流通評論家の金子哲雄さんが亡くなられました。

お悔やみ申し上げます。

でも、お話は面白くてわかりやすいと思いながら

私は彼の舌足らずな話し方があまり好きでは

ありませんでした。





でも、亡くなられてから

すばらしい終活をされていたとのニュースを聞いて

俄然、あこがれの人になりました。





ご自身の葬儀やお墓の手続きを自分でするなんて

なかなかできないことです。

葬儀のお料理やお花や遺影を決めるのもすごいけど、

参列者への礼状が泣かせます。

「今回、41歳で、人生における早期リタイヤ制度を利用させて
頂いたことに対し、感謝申し上げると同時に、現在、お仕事
事情にて、お世話になっている関係者のみなさまに、ご迷惑を
おかけしましたこと、心よりお詫び申し上げます(抜粋)」





そのユーモアのセンスと心配りの深さ

周りの方への愛情深さに

全く関係のない私まで涙が出てしまいました。

どんな思いでこれをしたためられたのでしょう。






才能にあふれて、

まだまだやりたいこともたくさんおありだったはずなのに

愛する奥様を残していかなければならないのは

本当につらかっただろうと想像します。






なんと強くて優しい方んだろう。

亡くなられてこんなに評価を上げるなんて

本当にかっこいいです。





そして、私の身近にもそんな方がいます。





この方(女性)は、現在60代で

会社をいくつか経営していらっしゃいます。

堅実で誠実なお人柄なのは存じておりましたが

最近10数年ぶりにお会いしたら

「私、7年前に結婚したのよ。でも、今はまたシングル。」

とおっしゃるのです。






この方には、

長年連れ添ったカメラマンの恋人がいました

お互い自立して自由な暮らしを望んでいたので

結婚はしなくていいと思っていたのです。

でも、彼女が56歳の時、

2歳年上の彼が末期がんだとわかりました。





彼女はそれを知って初めて

彼と結婚しなくちゃ!

と思ったのだそうです。





彼にはもうほとんど身内がいない状態なので

病院に付き添う相手もいません。

身内でないといけない確認や同意書のサインは

遠隔地に住む高齢のお姉さまを呼び出さなければ

ならなかったのです。





彼が安心して治療に専念できるためには

内縁ではなく社会的に認められた

身内が必要だったのよ。

でも、5年後に逝っちゃったけどね。





そうだったんですね・・・

治療費だってかなり大変だったと思います。

社長業をしながら、看病や介護をするなんて

想像を絶する大変さです。






でも、楽しかったわよ。

私は結婚できてよかったと思ってるわ。







なんと潔い愛にあふれた生き方なのでしょう。

彼女は今、彼の残した作品を後世に伝えるべく

彼の名前の会社を作り、

遺品を管理しています。





人生の先輩の生き方を間近に伺って

感動するとともに考えてしまいました。





私が同じ状態になった時

家人にこんな風にしてあげることができるだろうか。

正直、私には自信がないです・・・。

私は家人にかなり甘えて生きています。

家人を私が守るなんてできるでしょうか?





でも、

私と一緒にいることで彼に幸せになってほしい

とは、毎日考えています。

もっと愛を与えられる
強い人間になりたい。

心からそう思いました。





-金子哲雄さんのご冥福をお祈りいたします-