橋田先生の訃報が飛び込んで来て


冷たい雨の音を聞きながら

橋田先生のお声と
お顔を思い出しながら

そこで時が止まってしまいました。


私が幸楽で働き出した頃の事


橋田先生のお書きになった

私の役の

聖子ちゃんはとても強烈でした。


最初の頃は戸惑いながら

毒のある聖子ちゃんに

ついていけず

この役に悩んでいた時に


演出家の


井下さんとお話ししました。


井下さんは、

私のデビュー作「ふぞろいの」

演出家でもあり、

私を10代から知ってくださる

人でした。

私が役に悩んでいる

事を察してくださり、


「唱子ちゃんの今までの

役とは全然違う戸惑いも

あるだろう。

でも橋田さんの脚本は

中途半端じゃダメだよ。

毒には毒を持って刺しなさい。」

と言われたのです。

はっとしました。


橋田先生のお書きになる

あの役の魅力を

真っ向から受け止められず


私の未熟さを

痛感しました。


それぐらいあの役は

私にとっても

大きな挑戦でもありました。


真剣に聖子ちゃんと格闘すると

彼女の力強い生き方が面白くて

ワクワクして

演じれるようになり

ました。

 聖子ちゃんという

キャラクターが発する

毒気と生命力に魅了されて

無我夢中で演じていました。


役にパワーをいただき

役を通して

橋田先生から

とてつもない大きな

エネルギーを

いただきました。

 

憎まれたり、多くの人に

嫌われた役ではありましたが


私は聖子ちゃんが大好きでした。



素晴らしい役者さんたちと一緒に

幸楽の中にいれて



とてもとても幸せな時間でした。


橋田先生。素敵な役を

ありがとうございました。


心よりご冥福をお祈り申し上げます。