実戦より、▲向かい飛車(相手)対△三間飛車(自分)で、26歩同歩同銀27歩同銀同銀26歩と棒銀の筋で攻めて、相手が36銀と逃げた局面(上図は先後反転)。

相振りにおけるこの棒銀の筋は有名で、26歩には同銀と妥協するのが最善。

本譜は相手が36銀としたので、以下27角打と強引に攻めて後手優勢である。

 

少し進んで、相手が46角打とした局面。

こういった角打ちの筋は▲向かい対△三間美濃の相振りでは常にあり、正直これを指されるだけでかなり嫌な気分になる。

なにより、相手はこの後74歩と突いて、コビンにひたすら嫌がらせをすればいいだけなのである。これは将棋覚えたての初心者でもできる手にも関わらず、常に権利として存在しており、その癖この手を指されるだけで「少し間違えれば負け」の状態を必ず作られるのだから、非常に不愉快な気分になる。

本譜も厳密には後手優勢で、ソフトの評価値でも1000点前後後手がよい。しかし、それは最善を指せたらの話で、それっぽい手を指すのに1秒もいらない先手のほうが、アマ底辺の世界では優勢なのである。本譜もこの後速攻で逆転負けとなった。

▲向かい対△三間美濃の相振りは、本譜のように軽快に動き回ることができるため、後手が指しやすいと言われており、そのため、3手目66歩がプロにおいて減少した経緯がある。

しかし実際にはこういった馬鹿でも勝負形にできる権利が先手に常に存在しているのだから、アマ底辺的には全く後手が指しやすいように見えない。

そしてその原因を作っているのは、コビンという特大の爆弾を抱えている美濃囲いが原因に他ならない。美濃囲いという囲いはコビン攻めや▲36桂の筋、端攻めや玉に紐がついていないことによるその他即死筋があまりにも多すぎるのである。

 

 

もう1つ実戦より、手前側が自分の▲四間飛車で、奥が相手の△右四間飛車の将棋における終盤戦で、相手が△42銀打とした局面。

局面時代は振り飛車勝勢といってもいい局面だが、ここでの指し手は非常に難しい。

見える手は▲46桂か▲26桂ぐらいしかなく、ソフトもその手を推奨しているし、実戦においても、▲26桂と打った。

しかし、これらの手は最終的に37の香を走ることを前提としており、心理的に指しにくい。

何故なら、香を走っただけで36桂の即死しかねない筋が発生し、「渡す駒を間違えたら頓死」の局面を簡単に作られてしまうからである。

本譜では仮に36桂と打たれても、最善を尽くせば先手が勝つだろう。しかし、これだけ有利

な局面にしておきながら、最後の最後まで即死筋と向き合わない時点で、美濃囲いの欠陥性を疑わずにはいられない。

なお、本譜は▲26桂と打ったが、その後怖くなって玉頭からの攻めを見送り、42の地点で飛車と金銀の2枚換えを狙って勝ちになった。

 

最近、四間飛車が金無双やミレニアムに囲う将棋が流行しているが、あれも当然の流れのように思う。というか私自身、「振り飛車における最善の囲いは美濃でないだろう」と思っていた。

「何か他にないのか」とすら以前より思っていたが、自分で考案できるほど才能もないので、諦めていた。

これを機に、ミレニアムや金無双に囲う四間飛車を学ぶのも、いいのかもしれない。