もともと日本文化は労働に対してポジティブであり、かつ職業に貴賎なしと言われている。全ての仕事は原則社会にとって不可欠だから存在できている。コロナ危機にあたり直接的に生命にかかわる医療従事者に尊敬と感謝の念が向けられるのは当然であり大いに歓迎することといえる。しかし、直接的でない仕事にまで広げ一括りしてしまうのは疑問である。さほど大差がないにも関わらずその括りから漏れる職業を大量に作り出すからである。
 

ある投稿で、トラック運転手や倉庫作業員、配達員、警察官、消防士、公共施設の保守作業員、衛生作業員、スーパーのレジ係、在庫管理員、看護助手、病院の用務員、訪問介護員など列挙されていたが、全くの暴論である。列挙されている仕事が不可欠であることには異論はない。しかし、運転手がいればその仕事を配分する人も必要だし、倉庫の作業員がいれば作業するための段取りや用具を揃える人も必要である。以下列挙されている全てにおいて更に無数に広がる。つまり、仕事はつながっており全部が必要な仕事である。

 

世の中の仕事は社会に必要不可欠であり、簡単に線引きできるものではない。エッセンシャルワーカーなどと何でも分けたがる文化とは一線を画し、分断よりも統合を重んじる日本文化らしく、今働いているすべての方、すべての仕事に感謝を忘れないことが根本である。むしろ肝心なのは仕事の種類ではなく、その仕事を一人ひとりが全うしているかどうかの方である。