4.《for : 方向・合致》

◉〈for A〉は〈Aの方向〉〈Aに合致〉が根源的なイメージ。

◇ 基本の使い方は〈for A〉の A に目指す方向を用いる使い方です。〈to A〉が到達点を伝えるのに対して〈for A〉は Aの方向や方面を伝える役割を持っています。

[例]
・He caught a train for Tokyo.〈東京の方向〉
彼は東京方面の電車に乗った。
・In summer, they leave the city for resorts.〈リゾートの方向〉
夏に彼らは街を離れリゾート地へと向かっていく。

◇ さらに〈for A〉は物理的な方向だけでなく〈Aを求めていく・Aを探していく〉といった希求のニュアンスが加わります。方向のニュアンスが何かを探し求めるイメージにつながるのです。

[例]
・We must go for the victory.〈勝利の希求〉
我々は勝利に向かっていかなければならない。
・She came to New York for a better job.〈より良い仕事の希求〉
彼女はニューヨークへより良い仕事を求めてやってきた。
・They are looking for a new apartment.〈新しいアパートの希求〉
彼らは新しいアパートを探している。

◇ また探し求めるものは、何かにふさわしいものであるはずです。ここから、ピッタリ合っていてふさわしい何かを伝えるため〈for A〉が使われます。つまり〈Aに合致〉のイメージを伝えるわけです。

[例]
・This is a present for you.〈あなたにピッタリ合致〉
これは君へのプレゼントだ。
・She found a dress for the wedding.〈結婚式にピッタリ合致〉
彼女は結婚式用のドレスを見つけた。
・The medicine worked for me.〈私にピッタリ合致〉
その薬は私には効いた。
・These kinds of books are mainly for small children.〈小さな子どもにピッタリ合致〉
この類の本は主に小さなお子様向けだ。

◇ 合致のニュアンスは、ある行為とその時間が合致していることにも使われます。〈for A〉で〈Aの期間〉を表すわけです。

[例]
・She has slept for 12 hours now.〈12時間に合致〉
彼女はもう12時間も寝ている。
・She practices playing the piano for six hours everyday.《6時間に合致》
彼女は毎日6時間ピアノの練習をする。

◇ また合致のニュアンスは〈交換・代用〉にもつながります。ふさわしさがゆえに交換も代用も成り立つのです。

[例]
・I bought the used car for 1,000 dollars.〈1000ドルと交換〉
私はその中古車を1000ドルで購入した。
・He used the soup for shampoo.〈シャンプーに代用〉
彼はその石鹸をシャンプーとして使った。

◇ さらに合致・方向のニュアンスは〈理由・目的〉にも使われます。理由も目的も、なにかに合致したものであるからです。

[例]
・The Japanese man became famous for his animation movie.〈彼のアニメ映画が理由〉
その日本人は彼のアニメ映画で有名になった。
・She studied all the subjects for the exam.〈試験が目的〉
彼女はすべての科目をその試験のために勉強した。

[補足]
◇ for と to に関して。移動を表す場合、for と to で役割が異なっています。to が〈移動の到達点〉つまり移動先のゴール地点を伝えるのに対して、for は出発の際の〈移動の方向〉を示すだけでなく、そこを目指すことに〈目的や意図〉が強く意識されていることを伝えられます。たとえば go to A は〈Aが移動の到達点〉であることを伝えるだけですが、go for A であれば〈Aが移動の方向〉を示すと同時に〈Aを目指す目的や意図〉が意識されています。

[例]
・She went to the match.〈その対戦が移動の到達点〉
彼女はその対戦に行った。
・She went for the match.〈その対戦が目的や意図を伴って目指す方向〉
彼女はその対戦を目指して行った。