こんばんは。
「運命の人」も今回で終わります。
前回と同じく、トクマン君が話すときは「」を使います。そのほかの人の会話は『』を使いますね。
本当は前回で終了の予定でしたが、時数の関係で残ってしまいました。
それでは、「運命の人4」をどうぞ。
皆からさんざん言われた。あんな良い話しを逃した俺には、もう良い縁談の話しはこないと。
父上をがっかりさせてしまった・・・。
そう思っていたが、父上はどこか予想していたような口ぶりだった。
『トクマン、あの方のことは聞いている。あのような御方はそうそういるのもではない。同じ男としてお前の気持ちが解らぬでもない。』
父上は静かな口調であった。
『私も若い時に同じような経験をしたことがある。お前もまた、運命の人に出会ったということだな。』
父上はここで少し間をおいて、
『だがな、トクマン。運命の人と巡り会ったとしても、それが運命の相手とは限らんぞ。親としては、お前が人生を共にする運命の相手に気づくことが出来るようにと願うばかりだ・・・』
俺は何も答えることは出来なかった。
「運命の人」と「運命の相手」・・・・・・・・・
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それからまた時が経ち、俺はウダルチ・テジャンとなっていた。
ウダルチの面々もずいぶんと変わった。
チュモは、今では禁軍でテホグンを補佐している。
今日は典医寺に見舞いにいく予定だ。
怪我をしたウダルチの様子を見に行くのだ。
それにしても、典医寺に行くのは本当に久しぶりだ。
俺が医仙様の護衛をしていたころを思い出す。
今や青春時代の大切な思い出だ。
だが典医寺もすっかり様変わりしていた。
いつの間にか時が流れたことを感じた。
俺は部下の様子を見て安心する。
その時、部屋の反対側から声が聞こえた。
『さあ、こちらに座ってください。包帯を巻きますね。』
明るく朗らかな女人の声だ。
反射的に振り返ると、そこには見慣れた典医寺の質素な制服姿の女人が患者の世話を焼いていた。
医仙様の影響で、典医寺にも女人が増えつつあると聞いている。
だがその女人は、俺の見知った顔だった。
「まさか・・・、ユネ殿?」
女人が顔を上げる。
『えっ?・・・まあ、トクマンさん?!』
ユネは目を丸くし、手に持っていた包帯を落としてしまった。俺は慌ててその包帯を拾って彼女の手にのせた。
ユネは医仙様に付いて看護の勉強をさせてもらっているという。どうやら父親は渋々許してくれたらしい。
『びっくりしたわ。まさかトクマンさんにお会いするなんてね・・・・』
ユネの声は心地よく響いた。
相変わらず嬉しそうな瞳で俺を見ている。
ふふっと微笑んだユネが綺麗だった。
ふと、身体の中に暖かい風が吹き込んでくるような気がした。忘れていた感覚が甦るような・・・・
ああ、これだ・・・・
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この春、俺とユネは婚儀をあげる。
俺はようやく運命の相手に気付いた。
運命の人と運命の相手、人生で2人も素晴らしい女人に巡り会えた俺は本当に幸せ者だ。
完
「運命の人」を読んでくださってありがとうございます。
今回、トクマン君のお話しに挑戦してみました。
2020年もどうぞよろしくお願いいたします。
最後になりますが、でんべさん、ご迷惑をおかけしてすみませんでした。
そして、このような機会を与えてくださって、本当にありがとうございました。