桂かい枝の落語【帯久】❸のあらすじ❗️と胸のすく名シーン(奉行さまの名裁き)❗️を見てみよう。




🟢桂かい枝の落語【帯久】のあらすじ 



呉服の和泉屋の主人(与兵衛)は、温厚な人柄で人望もあり、店はとても繁盛している。

一方、近くの呉服・帯屋の主人(久七)は、一癖ある陰気な男で、店も《売れず屋》というあだ名が付いている。


ある年に、帯久(帯屋の久七)が和泉屋に、30両と50両を借りに来た。人のいい和泉屋は、無利息無証文で用立てた。そして、帯久は、いずれも20日後に返しに来た。しかし、帯久が100両借りた時には、なかなか返しに来なかった❗️


大晦日。店が忙しい時に、帯久が100両を返しに来た。和泉屋は100両を受け取るが、すぐ蔵屋敷の役人の対応に部屋を出た。戻ってきた時には、100両は部屋に無かった。自分の不注意、厄落としとして、あきらめてしまう。


帯屋は金もあり、《景品つき商売》という新アイデアで客を集め、もうけ始める。

一方、和泉屋は、ケチがつき始め、娘のお花、女房が立て続けに死に、子飼いの番頭が店の金を持ち逃げする。店も放火されて全焼した。悪運の強い帯久の店は、火の手から免れた。


家も家族も失った和泉屋は、別家させた武平の家でやっかいになる。10年間、長患いして、回復したのが、数えの61歳、還暦の本卦帰りの年❗️武平にもう一度、和泉屋の暖簾を上げてもらおうと、帯久の店へ、100両を返してもらいに行く。


和泉屋は、帯久に罵倒されたあげく、眉間を割られる。その仕打ちの悔しさに、火を付けようとして捕らえられる。






🟣ここから、後半の盛り上がり、【お奉行さまの名裁きショー】を堪能する時間❗️お楽しみはこれからだ❗️




奉行所のお白洲。大坂西町奉行所の松平大隅守のお裁きが、始まる。

『大晦日、改めて持参しようと、100両を持ち帰ったのを忘れたのではないか❓』と、【忘れた】と言いやすいように誘導するが、帯久は返したとシラを切る。

奉行は、帯久の人差し指と中指を紙で巻いて貼り付け、判を押す。『これは、物を思い出すまじないである。封印を切る時は、家は撤収、所払いを申しつけるぞ』ときつく言い渡す。帯久は何も出来ず、音を上げて出頭し、100両持ち帰り、忘れていたと白状した。


そして、帯久は、100両持って来た。

奉行は、この100両は元金なので、利息を1年で10両にする。つまり、10年なので100両になる。

そのうち、50両だけ持って来た。

で、残り50両を、年賦にするか❓月賦にするか❓

ケチな帯久は、年賦を選んだので、50年の払いになる。


これで、奉行は『和泉屋、火付けの大罪は免れぬ❗️

そちを火炙りの刑に処す』と言い、


帯久は、『さすが名奉行❗️こんがり焼いたっておくんなはれ』と大喜びするが、


奉行『ただし、刑は和泉屋がな残金50両を受け取った暁に行うぞ』

あわてた帯久『今すぐ払いますから、火炙りにしてください』

奉行は、帯久をきつく叱りとばし、

『和泉屋、そちは今、何歳になる❓』

和泉屋、『61でございます』

奉行、『61とは、本卦(本家)じゃな』

和泉屋、『いえ、別家に居候しております』

                   (了)



★数えの61歳は還暦で、また、本卦帰り、とも言う