世のおじさんども、がんばれ! | 因果倶時

世のおじさんども、がんばれ!

カウンターにつくと、隣でおじさんが二人、もくもくと飯を食っていた。

今日の昼のレストランでのことだ。

どう見ても二人は同じ会社の同僚だ。

しかし二人は一切しゃべらない。

ひたすらハシを動かすのみ。

別に食事に集中しているわけでもない。

ただ、お互いに、お互いを触れ合うのを恐れているかのように、ひたすら食事をしているフリをしているように見えた。

二人は顔を下げていて、まるでお通夜のように、その二人の周りだけは、皿に当たる食器の音しかしない、静かな、それでいて、お互いにすごい神経戦を繰り広げているような、そんな気を、僕はまともに感じた。


(きっとこの二人はお互い、頭の中では「どうしようかなーどうしようかなー」と色々考えているんだろうな、、)



飯を二人ともほぼ同時に食べ終えた。

一方がおもむろに、2~3言、しゃべった。

ぼくは、ほんの50cmぐらいヨコにいたけれど、全然なにを言っているか聞き取れない、そんな「×○▲○、、」みたいな発言だった。

しかし言われたほうのおじさんには理解ができたらしく、小さな声で、「△○▲□×、、、」と、これまた解読不可能な回答をしていた。

きっとこの2人は何かに疲れ果ててるんだろうな、と、しみじみ思った。

きっと家に戻れば、一家の主として子供も十分に育ったはずの世代だ。

「元気だそうぜ!」

と背中をどつきたくなる、そんな姿だった。