第6話、7話となかなか良き流れで来ていたウチカレ。その続きとなる第8話感想です。


※以下、ネタバレとなりますので、まだ観てない方はご注意くださいませ。



まず、一言で感想を言わせていただくとすれば…

"前回、前々回が神回過ぎた"

ということですかね。今回に関しては僕の涙腺はピクリともしませんでした。別にドラマの評価って"泣けるか泣けないか"が全てではないし、"感動がなければ駄作"というわけではないと思います。なので、このドラマがダメなドラマだと言いたいわけではありません!このドラマ、僕は面白いと思います!そこに嘘はありません。だけど、なんだかしっくり来ないというか、モヤモヤする部分が第1話からあって…。その原因がなんなのか。今回わかったような気がします。それは…

"このドラマの軸がわからない"

ということです。


"このドラマは何を伝えたいんだろう?"


  "何がメッセージなんだろう?"


それがわからないのです。タイトルは"ウチの娘は、彼氏が出来ない!!"だけど、じゃあ空の恋愛をきっちり主軸に据えて物語が進んでいるのか?というとそうでもない。それに、タイトルから受ける印象とは違い、空は経験が浅いだけであって、普通に恋愛に興味はあるし、誰かを好きになる気持ちも持ち合わせている。空に"オタクの陰キャラ"という設定をぶっ込んだ上に、こんなタイトルを設定している段階で"空は二次元の世界に夢中でリアルな恋愛に興味がない。だけど、そんなオタクも恋に落ち、最終的に彼氏ができる"みたいな展開を僕は想像していた。だけど、そんな想像とは裏腹に、第1話の段階で既に渉先生にときめき、これと言った障害もなく一応恋人になっているのだ。まず、この展開にだいぶ拍子抜けしてしまったのは事実。むしろ、僕の印象からすれば、空の恋愛よりも、空と碧の親子関係の方が物語の軸になってますよね?という気がするのだ。であれば、内容云々よりも、タイトルの設定ミスが否めないのかなと思う。なんなら変な話、あのヒットドラマ『義母と娘のブルース』のタイトルをそのままパクった方が、まだしっくり来る気がするのだ。そんな感じで、タイトルと物語の軸がズレていることに加え、このドラマは話が色んな方向に飛び過ぎるので、場面場面では笑えるのだけど、全体を振り返った時に一貫性がなく、なんかしっくり来ないのだと思う。

 

というわけで、8話というよりは、いきなりドラマの総括的な話になってしまいましたが、8話は空と碧が空の父親である一ノ瀬風雅に会いに行く話でした。これが血の繋がりなのか?意外にも空と一ノ瀬は気が合ってしまう展開で、ラストでは2人で旅に出てしまうという…そして碧は何とも言えない気持ちに。もし8話の内容を10秒で説明しろと言われたら、恐らくそんな感じ。正直"まぁ普通の展開"という感じ。そんな平凡な展開の中で、このドラマを繋ぎ留めてるのは"脇役の頑張り"だよなと、今回改めて思った。


まずは、前々回あたりから、僕の涙腺を刺激し始めた入野光。今回、彼が僕の涙腺を襲撃してくることはなかったけど"空を諦めない"と宣戦布告してきた渉先生に対して、空のことを呼び捨てにしてさりげなくマウントを取ったりする姿は可愛いなと思った。

あと、一ノ瀬に会いに行った先から近況報告をしてくる空に対して"渉先生が好きなんだろ。だったら渉先生に電話しろ"と言って、一方的に電話を切る入野。電話を切った後に"大人気な〜俺"と自分の行動を反省する姿が、入野の切ない心情を上手く表してて良かったなと感じた。

入野がめっちゃいい奴ってことは、6話、7話で苦しいくらいによくわかったので、入野には"チャラ男が本気の恋をすると報われない"という、ドラマあるあるを、ぜひ打開してほしいなと切に願う🙏


あとは、サリーと漱石のおだやでのシーンが今回は1番グッときた。空に電話をしながら、昔の男=漱石の胸の中に身を寄せ、俊一郎と比べてどちらが安心するかを確かめるサリー。

そして、空に言う。"暗闇で手を伸ばした時に、誰の肩に触れて自分は安心するのか。その人こそが、空にとって1番必要な人"だと。この回の冒頭でもサリーは言っていた。恋愛経験がない空は"暗闇で誰に触れたいか"ではなく"明るく晴れたハワイで誰と海に入りたいか"を恋愛感情だと思っているだろうと。


このセリフって、なかなか深いなと思う。たしかに、楽しい時って、なんなら一人でも成立してしまうところがあるけど、苦しい時ってやっぱり一人ではしんどいことが多い。だから、苦しい時にそばにいて欲しいと思う人こそ、ホントに自分が求めている人っていう価値観は、たしかにその通りだよなと思った。前回あたりから、いい意味でサリーの存在感が増しているなと感じた。


あと、同じ場面での漱石の演技も切なくて良かった。空とサリーの電話のやりとりを聞いていた漱石は、サリーに対して"幸せになれよ"と言う。そして"サリーの左利き好きだったよ、直すなよ"と言うと、漱石の頬を涙が伝う。

そして、涙を浮かべて"もう直んないよ"と言うサリー。

この場面、グッときたな〜。別れた後にこんなやりとりって、切な過ぎるし、オシャレ過ぎるでしょ。漱石ってやっぱいい奴だし、なんだかんだサリーのこと愛してたんだなってのがよくわかる。サリーの対応も、付き合ってた頃のただ重いだけの女ではなく、いい女になっているのがなんか良かった。だからこそ、切なく映るのだろうけど。


そんなわけで、今回は脇役の好演が光る回だったように思う。あえて挙げなかったけど、ゴンちゃんも俊一郎さんもやっぱいい存在感を出していた。このドラマのテーマがよくわからない以上、脇役みんなの幸せを祈りながら観るというのも、このドラマの正しい見方なのかもしれない。ドラマもいよいよ終盤。願わくば、いい加減空が、本当に大切な人は誰なのかに気付いて、入野と本当の恋愛をして欲しいなと思います。