこんでゆくと、かなり印象が変わってくる。 「夏頃咲き頃Lady」「YOKOSUKA RAIN」「都会人」の間にはさまった「アスファルトの上の砂」「優しくして・・・」はスロー・ナンバー。 しっとりとしたメロディーを情感のあるボーカルで聞かせてくれる。
B面に入ると、タイトル曲の「風の予感」は、とってもさわやかな感じのメロディーとミディアム・テンポのここちよい曲。 初夏にピッタリの曲でのどかでリラックスしたボーカル。 この曲に代表されるようにB面は、A面に比べるとミディアム・スローナンバー中心で、サウンドも一転シンプルでおとなしい、オーソドックスな作り。 彼女のこれまでの基本的ライン、ポイントをしっかりと押さえた仕上がり。 その中でも印象に残る曲は、やはり、ラストの「想い出のオルゴール」だろう。
先月号の記事でも彼女自身が語っていたように、ずっとこれまで大切に心の中に温めていた曲。 彼女自身の詞、曲というせいもあるが、あるひとりのファンの死、というテーマを、自分の中で整理、昇華して見事に歌いあげている。 この1曲のおかげでこのアルバム全体に、ピリリッと一本線が通り、そして、緊張感が戻ってくる。 その意味でも、ラストを飾るにふさわしい曲だと思う。
「夏頃咲き頃Lady」「YOKOSUKA RAIN」「都会人」など、一見ハデに見えて、実はしっかりと着実なアルバム作りをしている姿勢に好感が持てる。
一言でいうと、「夏頃咲き頃Lady」の歌詞にある、“私も捨てたものじゃない こっそりかなり そう思います” こんな感じのアルバム。
ただ彼女のオリジナルをもっと聞きたいと思うのですが・・・・・・。
オマケ
開演前席から。![]()
ちょうど真ん中辺りでした。
客層は男女比半々な感じで、年齢層的には私達でも若い方に入るかな?といった所でした。
帰路は少しだけ寄り道して、広島ドリミネーション
を見て来ました。
22:00過ぎてようやく晩御飯です。![]()
こちらのイラストはフィクションです・・・。





