雨降りの午後。停車している新幹線の窓に水滴達が戯れる。上からゆっくりのんびりと滑ってくる水滴。さっーとみんなを猛スピードで追い越していく目立ちたがりの水滴。新幹線がすれ違った瞬間、一斉に目を覚ましパニックのように同じ方向に滑りだした水滴。やがて新幹線が走りだし自分の意志に逆らって横へ流れだす。さっきまであんなに楽しそうに滑っていた水滴達。トンネルに入り暗闇が彼らを襲い、出口から出てきた時には一人の姿もなかった。また逢う約束もせず「またなぁ」と別れたような、また逢えそうな気のいい水滴達だった。