向かい飛車 第65回NHK杯2回戦第13局 行方尚史-藤原直哉 棋譜検討(▲居飛車穴熊) | 将棋・序盤のStrategy ~ 矢倉 角換わり 横歩取り 相掛かり 中飛車 四間飛車 三間飛車 向かい飛車 相振り飛車 ~

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放送見てないよ。

【棋譜でーたべーす】
第65回NHK杯2回戦第13局 行方尚史-藤原直哉

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先手:行方尚史
後手:藤原直哉

▲7六歩 △3四歩 ▲2六歩 △4四歩 ▲2五歩 △3三角
▲4八銀 △2二飛 ▲6八玉 △6二玉 ▲7八玉 △7二玉
▲7七角 △8二玉 ▲8八玉 △7二銀 ▲7八金
(下図)

△向かい飛車 対 ▲居飛車穴熊模様。
上図から△2四歩の仕掛け周辺については、以前書きました。

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参考記事:向かい飛車 後手向かい飛車 対 先手居飛車穴熊01
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本譜は上図以下△3二銀(下図)

もう一手先手の様子を見た方が得、という事ですか。

先手の選択肢は▲3六歩・▲5六歩・▲5八金右・・・

ただし、▲5八金右は急戦型には不人気で、
△4三銀を見てから指される事が多い。
一段金を維持して飛車の打ち込みを消す含みか。

となれば、▲3六歩か▲5六歩かだけど、
この比較はとても難しい。

▲5六歩は△4三銀の時に何を指すか?(下図)

ここで▲5七銀と上がると△2四歩▲同 歩△同 飛が利く。

通常、▲同 飛△同 角▲2三飛で先手良しだが、
△5七角成▲4三飛成△5二金左▲2三竜△2四飛で後手十分だ。

よって△2四同飛には▲2五歩だが、△2二飛でどうか。
▲3六歩△5四銀▲6六銀△4五歩・・・これは未知の戦い。
更に▲3七桂△4四角▲6五銀と進めば激しくなる。

本譜は△3二銀以下
▲3六歩(下図)

ここでも△4三銀ならどうするかという話がある(下図)

▲5八金右には△5二金左▲9八香△3二飛でどうか。以下
▲9九玉には△5四銀▲6六歩△5一角で揺さぶる狙いだ。
3筋からの攻めには一段金の方が対応しやすいので、
善悪不明ながら、▲5八金右を咎めにいく手段にはなっている。

なお、▲5八金右には△3二金も有力。以下
1.▲5六歩△2四歩▲同 歩△同 飛▲2五歩△2二飛
2.▲4六歩△5四銀▲6六歩△2四歩▲同 歩△同 角
3.▲3七桂△2四歩(木村-森下戦
4.▲6六歩△2四歩(佐藤天-安用寺戦
これらも後手を持ってみる価値はあると思う。

また、上図で▲5六歩と突くのは、
△5四銀▲6六歩△4五銀とドリブルする手があり、
先手にとっては嫌味かと思う。

向かい飛車は他戦形に比べて未整備な印象を受けるが、
最近は▲2五歩を決める展開も多いのでシステム化が進むだろう。

本譜は▲3六歩以下
△9四歩 ▲5八金 △4三銀(下図)

ただでさえ未整備な分野なのに、
△9四歩のような様子見の手段まであるので、
全体像が陽炎のように揺らめいている。
・・・と感じるのは、私が勉強不足なせいですね。

上図以下、
▲9八香には前述の△3二飛or△3二金で、
急戦模様になると穴熊に入る価値が高いかどうか。
▲9九玉まで指せれば、△5四銀~△6五銀に対し、
▲7五歩~▲8八角の余地が出来る意味はあるが。

また、▲5六歩にはやはり△5四銀▲6六歩△4五銀。
7六・5六・3六の歩が突いてある場合、ドリブルが狙える。
もちろん、効果は局面によって異なるので注意が必要。

本譜は△4三銀以下
▲6六歩
(下図)

▲6六歩はドリブル銀の阻止と▲6七金右の発展が狙い。

▲6六歩に対し、△3二金と速攻を狙うとどうなるか(下図)

上図のように△3二金と上がると▲3七桂は跳ねやすくなる。
△3二飛から桂頭を狙う展開が無いからだ。

ただし、▲3七桂にも△2四歩と突いてどうか。
▲8六角は△5二銀でスッキリしないので、
▲同 歩△同 角(下図)と進みそうだ。

上図で▲2五歩は△4二角▲4六歩△3三桂と、
スムーズに駒を使われる(形勢は難しいが)ので
出来る事なら▲4六歩と頑張りたい(下図)

これにも△4二角なら▲2二飛成△同 金▲4五歩で、
▲6五歩を含みに手が出来そうだ。

△4六同角は怖いが、
▲2二飛成△同 金▲4一飛△2三飛▲8六角△3二金
▲5三角成△2八飛成・・・
少し先手が指せそう?

また、△3二金に対して▲5六歩は、
△2四歩▲同 歩△同 角▲2五歩△4二角(下図)

▲6七金右には△3五歩▲同 歩△3三桂と捌く。
以下▲2四歩△2五歩の時、▲6八角と引いても2四に利かないのが、
△3五歩と突き捨てた効果。

しかし、上図から先に▲6八角でも△3五歩がありうる。以下
▲同 角△3四銀▲4四角△3三金▲5五角△5四歩で、
▲3七角なら△2五銀、▲4六角なら△4五銀でどうか。

ただし、△3二金型は受け止められると大勢に遅れをとりやすい。
確実にポイントが得られる確信が持てないと指しにくい形だ。

本譜は▲6六歩以下
△5二金左 ▲5六歩 △6四歩 ▲9八香 △1四歩 ▲9九玉
△1三桂
(下図)

へー・・・△1三桂なんて手があるんですね。

△1三桂と跳ねずに△2四歩▲同 歩△同 飛の筋は、
▲2五歩△2二飛▲6八角とされて△2三歩と打たざるを得なくなる。

上図以下、▲6八角には△4五歩が嫌ですか。
以下▲6七金右△6五歩(下図)

以下▲7七角△6六歩と進んで、
▲同 金には△2四歩、▲同 角なら△同 角▲同 金△3三角か。
これも無い事は無いけど、気持ち悪いか。

本譜は△1三桂以下
▲8八銀 △2四歩 ▲同 歩 △同 飛(下図)

これ、禁断の▲同 飛は成立しないのかなぁ。以下
△同 角 ▲2一飛 △2八飛 ▲3七桂(下図)

以下△3五歩には▲6八角が利く。
お互い手が詰まっちゃうのかな。

本譜は△2四同飛以下
▲2六歩(下図)

上図からは△5四銀~△4五歩~△4四角と行きたいけど、
どこかで▲6五歩が炸裂してしまうんだろうか。
先手陣も決して角の打ち込みに強くないと思うけど、
この辺りの判断は何とも難しいですね。

上図以下
△6三金 ▲6七金右 △7四歩 ▲1六歩 △5四歩(下図)

上図から▲6八角△2一飛▲3七桂とし、
▲2五歩から歩を伸ばす着想はあるけれど、
△5一角▲2五歩に△同 桂が利きますか。
以下▲同 飛△同 飛▲同 桂に△2八飛が両取り。
これはスッキリしないかな。4八の銀がお荷物です。

上図以下
▲5七銀 △2一飛 ▲6八銀 △5一角 ▲7九銀右 △7三角(下図)

先手がお荷物の銀を繰り替えている間、
後手は角を好位置に移動。△6五歩が良い狙いですね。

上図以下▲4六歩には△5一角と戻って手を殺すのかな。
かと言って、▲5五歩とも突きにくいですね。


この後起きた事は、振り飛車の悲劇のように思えたけど、
穴熊が堅いから意外と大変なんですかね。
実は行方先生の大局観が優れていたのかも。

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