こんばんは。
もうすぐ新年ですね。
参加は無理だと思っておりましたが、やはり諦めきれず、トクマン君の短編をかきました。
一気書きですので、内容は浅いし穴だらけです。
どうぞお許しください。
最後まで書ききれなかったので、新年の3日ぐらいまでに残りを書き上げてアップいたします。
 
でんべさんの課題のうち、再会と新年に相応しいお話しを取りました。新年に相応しい内容かどうかは解りませんが・・・(@_@)。
 
良かったら読んでみてください。
 
そうそう、トクマン君が話すときは「」を使います。他の人の会話は『』を使いますね。
 
 
 
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誰にも運命の恋はある。

そして運命の人も。
だが運命の相手である必要はない。
 
 
 
 
 
 
医仙様とテホグンが婚儀をあげた。
二人は、まだテホグンがウダルチ・テジャンだった頃に恋に落ちた。
それからのテジャンは以前とは全く違っていた。
高麗はそれ以前もその後も不穏であり続けたので、2人は幸せな時間を積み上げる余裕も無かったが、確かな絆を創り出していた。
出会ってすぐに恋に落ちたのに、成就するには長い時間待たなければならなかった。
 
そんな2人を知っているから、俺達ウダルチは2人の婚姻が本当に嬉しかった。
チュンソク隊長をはじめ、テマンやチュモも、皆々嬉しくて眼を潤ませていた。
 
 
もちろん俺も・・・
 
 
俺達の尊敬するテホグンと医仙様の婚姻だ。喜ばない奴がいるだろうか。
 
 
そんな感無量の俺の背中をポンッとたたく奴がいた。
 
『おいっ、大丈夫か?無理するなよ。』
 
 
(大丈夫って何なんだ?)
 
「はぁっ?」
 
『だから無理するなよ。』
 
 
「何言ってんだ?!チュモ 」
 
 
チュモはなぜか心配そうな顔をしていた。
 
『まあ良い。キツくなったら言えよ。』
 
 
何のことやらまるで解らない。
 
 
チュモが去った後、俺の前にテマンが立っていた。
 
 
『トクマン、これから飲みに行くか?』
 
テマンは何故か慈愛?に満ちた眼差しを俺に向けていた。
 
 
「いいや。父から話があると呼ばれているからな。屋敷に行くつもりだ。」
 
本当に父上から呼ばれているのだ。
 
 
『そうか・・・』
 
テマンはなにやら複雑な表情を返し、それ以上は何も言わなかった。
 
 
ふと視線を感じて目を向けると、チュンソク隊長がじっと俺を見ていた。
 
隊長の目は何か言いたそうだったが、俺は振り切って大股で去っていった。
 
 
 
何なんだよ、何なんだ?!
皆の反応は何なんだよ???!!!
 
 
 
屋敷に戻ると父上が俺を待ちかねていた。
 
『本当に久しぶりな、トクマン。細っこいひょろひょろした青二才だったお前も、精悍さが出てきたな。』
 
父上は上機嫌だ。
 
 
『さっそくだが、お前に縁談だ。テホグンもようやく婚姻した。これでお前も気が済んだだろう。』
 
父上は頷きながら言葉を進めていく。
 
『お前が、テホグンと医仙様の行く末を見届けてからでないと身を固める気持ちはない・・・などと言い出した時は、どうなることかと心配したがな。とにかく良かった、良かった。』
 
 
そうだった。
俺はテホグンと一緒に医仙様のお帰りを待つと決めていた。
そして、テホグンと同じく縁談を断っていたのだった。
 
 
『テホグンも婚姻した。今度はお前の番だな。ようやくだな。ようやくお前の婚儀だ。』
 
 
父上はとにかく嬉しくてたまらない様子だ。
 
 
俺は突然のこの展開に正直付いていけなかったが、あまりにも嬉しそうな父上の様子になにも言えなくなってしまった。
 
 
 
 
 
 
 
『ソン・ユネと申します 』
 
 
彼女の父上は重臣にして王様の側近。俺の家が代々続く武門の誉れ・・・と言えなくもないが、格が違うんじゃないか・・・。
 
 
深窓のお嬢様は少々地味で、でも知的な感じだ。
 
 
『私、トクマンさんのことを存じ上げておりましたわ 』
 
俺の顔を見ながらクスッと笑っていった。
 
『典医寺に参りました時に、医仙様のお側にいらっしゃったでしょう?』
 
にこにこと微笑みながら嬉しそうに俺に話しかける。
 
 
ふと、どこかで同じような光景を見たような気がした。
 
 
 
*****
 
 
 
ソン・ユネは俺の事を知っていた。彼女も彼女の父上も医仙様に治療してもらった経験があり、一家で医仙様に敬意を払っていた。
特に彼女は、医仙様に強い憧れを抱いているようだった。
 
 
『あのような生き方が出来る医仙様は本当に素敵です。テホグン様がご執心なのも頷けますわ。 』
 
 
俺達の共通の話題は医仙様。
5年前に医仙様が初めて高麗にきてからの出来事を彼女に話して聞かせる。
 
ある日テジャンが連れてきた天界からきたという稀有な御方。そして王様の賓客。
信じられないような医術を施し、助からないと言われた病人を救う。
王様も市井の民も命の重さは同じだといって周囲を驚かす。
 
「でも、だからと言って近寄り難い感じではなく、いつも明るくて楽しい御方なのです。一緒にいるだけて楽しくなるような、もっとずっと一緒いたいと思わせるような・・・」
 
俺はいつの間にか医仙様の事を話すことに夢中になってしまった。
ユネに話すというより、自分自身に話しかけるような?
 
 
俺の中の医仙様を夢中で思い起こしていた。
 
 
医仙様。
 
 
医仙様。
 
 
医仙様。
 
 
俺の頭の中は医仙様でいっぱいになった。
 
 
俺はずっとずっと喋り続けた。
医仙様のことを。
 
 
そのうち、不覚にも涙が流れはじめた。
 
 
それでも俺は医仙様の事を話し続けた。
 
 
俺の心は医仙様でいっぱいだった。
 
 
ようやく気づいた。
 
 
俺は医仙様のことがずっとずっと好きだったんだ。
 
 
 
つづく