「お(めえ)さん、                                       それを言っちゃお(しめ)ぇよ」

寅さんに諭されて

下げようと思う頭に

初夏の風が撫でる

 

 

乳母日傘で育っても          

しばしば飲んだ苦い水

それでも曲がらず折れず

歩きとおせた幸せを

ひとり頷いて床の中

 

===今回でひとまず休止します。再開の時まで。

 

 

会話の向こうに

咲いていた普段花

いつもあるはずの

風景が遠のいて

猛烈な夏が近づく

 

 

♪リラの花咲くころ…

ジャストアライブ

狭い庭を占領した

白い花の集団

気持ち浮きたつ

 

 

 

テレビで盛ん        

しわ取りクリームCM

しわはその人の年輪

時間と経験の深み

誇らしくこそあるのに

 

 

鏡に向かって    

「老けたわぁ」

嘆く四十娘

パソコンする七十親

再起動すれば

こんなところにあった

転がり隠れた

24色の欠品エンピツ

捜し出した満足

絵を描くことなくても

 

 

小さな困難に便利と        

あちこちに置いていた

マッチ箱が見当たらない

邪魔者扱いで姿消す

時代の変化つくづく

腹ふくれ瞼重く          

昼下がりまどろむ         

滲んで遠ざかる景色

記憶もたゆたい

漕ぎ出る夢の船

 

 

高望みせず

なにごとも中位でよい

母の言いに反発した

若い頃のツッパリ

消えていまは安心第一