落語家とマイクの距離が遠すぎて、枕が聞こえない場合が多かった。
特に、真打の舞台では、枕を小さい声で語るのがイキと思ってる落語家が多いみたいで、声が真ん中より後ろは聞こえていないと思う。
噺に入ると声を出す落語家が多く、その声量があるなら、枕から声を出してよ、と言いたくなる。
この日の夜席は新宿末広亭を見たが、マイクは近くて、浅草の3倍の声量で聞こえ、よく噺を楽しめた。
馬るこ。怪しい旅館に迷い込む新作落語だった。落語協会は新作が少なく、この新作は楽しめた。
文菊。子ほめ。古典落語も自分のものにして語れば、充分に受ける好例。笑い声がよく響いた。
円丈。リクエスト落語。座布団の前に、本立ても用意して、そこに円丈が登場。ファイルを持って座り、お客さんに番号を叫んでもらって、その番号の新作落語の概要をしゃべる。基本的に、すべての新作落語は、話すほどの出来では無いと断りながら、いかにバカバカしい話か、を説明してゆく。そのお気楽さ、そのええ加減さが、微笑ましい雰囲気をつくり、うれしくなった。
正蔵。番町皿屋敷。青山鉄山がお菊の皿を隠し、お菊が身を投げる顛末をしっかり語って、お菊の幽霊出現シーンに進めていった。かなり受けて、終わってガッツポーズをしながら、舞台そでにはけていった。
馬風。落語協会は久しく安泰であると喜んで、芸術協会の昇太会長選出に、芸協の未来を危ぶんだ。
落語の業界の噂話を、無責任に愉しみながら語っていた。